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幕間
Beauty Lady ー侍女の秘めたる胸の内ー
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ヴァンパイア世界でメテオが住む屋敷内____
アンティークが強調されているメテオの部屋にて、ヴィクトリアン風のメイド姿でホワイトプリムに身を包む、一人の侍女が部屋の隅々まで掃除をしていた。
雑巾で棚の上に拭いているその姿は侍女でありながらまるで聖女のように清らかで、黙々と掃除をこなす。
棚の上を拭き終えた彼女は、雑巾を予め持ってきたバケツの淵にかけて、一旦部屋を出る。
階段を降りて裏口のドアを開けて設置してある洗い場にて体をしゃがんでバケツの中にある水を捨てる。
(メテオ様ここのところ、疲れていらっしゃるわ……)
彼女は主人であるメテオを心配しながら屋敷に戻り、バケツを裏口のすぐ近くの部屋にある掃除用具入れに入れて、メテオの部屋へと向かう。
(あの方は、誰も言わずに溜め込むから聞いた方が……)
綺麗な顔立ちを持つ彼女の名はミーティアと呼ぶ。ヴァンパイアの王でメテオの叔父でもある、ウォルフレッドの命によりこの屋敷の主人であるメテオの世話係として任命され、かれこれ十年務めている。
メテオの部屋に戻って、今度は浴室の掃除を始める。身の回りのことは全てミーティアに任せているため、この部屋ではミーティアと執事以外の使用人達はメテオから呼び出しされない限り、一切入ることが許されない。
(……いえ、ショウさんにアレコレ言ってるの聞いたことあるわ。もしかしたら、女の私には言えないことかも。)
ミーティアは浴室の掃除をしながら難しい表情を浮かべて、黙々と掃除をしていく。
(だとしたら、メテオ様に口出しするのはオゴがましいことだわ!)
浴槽に付いてる泡を流すため、ミーティアは浴槽の蛇口を使って置いてあるバケツを使って泡を流す。
そして浴室の掃除を終えたミーティアは、少し乱れたエプロンドレスを整えてから部屋を出て、屋敷内の通路を通っていく。
※※※※※※※※※※
十年前____
「旦那様、この少年は……?」
当時、この屋敷に務めていた従者…ショウはウォルフレッドと一緒に連れてきた少年を見て、訝しげな表情をしてウォルフレッドに尋ねる。
「この子はメテオ、私の甥だ。ナタリーの息子でもある。」
「な、ナタリー様の……?」
ショウはその少年がウォルフレッドの妹君…ナタリーの息子と言われて目を見開く。
その場にいた数人の使用人達は、その少年を疑いの眼差しを見ていた。それもそのはず、いきなりナタリーの息子だと言われても信じれるはずがない。
「これ見せたら分かるって。僕自身は信じてないけど。」
「っ!?」
少年…メテオは無表情のまま服を捲って、使用人達に見せる。突然の行動に使用人達は驚いたが、肌を晒した少年の腹部を見て硬直する。
「こ、これは……王家の紋章!」
この屋敷に住む侍女頭が少年の腹部を見て、開いた口に手を添えて驚く。少年の腹部には薔薇と荊棘の模様が紅く刻まれていた。
「作り物なら棘の微妙な角度や薔薇の花弁の位置までの細かい部分は再現出来ないけど、これ本物だね。ピッタリだ。」
ショウはしゃがみ込んで、顎に手を添えて少年の腹部をマジマジと観察する。
「……お前、ショタコン?」
メテオはマジマジと見てくるショウに居心地が悪かったのか、ムスッと眉を顰めてショウを睨む。するとショウは何を思ったのか、プッと口元を抑えて笑いを堪えた。
「俺が、ショタコンだって!ププッ……!!」
「……僕、面白いこと言ったつもりないんだけど?」
ショウは必死に笑いを堪えてお腹と口元を抑えた。そして暫くして落ち着きを取り戻したショウは立ち上がって目線をウォルフレッドに向ける。
「ウォルフレッド様!この子、面白いですね!」
「ショウ、お前もそう思うか?」
「はい!」
ショウはウォルフレッドに歯を見せるようにニカッと口元を上げる。ウォルフレッドは戸惑う使用人達に向けてこう言い放った。
「この別荘地を私の甥…メテオの住処として彼に領地を与えることとする!異存はないな?」
「「「イエス・ユア・マジェスティ!!」」」
その言葉を聞いたショウを含む使用人達は、ウォルフレッドに一礼する。ふとウォルフレッドは使用人の一人…ミーティアをジッと目を見据えて彼女に微笑む。
「それと、君をこの子の世話係として任命する!」
「えっ!?彼女に、ですか!?」
侍女頭は驚愕の声を上げて焦りを見せた。ミーティアはウォルフレッドの微笑む視線にガチゴチに緊張していたが、メテオの世話係に任命されて驚きの表情を見せる。
「……お言葉ですがウォルフレッド様。ミーティアは新人であり、まだ完璧にこなすことが出来ないのです!メテオ様の世話係ならば、経験が積んである者に……」
「彼女は、ミーティアと呼ぶのか」
「そ、そうでございます。」
侍女頭は他の者に変えるようウォルフレッドに懇願したが、ウォルフレッドは未だに驚きの表情をするミーティアを見て、侍女頭に彼女の名前を確認する。侍女頭はぎこちながらも返事をした。
「……ならば尚更、彼女がメテオの世話係に相応しい。職務に慣れた者はこの子に干渉しようとする者が多いから、新人の方が好都合だ。」
「わ、分かりました……」
有無と言わぬ言葉と威厳なオーラにより、侍女頭は腑に落ちないと思いながらもウォルフレッドの指示を従う。
「ウォルフレッド様、私に任命していただき、有り難いお言葉です。」
ミーティアは一歩前に出て、スカートの袖を軽く持ちながらウォルフレッドに頭を下げた。
当時見習いであったミーティアはその一人であったが、他の使用人と違って彼女はその少年に興味を持っていた。
「一生懸命メテオ様の世話係を務めさせていただきます!」
元はウォルフレッドの別荘地だったこの屋敷はウォルフレッドと一緒に連れてきたメテオの住処になり、この屋敷の主人はメテオになった。そしてミーティアは、見習いにしてメテオの世話係として任命されたのである。
※※※※※※※※※※
(あれから十年……)
ミーティアはメテオの世話係に任命されてから現在までの出来事を振り返っていた。
(あの頃のメテオ様、ナタリー様を亡くされたばかりだったみたいで、心を開くのに苦労したわ。)
ミーティアが任命されてからすぐ、メテオはミーティアを見てプイッと視線を逸らされて、それでもめげることなくメテオの世話係として身の回りの世話をした。
(でも今は凛々しくなられて、公爵として責務を果たしいらっしゃる。)
今のメテオは立派に仕事をこなして、ウォルフレッドの影を支える者と噂になっている。公爵としてあと数日で開催される社交界でもうすぐお披露目となる。きっと、端正な顔立ちのメテオを目にした女性達は釘付けになり、熱い眼差しが受けるだろう。
(メテオ様)
ミーティアは屋敷の外に出て、赤く染まる空を見上げる。彼女の瞳には儚くも切なく感じ、遠い目をしていた。
(私のことをもう少し頼って欲しい……)
____そして、この気持ちをメテオ様に気付きませんように。
ミーティアは、メテオへの忠誠心を思いながらも胸の内は恋心が宿し、二つの気持ちが混ざり合っていた。
アンティークが強調されているメテオの部屋にて、ヴィクトリアン風のメイド姿でホワイトプリムに身を包む、一人の侍女が部屋の隅々まで掃除をしていた。
雑巾で棚の上に拭いているその姿は侍女でありながらまるで聖女のように清らかで、黙々と掃除をこなす。
棚の上を拭き終えた彼女は、雑巾を予め持ってきたバケツの淵にかけて、一旦部屋を出る。
階段を降りて裏口のドアを開けて設置してある洗い場にて体をしゃがんでバケツの中にある水を捨てる。
(メテオ様ここのところ、疲れていらっしゃるわ……)
彼女は主人であるメテオを心配しながら屋敷に戻り、バケツを裏口のすぐ近くの部屋にある掃除用具入れに入れて、メテオの部屋へと向かう。
(あの方は、誰も言わずに溜め込むから聞いた方が……)
綺麗な顔立ちを持つ彼女の名はミーティアと呼ぶ。ヴァンパイアの王でメテオの叔父でもある、ウォルフレッドの命によりこの屋敷の主人であるメテオの世話係として任命され、かれこれ十年務めている。
メテオの部屋に戻って、今度は浴室の掃除を始める。身の回りのことは全てミーティアに任せているため、この部屋ではミーティアと執事以外の使用人達はメテオから呼び出しされない限り、一切入ることが許されない。
(……いえ、ショウさんにアレコレ言ってるの聞いたことあるわ。もしかしたら、女の私には言えないことかも。)
ミーティアは浴室の掃除をしながら難しい表情を浮かべて、黙々と掃除をしていく。
(だとしたら、メテオ様に口出しするのはオゴがましいことだわ!)
浴槽に付いてる泡を流すため、ミーティアは浴槽の蛇口を使って置いてあるバケツを使って泡を流す。
そして浴室の掃除を終えたミーティアは、少し乱れたエプロンドレスを整えてから部屋を出て、屋敷内の通路を通っていく。
※※※※※※※※※※
十年前____
「旦那様、この少年は……?」
当時、この屋敷に務めていた従者…ショウはウォルフレッドと一緒に連れてきた少年を見て、訝しげな表情をしてウォルフレッドに尋ねる。
「この子はメテオ、私の甥だ。ナタリーの息子でもある。」
「な、ナタリー様の……?」
ショウはその少年がウォルフレッドの妹君…ナタリーの息子と言われて目を見開く。
その場にいた数人の使用人達は、その少年を疑いの眼差しを見ていた。それもそのはず、いきなりナタリーの息子だと言われても信じれるはずがない。
「これ見せたら分かるって。僕自身は信じてないけど。」
「っ!?」
少年…メテオは無表情のまま服を捲って、使用人達に見せる。突然の行動に使用人達は驚いたが、肌を晒した少年の腹部を見て硬直する。
「こ、これは……王家の紋章!」
この屋敷に住む侍女頭が少年の腹部を見て、開いた口に手を添えて驚く。少年の腹部には薔薇と荊棘の模様が紅く刻まれていた。
「作り物なら棘の微妙な角度や薔薇の花弁の位置までの細かい部分は再現出来ないけど、これ本物だね。ピッタリだ。」
ショウはしゃがみ込んで、顎に手を添えて少年の腹部をマジマジと観察する。
「……お前、ショタコン?」
メテオはマジマジと見てくるショウに居心地が悪かったのか、ムスッと眉を顰めてショウを睨む。するとショウは何を思ったのか、プッと口元を抑えて笑いを堪えた。
「俺が、ショタコンだって!ププッ……!!」
「……僕、面白いこと言ったつもりないんだけど?」
ショウは必死に笑いを堪えてお腹と口元を抑えた。そして暫くして落ち着きを取り戻したショウは立ち上がって目線をウォルフレッドに向ける。
「ウォルフレッド様!この子、面白いですね!」
「ショウ、お前もそう思うか?」
「はい!」
ショウはウォルフレッドに歯を見せるようにニカッと口元を上げる。ウォルフレッドは戸惑う使用人達に向けてこう言い放った。
「この別荘地を私の甥…メテオの住処として彼に領地を与えることとする!異存はないな?」
「「「イエス・ユア・マジェスティ!!」」」
その言葉を聞いたショウを含む使用人達は、ウォルフレッドに一礼する。ふとウォルフレッドは使用人の一人…ミーティアをジッと目を見据えて彼女に微笑む。
「それと、君をこの子の世話係として任命する!」
「えっ!?彼女に、ですか!?」
侍女頭は驚愕の声を上げて焦りを見せた。ミーティアはウォルフレッドの微笑む視線にガチゴチに緊張していたが、メテオの世話係に任命されて驚きの表情を見せる。
「……お言葉ですがウォルフレッド様。ミーティアは新人であり、まだ完璧にこなすことが出来ないのです!メテオ様の世話係ならば、経験が積んである者に……」
「彼女は、ミーティアと呼ぶのか」
「そ、そうでございます。」
侍女頭は他の者に変えるようウォルフレッドに懇願したが、ウォルフレッドは未だに驚きの表情をするミーティアを見て、侍女頭に彼女の名前を確認する。侍女頭はぎこちながらも返事をした。
「……ならば尚更、彼女がメテオの世話係に相応しい。職務に慣れた者はこの子に干渉しようとする者が多いから、新人の方が好都合だ。」
「わ、分かりました……」
有無と言わぬ言葉と威厳なオーラにより、侍女頭は腑に落ちないと思いながらもウォルフレッドの指示を従う。
「ウォルフレッド様、私に任命していただき、有り難いお言葉です。」
ミーティアは一歩前に出て、スカートの袖を軽く持ちながらウォルフレッドに頭を下げた。
当時見習いであったミーティアはその一人であったが、他の使用人と違って彼女はその少年に興味を持っていた。
「一生懸命メテオ様の世話係を務めさせていただきます!」
元はウォルフレッドの別荘地だったこの屋敷はウォルフレッドと一緒に連れてきたメテオの住処になり、この屋敷の主人はメテオになった。そしてミーティアは、見習いにしてメテオの世話係として任命されたのである。
※※※※※※※※※※
(あれから十年……)
ミーティアはメテオの世話係に任命されてから現在までの出来事を振り返っていた。
(あの頃のメテオ様、ナタリー様を亡くされたばかりだったみたいで、心を開くのに苦労したわ。)
ミーティアが任命されてからすぐ、メテオはミーティアを見てプイッと視線を逸らされて、それでもめげることなくメテオの世話係として身の回りの世話をした。
(でも今は凛々しくなられて、公爵として責務を果たしいらっしゃる。)
今のメテオは立派に仕事をこなして、ウォルフレッドの影を支える者と噂になっている。公爵としてあと数日で開催される社交界でもうすぐお披露目となる。きっと、端正な顔立ちのメテオを目にした女性達は釘付けになり、熱い眼差しが受けるだろう。
(メテオ様)
ミーティアは屋敷の外に出て、赤く染まる空を見上げる。彼女の瞳には儚くも切なく感じ、遠い目をしていた。
(私のことをもう少し頼って欲しい……)
____そして、この気持ちをメテオ様に気付きませんように。
ミーティアは、メテオへの忠誠心を思いながらも胸の内は恋心が宿し、二つの気持ちが混ざり合っていた。
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