イケメンの園のMariko ~私に友だちができるまで~

ゴオルド

文字の大きさ
3 / 6

3 そんな純情あってたまるか

しおりを挟む
 マリコにあることないこと言われながらも、四天王の守護のおかげでエロ騒ぎに巻き込まれることなく、どうにか勉強を進める日々だった。私はどうしても資格が取りたい。マリコたちはアレだが、講師の下谷先生の解説はわかりやすく、勉強会のおかげで模試の結果も上々、エロごときに負けてたまるかと思っていた。

 そんなある日のこと。

 勉強会にやってきた私は、公民館の入り口で、マリコ派閥のイケメン宮田に呼び止められた。
「相談したいことがあるから、今度時間をつくってくれないか」
 宮田は私の手にメモ用紙を強引に押し付けた。赤いボールペンで書かれた連絡先が禍々しい呪いのように見えた。
 相談したいことだなんて。とても危険な香りがする。罠かもしれない。となれば、四天王に相談だ。そう一瞬思ったが、いくらなんでも、そんなふうに彼らを頼ってばかりじゃ、それこそオタサーの姫じゃないかと思い直した。
 こんなしょうもないことで相談したら、四天王から呆れられてしまうかもしれない。自分で何とかしよう。だって「相談女」だと思われても嫌だ。相談女とは、「相談したいことがあるの」といって男性に近寄り、そのまま寝技に持ち込む女のことである。柔道の選手でさえ、相談女の寝技からは簡単には抜け出せないという。私は相談女だと思われたくない。
 宮田の相談なんか無視すればいいという気もするが、そうするとマリコは「同じ受験生なのにひどい」と絶対文句を言う。間違いなく言う。断言できる。

 もうこれ以上悪口を言われたくなくて、とりあえず話だけ聞くことにした。会うのは怖いから電話で。

 宮田の相談内容は、一言で言うと「エロいことしようぜ」だった。これ相談か? 思わず鼻水が出た。その場で断ったのだが、そこから先が問題だった。マリコが、「北斗は男のピュアな純情を踏みにじった」と言いふらし始めたのだ。
 エロいことしようぜといきなり切り出す男の純情ってなんだ。そんなもんあってたまるか。そもそも私は口説かれてすらいないではないか。ただエロの交渉をされただけで、そこに恋愛要素は皆無だった。
 しかし、マリコからしてみれば、私を悪く言う絶好のチャンス。誹謗中傷はエスカレートし、「北斗は魔性の女」とまで言われるようになった。それを聞いたマリコ派閥の男たちは「貢がせたんだろう」とか「浮気したんだ」とか憶測で私を批判するようになった。付き合ってもいない男性とのエロ行為を電話で断っただけでここまで言われるとは。噂は最終的には、「私が宮田のことを好き過ぎて、でも宮田がマリコとエッチしまくっているから、私がヤキモチを焼いている」という内容になり、アホらしすぎて放置した。言い返す気にもならなかったのだ。

 その結果、なんと私は四天王から見捨てられることとなってしまった。
 まさか。予想外だった。

「北斗のやつ、勉強会にエロを持ち込むのに反対だと言っておきながら、裏でマリコ派閥のイケメンに手を出しておった。これすなわち裏切りなり」ということである。

 違うのだけれども。私は誰にも手を出していないし、誰からも手を出されていない。そう説明しても信じてもらえなかった。肉欲に堕ちた女の言い訳、そう思われてしまって、軽蔑のまなざしが返ってくるだけだった。
 悲しかった。だが、私と四天王は、必死に誤解を解こうと思えるほどの関係性もない。信じてくれないならどうでもいいかなという感じになってしまい、四天王が勉強会を辞めていくのを「達者でな」という気持ちで見送った。

 四天王が去り、ノーガードとなった私は、危険だから会を辞めたほうがいいのはわかっていた。しかし勉強会だけは参加を続けた。懇親会にはさすがに不参加だが、まあ勉強会ぐらいなら大丈夫だろうと高をくくっていた。
 私はどうしても資格が取りたかったのだ。少なくとも模試で合格圏内に入るまでは、この会にいたかった。
 だが……。
 不運というのは続くものなのかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

処理中です...