<第一部 完結> お前がなれるわけがない!

mokono

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第1部 第37話

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ロビンは昨日の疲れが抜けず、ダイニングに長らく居た。



そんなロビンに、メイが呆れた眼差しを向けてくる。



「あのさ、もう、出かけた方がいいんじゃないの?」



「あっ、うん・・」



さっきから、ロビンはこんな調子である。



気のない返事を返しながらも、さすがに、このままでは不味いと思い、ロビンは重い腰を上げて、商会で仕事をしているであろう兄エディの元へ行く事にしたのだ。



商会に着いたロビンを、兄の腹心の部下であるカルロが出迎えてくれた。



どうやら、兄は外出しているらしい。



「会頭は、もうじき戻るよ」



兄の執務室に入り、待たせて貰う際にカルロが言葉を掛けてくれた。



そして、今度は、テーブルにお茶を置きながら、カルロが「で、昨日はどうだったの?」と何気なしに話を振ってくる。



えっ!と思いながら、ちらりとカルロを見ると。



「行ったんだろ?例のパーティーにさ?」と伺うように聞いて来た。



「あぁ、行ったよ。もう二度とごめんだよ。あんなパーティーは疲れちゃったよ」



そんな言葉を言いながら、ロビンは大きく背伸びをソファーに座りながら行う。



「まあ、敵陣営に乗り込んだわけだもんな?」



そりゃそうだろう。と、カルロも納得した様子である。



「パーティー自体もいつぶりかって話だろ?昨日のでもういいや!って尚更思ったよ」



そう言いながら、ロビンは座っているソファーへ、ぐにゃりと体を倒して、昨日の疲れを盛大にアピールをしてみせる。



その姿に、カルロはクスクスと笑いだしてしまう。



このカルロ、彼の父もこの商会で、エディやロビンの父であるジェームスの利き腕として働いていた事から、小さい時分からこの兄弟とは親しくしており、下手な血縁者よりも深く信頼し合う間柄だ。



なので、カルロにとって、エディもロビンも肉親みたいに思う存在であった。



だから、カルロは、この少々手の掛かるロビンとも仲が良いのだ。まっ、そんな訳で、仕事以外では彼らとは普通に友のように接している。



「兄さんを、改めて尊敬したね!」



お茶を口にして、ロビンはエディの姿を思い浮かべながら、賛辞を述べる。



「相変わらずのブラコンだな・・」



カルロは、苦笑いを浮かべてクスリと笑う。



「しかし、酷かったよ。昨日のパーティー・・」



ロビンは、昨日あった出来事を、先に、カルロに話し出す。



カルロは、「へー、そんなことがあったのか?」等と口に出しながら、今、この時、ロビンによって初めて、昨日のパーティーについて聞いた風を装いながら、ロビンの話を聞いている。



「でさ、一番、驚いたのは、ラドと会ったことかな?」



ここに来て、ロビンが先程までと違い、顔を真剣な表情にして言い出した。



「あれって、カルロの指示?」



上目遣いでカルロを見やるロビンに、カルロはにたりと笑う。



「おっ!ロビンさん、パーティーでのラドを見破ったのか。賢くなったな!」



お兄ちゃんは嬉しいぞ!とか言いながら、ロビンの質問には答えない。



「これ、正解だな?」



カルロの言動にロビンが小さく呟くと、カルロが頭を掻いて見せる。



「ちょっと、探らせている。けれど、指示は俺ではないよ」



そう言って、今度は、カルロが軽くウインクしてきた。



「なぁんだ、兄さんがさせているのか。あいつ、きな臭くって。ちょっと不安だったんだ」



昨日の変装?したラドを思い起こしながら、ロビンはずっと気になっていたことを口にした。



「ロビン、偉く成長したなぁ」



ロビンが発した言葉に、カルロは感心していた。



「じゃあ、僕からのさっきの報告とかいらなかったんだよね?」



そんな、カルロにロビンが睨みながら詰め入ると。



「いやぁ、それとこれとは別だし。それに、メイちゃんのところは適当に躱されていたからな。あいつにとっては、とてもつまらない展開だっただろうしな」



カルロも自分に入れた茶をくいっと飲んで、昨日のラドからの報告を思い起こす。



「つまらないって、何が?そりゃ、あいつにしたら、あんなパーティ―はつまらないだろうけどさ」



ロビンは口を尖らせて、少しいじけて見せる。



「まあでも、昨日は疲れたかもしれないが、よくやってくれたよ。メイちゃんのお陰で、一つの大きな懸念材料が消えそうだ」



不貞腐れるロビンは、とりあえず置いておいて、カルロは朗らかに笑い出した。



「まあ、確かにそうだけど、ちょっとは僕も労ってよ!メイばかり褒めてるけども!」



「はいはい、ロビンも凄いね!よくやった!」



なんて言いながら、カルロがロビンを軽く宥めていると。



エディの執務室の扉が急に開いた。



現れたのは、もちろん、この部屋の主であるエディであった。



そんなエディに先程まで、じゃれ合っていたロビンとカルロもエディに向き直ってみせる。



「兄さん、おかえり。昨日の報告に来たんだ」



ロビンが兄に向けて伝えると、それと同時に、カルロは執務室から外に出て行った。



「カルロから報告受けてるでしょうが、ラド経由でのやつを」



カルロの退室を見届けてから、ロビンは、執務机に向かって座るエディに話掛ける。



その言葉に、静かにエディがロビンに目を向けてきた。



「で、お前からの報告は?」



エディは再び目線を机に向けて、執務をこなしだす・・・



「うん、昨日のパーティーだけど・・・」



ロビンは、先程、カルロに話した内容をエディにも伝えだしていく。



兄は、淡々と書類仕事を進めていきながら、弟の話にも耳を傾ける。



弟のロビンからは、兄の表情は変わらないように見えてしまい、ロビンは話し終えてから少し気落ちしてしまう。



ロビンは、エディから褒めて貰えると思っていたらしく、少し項垂れていた。



そんなロビンに気付いたのか、エディが「お前らにしてはよくやったな。特にメイがな」と言ってきた。



「また、メイですか?」



と、ロビンは再び落ち込んでしまったが、兄エディが、今度は、鼻を鳴らして笑った。



「良く頑張ったな。お前にしたらだが」



最近、見る事がなかった兄エディが笑顔を見せている。



ロビンはそれだけで、疲れが少しとれた気がしたのだった。



兄は、その一瞬だけ、笑顔を浮かべた後は、また、書類に目を向けだした。



ロビンは、それを見てから、少し気持ちが晴れたように感じて、執務室を退出して行った。



ロビンが退室して、そのすぐ後に、その執務室に再びカルロが顔を出してきた。



「昨日のパーティーで、上手い具合に噂が消えそうだな?」



目は書類に向けたまま、エディはカルロの話を流すように聞いている。



「しかし、ラドのやろう、メイちゃんの話を出さずに報告しやがって。あのバカは・・ほんとうに諦めの悪いアホだな」



カルロは、ひとり思いのたけをぶちまける。



その間も、エディは黙っていた。



「でも、油断は出来ないな。ケーシーのとこの母親たちもだし、ラドに探らせてる女もそろそろ動きそうだな?」



カルロの言葉に、漸く、エディも顔を上げた。



「ケーシーのとこは放っておいてもいいだろうが、ラドの方は、選挙後にも影響するだろうから、情報はしっかり握り、出来たら潰してもおきたい。うちの商売にも悪影響がありそうだからな」



エディはそう言って、窓を見つめたのだった。

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