13 / 14
ゴミ捨て場
しおりを挟む
私はこの春から、晴れて大学生となり、一人暮らしを始めることになった。
今まで家事は母に頼りきりだったこともあり、毎日を過ごすだけでも忙しくて目が回りそうだ。
そして何よりややこしいのが、ゴミ出しだ。
実家周辺の地域と、今の住居のある場所とでは分別の種類やゴミ出しの日などが異なっていた。
今までは、たいていのゴミは燃えるゴミで、金属や瓶などを分別するのみだったが、新しい住居ではプラスチックゴミやペットボトルを分別した上で、燃えるゴミとしなければならない。
実際、そこまで難しいことでは無いのだが、積もり積もると面倒くさいと感じてしまう。
良くないこととは思いつつ、ペットボトルやプラスチックのパッケージなどを一緒に燃えるゴミに入れて、ゴミに出していた。
それでも、いつも収集車は全てのゴミ袋を回収してくれているため、特に問題は無いものと思っていた。
――
ある日、ゴミ捨て場の前を通りかかったとき、中年の女性に話しかけられた。
「ちょっとあんた。通り過ぎようとしたわね。
これを見て何とも思わないの?」
中年女性の足元を見ると、袋が破かれ、溢れ出したゴミが散乱していた。
燃えるゴミの日は明日だ。
大方、ゴミの日を守らなかった誰かのゴミが、カラスにでも突かれたのだろう。
「酷いですね。適当な人もいたものです。」
私は急いではいなかったが、他人のゴミを片付けるのを手伝う気にもなれず、そう言って通り過ぎた。
「まったく。最近の子は皆こうなのかしら。」
私の対応が気に食わなかったのか、後ろで女性はぼやいていた。
――
翌日、私は自分の部屋の前で立ち尽くすことになった。
部屋のドアの前に、朝ゴミ捨て場に置いてきたはずのゴミ袋が、そっくりそのまま置いてあったのだ。
(一体、なんでこんなこと……)
ゴミ袋をよくみると、なにやらメモが貼り付けられていた。
『分別ができていません。
ペットボトルは袋を分けなさい。』
きっとあの、ゴミ捨て場で会った中年女性の仕業だ。
そのメモを見て、どうしようもなく怒りが込み上げてきた。
分別をしっかりしなかった私がもちろん悪いのだが、何も部屋の前にゴミを持ってくることはないだろう。
これが今日回収されなかったということは、私は次のゴミの日まで、このゴミ袋と共に過ごすことになるのだ。
しかし、またゴミ捨て場に捨てたところで、またここに持って来られるだけだ。
私は仕方なくゴミ袋を部屋に持って入ることにした。
―――――――――――――――――――――
(解説)
なぜ主人公のゴミだと特定されたのだろうか。
名前の載った紙でも入っていたのだろうか?
ゴミ捨て場で会った中年女性は家主や管理人では無いだろう。
もしもそうなら、主人公が部屋を借りる時や他の機会にも顔を合わせているはずだ。
にも関わらず、どうして主人公の部屋が分かったのだろうか。
それに、今まで黙認されていたというなら、今までは主人公のゴミだと気づかれていなかったのではないか。
あのゴミ捨て場で会ったことをきっかけに、主人公のことを監視するようになったのだとしたら……。
今まで家事は母に頼りきりだったこともあり、毎日を過ごすだけでも忙しくて目が回りそうだ。
そして何よりややこしいのが、ゴミ出しだ。
実家周辺の地域と、今の住居のある場所とでは分別の種類やゴミ出しの日などが異なっていた。
今までは、たいていのゴミは燃えるゴミで、金属や瓶などを分別するのみだったが、新しい住居ではプラスチックゴミやペットボトルを分別した上で、燃えるゴミとしなければならない。
実際、そこまで難しいことでは無いのだが、積もり積もると面倒くさいと感じてしまう。
良くないこととは思いつつ、ペットボトルやプラスチックのパッケージなどを一緒に燃えるゴミに入れて、ゴミに出していた。
それでも、いつも収集車は全てのゴミ袋を回収してくれているため、特に問題は無いものと思っていた。
――
ある日、ゴミ捨て場の前を通りかかったとき、中年の女性に話しかけられた。
「ちょっとあんた。通り過ぎようとしたわね。
これを見て何とも思わないの?」
中年女性の足元を見ると、袋が破かれ、溢れ出したゴミが散乱していた。
燃えるゴミの日は明日だ。
大方、ゴミの日を守らなかった誰かのゴミが、カラスにでも突かれたのだろう。
「酷いですね。適当な人もいたものです。」
私は急いではいなかったが、他人のゴミを片付けるのを手伝う気にもなれず、そう言って通り過ぎた。
「まったく。最近の子は皆こうなのかしら。」
私の対応が気に食わなかったのか、後ろで女性はぼやいていた。
――
翌日、私は自分の部屋の前で立ち尽くすことになった。
部屋のドアの前に、朝ゴミ捨て場に置いてきたはずのゴミ袋が、そっくりそのまま置いてあったのだ。
(一体、なんでこんなこと……)
ゴミ袋をよくみると、なにやらメモが貼り付けられていた。
『分別ができていません。
ペットボトルは袋を分けなさい。』
きっとあの、ゴミ捨て場で会った中年女性の仕業だ。
そのメモを見て、どうしようもなく怒りが込み上げてきた。
分別をしっかりしなかった私がもちろん悪いのだが、何も部屋の前にゴミを持ってくることはないだろう。
これが今日回収されなかったということは、私は次のゴミの日まで、このゴミ袋と共に過ごすことになるのだ。
しかし、またゴミ捨て場に捨てたところで、またここに持って来られるだけだ。
私は仕方なくゴミ袋を部屋に持って入ることにした。
―――――――――――――――――――――
(解説)
なぜ主人公のゴミだと特定されたのだろうか。
名前の載った紙でも入っていたのだろうか?
ゴミ捨て場で会った中年女性は家主や管理人では無いだろう。
もしもそうなら、主人公が部屋を借りる時や他の機会にも顔を合わせているはずだ。
にも関わらず、どうして主人公の部屋が分かったのだろうか。
それに、今まで黙認されていたというなら、今までは主人公のゴミだと気づかれていなかったのではないか。
あのゴミ捨て場で会ったことをきっかけに、主人公のことを監視するようになったのだとしたら……。
0
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる