6 / 122
6 観察した 2
しおりを挟む
してみるとあたしは、あの正面衝突事故で死亡したのか。
はたまた意識を失って、こんな得体の知れない夢を見ているのか。
そうだとすると、同乗していた颯人はどうなったのか。
この辺は、どうにも確認のしようがない。当然ながら意識不明で夢見中だとしたら、目が覚めるのを待つしかないだろう。
一方、万々が一。あたしが死亡して、こんな模型として生まれ変わった、という可能性はあるか。
――いやいやいや、ないないない――。
夢の中という可能性は目が覚めるのを待つしかないから、今はこっちのほとんどあり得そうにない方の検討をしてみるけどさ。
――あり得ないっしょ。あらゆる面で。
あたしだってこれまで、異世界転生系ライトノベルというものを何冊か読んだことはある――と言うより、仕事の知り合いには控えめに言っていたけど、かなりの数を愛読している。男性向けも女性向けも。
その辺に則れば、交通事故で死亡して転生、というのはかなりの定番のはずだ。たぶん、ブラック企業で過労死というのと、二大巨頭と言っていいだろう。
その際の展開としてかなりの大多数は、死後神様のような存在と面談して、転生が行われる。少数派として神様にスルーされて、というのはあった。もしそうだとするとあたしの場合は、その少数派の方か。
また転生先として大多数は、当然人間。かなり少数ながら動物、魔物、さらに少数植物というのもある。
そのごくごく少数の植物とタイを張りそうな頻度の設定で、非生物に転生(?)というのも確かにあったと思う。ゴーレムとか盾とか、杖とか剣とか剣とか。
しかし――ここ重要!
その非生物パターン、当社調べで一切の例外なく、何らかの方法で人間と意思を通じることができ、自ら強大な魔法を使うことができる、という設定になっていたはずだ。
翻って、あたしの場合は。
人間と意思疎通の方法――ありそうにない。そもそも言葉を紡ぐ口などないんだし。超合金装甲車の映画中の現実でも、スピーカーがついていて発声できるなどなかったはずだ。
強大な魔法――自らの体内に、そんな気配さえ感じられない。まあこれも定番としては、転生後に誰かの指導を受けて使えるようになるという設定は多いわけだが。
――神様の説明もなく、他人との意思疎通もできず、どうやって?
会話、というか発声、できないよ。さっきからいろいろ試みて、まちがいなく。
会話できずに、この先どうしろと言うんじゃい。
いやあたしこれまで、自他ともに認める紛れもない「おひとり様」だったけどさあ。それだって引き籠もりで他人との交流拒絶していたわけじゃないのよ。
姉の家族とは頻繁に会っていたし、仕事上でやりとりをする相手は何人もいたさ。
何なら「実体験派フリーライター」だもん、初対面の相手との会話だって不得意にしていられない。
だからさ、それなのにさあ。
人との交流方法なく、どうしろって言うんさ。
こんな推定深い森の中、人が歩く程度しか速度が出ない移動方法の模型姿で。
人間とも動物とも意思疎通の方法なく。
――現実の「おひとり様」なんか目じゃない、究極の「おひとり様」状態じゃん。もうたくさん、もう飽きた、夢すぐに醒めろ!
…………。
心中絶叫しても、覚醒の気配なく。現実に音声が発せられるでもなし。
深い森の中に、長閑な鳥の声がするばかり。
こんな不毛な検討、続けても仕方ないのだけど。
もしももしももしも、万々々々が一、これが現実に超合金装甲車への転生(?)だとしたら。
どうしても気になることが、二点ある。
颯人はどうなったのだろう、というのが一点。
もう一点は。
あたし、ここから何かする意味ある?
という疑問だ。
――だって、便宜上転生なんて言ってるけど、生きてないじゃん。
この先、生きる目標なんて持ちようがない。
このままここで動かず、朽ちていっても何の未練も持てない。
ということになる。
この超合金が映画の設定の通りなら、永久に錆びたり朽ちたりしないらしいけどさ。
このまま夢が醒めないなら、ふて寝しちゃうよ、あたし。
はたまた意識を失って、こんな得体の知れない夢を見ているのか。
そうだとすると、同乗していた颯人はどうなったのか。
この辺は、どうにも確認のしようがない。当然ながら意識不明で夢見中だとしたら、目が覚めるのを待つしかないだろう。
一方、万々が一。あたしが死亡して、こんな模型として生まれ変わった、という可能性はあるか。
――いやいやいや、ないないない――。
夢の中という可能性は目が覚めるのを待つしかないから、今はこっちのほとんどあり得そうにない方の検討をしてみるけどさ。
――あり得ないっしょ。あらゆる面で。
あたしだってこれまで、異世界転生系ライトノベルというものを何冊か読んだことはある――と言うより、仕事の知り合いには控えめに言っていたけど、かなりの数を愛読している。男性向けも女性向けも。
その辺に則れば、交通事故で死亡して転生、というのはかなりの定番のはずだ。たぶん、ブラック企業で過労死というのと、二大巨頭と言っていいだろう。
その際の展開としてかなりの大多数は、死後神様のような存在と面談して、転生が行われる。少数派として神様にスルーされて、というのはあった。もしそうだとするとあたしの場合は、その少数派の方か。
また転生先として大多数は、当然人間。かなり少数ながら動物、魔物、さらに少数植物というのもある。
そのごくごく少数の植物とタイを張りそうな頻度の設定で、非生物に転生(?)というのも確かにあったと思う。ゴーレムとか盾とか、杖とか剣とか剣とか。
しかし――ここ重要!
その非生物パターン、当社調べで一切の例外なく、何らかの方法で人間と意思を通じることができ、自ら強大な魔法を使うことができる、という設定になっていたはずだ。
翻って、あたしの場合は。
人間と意思疎通の方法――ありそうにない。そもそも言葉を紡ぐ口などないんだし。超合金装甲車の映画中の現実でも、スピーカーがついていて発声できるなどなかったはずだ。
強大な魔法――自らの体内に、そんな気配さえ感じられない。まあこれも定番としては、転生後に誰かの指導を受けて使えるようになるという設定は多いわけだが。
――神様の説明もなく、他人との意思疎通もできず、どうやって?
会話、というか発声、できないよ。さっきからいろいろ試みて、まちがいなく。
会話できずに、この先どうしろと言うんじゃい。
いやあたしこれまで、自他ともに認める紛れもない「おひとり様」だったけどさあ。それだって引き籠もりで他人との交流拒絶していたわけじゃないのよ。
姉の家族とは頻繁に会っていたし、仕事上でやりとりをする相手は何人もいたさ。
何なら「実体験派フリーライター」だもん、初対面の相手との会話だって不得意にしていられない。
だからさ、それなのにさあ。
人との交流方法なく、どうしろって言うんさ。
こんな推定深い森の中、人が歩く程度しか速度が出ない移動方法の模型姿で。
人間とも動物とも意思疎通の方法なく。
――現実の「おひとり様」なんか目じゃない、究極の「おひとり様」状態じゃん。もうたくさん、もう飽きた、夢すぐに醒めろ!
…………。
心中絶叫しても、覚醒の気配なく。現実に音声が発せられるでもなし。
深い森の中に、長閑な鳥の声がするばかり。
こんな不毛な検討、続けても仕方ないのだけど。
もしももしももしも、万々々々が一、これが現実に超合金装甲車への転生(?)だとしたら。
どうしても気になることが、二点ある。
颯人はどうなったのだろう、というのが一点。
もう一点は。
あたし、ここから何かする意味ある?
という疑問だ。
――だって、便宜上転生なんて言ってるけど、生きてないじゃん。
この先、生きる目標なんて持ちようがない。
このままここで動かず、朽ちていっても何の未練も持てない。
ということになる。
この超合金が映画の設定の通りなら、永久に錆びたり朽ちたりしないらしいけどさ。
このまま夢が醒めないなら、ふて寝しちゃうよ、あたし。
3
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜
naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。
※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。
素材利用
・森の奥の隠里様
・みにくる様
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
指令を受けた末っ子は望外の活躍をしてしまう?
秋野 木星
ファンタジー
隣国の貴族学院へ使命を帯びて留学することになったトティ。入国しようとした船上で拾い物をする。それがトティの人生を大きく変えていく。
※「飯屋の娘は魔法を使いたくない?」のよもやま話のリクエストをよくいただくので、主人公や年代を変えスピンオフの話を書くことにしました。
※ この作品は、小説家になろうからの転記掲載です。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる