チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

eggy

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――え、この模型の身体、電動だった? 充電しなきゃ、そこでお陀仏?

 他に考えようもない。
 慌てて周囲を見回す、けれど。

――アホか、こんな森の中にコンセントがあるわけないじゃんか!

 さっきは「このまま朽ちてもいい」なんて考えもしたけど。現実に動けなくなるかもしれない危機を感じると、あたふたしてしまう。
 生物ではなくなっているはずだけど意識は生物の名残を留めている、本能のようなものか。
 言い訳しておくと、この先行動するにしてもしないにしても、現時点ではどちらも選択できる可能性を残しておきたい。

――しかし――でもでも――電源?

 ずりずりと数メートルほど、右往左往。
 そんなことしていても、事態が好転するとは思えないんだけど。
 それでもわずかながら移動しているうち。

――え?

 ゲージの様子が、変わった。
 点滅が止まり、一面赤の乾電池を模したみたいな長方形に。中央に「+」の印が見える。
 つまり――あたしのスマホとは形が違うけど、もちろんメーカーや機種で異なるだろうけど、おそらくのところ充電開始の報せだ。

――充電できる? こんなところで?

 もしかすると、電気ではないのかもしれない。
 現状、この模型の筐体が接しているのは地面だけだ。
 この模型の動力の元、燃料みたいなものは電気でなく何か、空気中か地中から取り入れられるもの、なのかもしれない。
 そう思いながら、充電(?)が始まったことにわずかに安堵。
 しかしよく見ると、充電ゲージの赤は何となく色が薄く感じる。試しにちょっとだけ横に移動してみると、わずかに色が濃くなる。
 こうなると、スマホなどを使用している際の本能みたいなものが湧いてくる。おそらく誰もが経験あるだろう、電波が弱い場所で移動しながら少しでも強い場所を探す、あれだ。
 今色が濃くなった方角への移動を、じりじりと続ける。ゲージの赤は少しずつ濃さを増し、ある地点を過ぎるとまた薄くなり始めた。今の地点がピークらしい。
 相変わらず池のほとり、さっきまでに比べると高い木の根元に近いか、という場所だ。とにかくもしばらく、ここに落ち着くことにする。

――充電――電じゃないかもしれないけど、いいことにする――は、どれくらい時間かかるのかね。

 明らかに、やってみなければ分からない。一~二時間程度か。一晩以上か。
 考えて、そもそもここでの時間の単位や測り方、分からないことに気づいた。
 もうとにかく、いい加減であれ何であれ、やってみるしかない。
 思いながら意識を向けると、赤いゲージの横に小さな数字が見えていた。「20」と読める。
 当然、20パーセントの意味だろう。

――そうでなきゃ、グレてやるぞ。

 残り80パーセントに、どれだけの時間がかかるか。測定できたら、100パーセント充電の時間も推定できそうだけど。
 そう思ったところで、少し下の方に別な数字が現れた。「15:42」とある。
 もしかして、時刻か?
 そう期待しても、いいのだろうか。
 ところで時刻だとして、この世界でも地球と同じなのか。便宜上、地球の時刻で表示しているのか、分からないところだ。
 まあしかしとにかくも地球での時刻表示に準拠しているのなら、ここで大事な充電時間目安算出に役立つことはまちがいない。
 15時40分現在で充電20パーセント、と記憶しておく。

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