チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

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 そう判断すると、この先どうすべきか真剣に考えざるを得ない。

――いや、そうか? 本当に真剣さ、必要か?

 そんな反論も、頭に浮かぶ。
 そもそも異世界に転生したなんていう荒唐無稽な事実からして、受け入れがたいのだけど。過去読んだラノベの主人公大多数みたいに「ああこれが流行りの異世界転生か」などと即刻納得する頭の柔軟さを持ち合わせているわけじゃないけど。
 しかし今いるこれを現実と認める限り、自分が模型の姿をしていること、周囲が今までの世界と異なること、これだけは疑いようがない。
 しかし、そこまで認めたとして。
 あたしの現状において、既読のラノベなどと明らかに異なる事実がある。
 まず、さっきも考えたようにこれは例のないことじゃないけど、非生物転生であること。
 これだけで、大半のラノベに見る御機嫌展開はあり得ないことになる。
 つまりはチートな能力を駆使して無双し、多数の美少女やイケメンを侍らせてヒャッハーする――内心口にしているだけで、軽薄表現に恥ずかし情けなくなってきたけど――という、あれだ。
 何しろ模型の姿で、ハーレムの主になどなりようもない。
 また、もちろんラノベの中には非生物でも無双、ハーレム主、ヒャッハーの主人公はいるわけだけど。前のくり返しになるけど彼ら、例外なくチートで強大な魔法を駆使できる能力の持ち主のはずだ。
 あたしに、その気配はない。
 無双もハーレムもヒャーも別にほしくはないけど、それよりずっと以前の問題だ。
 この世界で、あたしに何かできることがありそうにない。
 できることは、たいして速くもない移動、見ること、聞くこと。以上。
 この世界でどの程度強い存在かは知らないけどさっきの兎野郎の前で、何一つなすすべなく死んだふりする他なかった。それが現実だもんね。
 それを考えると、

――あたし、この世界に居続ける必要、あるか?

 という、疑問だけが残る。
 動物とも人間とも、意思疎通の方法が見当たらない。
 動物には攻撃されっ放し。人間には捕まったらそのまま。
 この先何か、生きる楽しみ、目標など見つけられそうにない。何せ、生きていないんだから。
 そう考えると、この先どうすべきか真剣に考える必要など、ない気もしてくる。

――本当になすがまま、でいいんじゃね?

 何ならさっきも考えたように、このままここで動かず朽ちていってもいいんだけど。
 この身体、元ネタの映画設定寄りの超合金だとしたら、そうそうたやすく壊れたり朽ちたりしそうにない。
 訳の分からないこの非生物に取り憑いた意識、いつまでこのままなのかも分からない。
 もしかすると、永遠に不老不死(?)でこの世界に存在し続ける運命なのかもしれない。
 そうだとするとこのままここで動かずというのも、退屈極まりないことになりそうだ。退屈で死にそう、なんて言い方もシュールというか意味不明に響いてきそうな。
 生きる楽しみなど、ほぼ思いつかないけど。ただ一つあるとしたら、この異世界の観察かねえ。
 前世界と異なるところが多々あるんだろうから、それを見て歩くというのならわずかに興味を持てそうか。
 こうなった以上、前世と言っていいのか、今までアラサー女として生きてきて果たせなかった一つの目標、何処か海外旅行をしてみたい、という思いもあったけど。かなり状況は異なるものの、ここで希望を叶えられるかもしれないじゃん。
 この先彼らの目を盗んで逃亡するのも不可能じゃないかもしれないけど、このままじゃその後、今いる森の中をさまようだけだろう。せっかく異世界観光するなら、自然だけでなく人間の営みも見てみたい。
 そうなるとここは、大人しくこの男たちに運ばれていくというのが得策か。もしかすると、人が住んでいる町などまで苦労せず行き着けるかもしれない。
 映画寄り設定ボディでまちがいなければ、彼らに破壊分解されることもなさそうだし。もしそこらに廃棄されても、よじ登って来れそうだし。

――よし、それでいこう。あんたたち、あたしの運搬役になっとくれ。

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