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『あと、稀に適性はあってもなかなか使えるようにならないという子どもがいるので、貴族の家でそうした指導をすることもあります』
『ふうん――とにかく私はこれまで知らなかったことなので、魔法が使えるのは羨ましい気がするな』
『私たちにとっては当たり前の存在ですが。まあ確かに、使えない者からすると使える者は羨ましく見えるものですね』
『だろうね。それにしても、この世界に来たからには私に魔法が使えるということはないだろうか』
『――それは、何とも……』
分かるはずはない、だろうなあ。
エトヴィンがいくら魔法の専門家だとは言っても、こんな人ならざるものについての研究はしていないだろう。
『魔素を身体に取り入れて魔力にする、と言ったね。その魔素というのは、どういうものなんだろう』
『これは、説明しにくいのです。研究の末、どうも空気中にそうしたものがあるらしい、と分かっているだけで。何しろ目に見えないし、匂いやそんなものがあるわけでもない。魔力の回復が休息場所によって異なるので、回復はそんな魔素というものを取り入れることで行われる、場所によって魔素の量が違うのだろうと予想されるのです』
『ふうん。その、魔素の領が多いのはどういう場所か、分かっているんだろうか』
『いくつか条件がありますが、最も分かりやすいのは自然の水の近くとか、大きな木の近く、といったところですね。なので我々が休憩や野宿をするとき、こうした川の近くなどを選ぶわけです』
『水と木、ね――』
――何やら、連想されるものがあるんだけど。
何処までこちらの実状を打ち明けてよいか、悩んでしまう。
へたにこちらの手の内を曝すと、弱みまで掴まれて利用される恐れがありそうだ。この身体で何ができるということもなさそうだけど、とにかくも摩訶不思議な存在、科学者の興味は惹くだろう。そんな研究対象で何処かに閉じ込められるのは、望むところじゃない。
しかし一方でこんな自分自身にも理解できない自分という存在の理解を深めるのに、このエトヴィンという科学者の知恵を借りるのは有用だと思うんだ。今のところこの男に、嘘や打算的な意図は感じられない、という辺りでは信じてもよさそうな。
まあやるだけやってみて不本意な成り行きになりそうなら逃亡を図る、という目算でもいいだろうと思う。
『いや説明が難しいんだが――そもそも私がこの姿でここに出現したのもわずか半日程度前のことで、分からないことだらけだしね』
『はい』
『その上で、分かっている範囲でなんだが。この身体で動いたりすることはできるんだが、その動くための素のようなものが必要で、それが不足すると警告のようなものが頭の中に見えてくるんだ』
『……はい』
『それが、あんたの言う魔力の場合と同じように、適切な場所で休息していると回復するらしい。それもさっき私が見つけられた、水辺で木の下という場所が最も適しているようなんだ』
『それは、また――』
『その回復というか充填というかそうしたものもさっき一度行った、というより現在継続して行っているだけなんで、何ともはっきりしたことは言えないんだが、とにかく分かっている範囲でその魔力の回復ってやつと似ているものを感じるな』
『そうですねえ、確かに』
『私がこうして充填しているのは、もしかするとその魔素と呼ばれるものなんだろうか』
『確かにこうして聞く限りで、可能性は高そうな気がしますね。そもそも、調べてみなければ何とも分かりませんが、あなたの身体が本当に金属のようなものだけでできていて動物のようなものの力を借りずに動けているとしたら、そんな突拍子のない話を聞いたことはありません。一方で我々の研究成果として、魔素というものが四属性すべてに共通で同じものであることが分かっています。つまりどの属性でも同じ魔素を身体に取り入れて、それぞれ自分に合った形で何らかの力に変え、四属性いずれかの魔法を発現している、と考えられています』
『うん』
『要するに魔素というのはどの属性に寄るものでもなく、魔法のような力を生み出しているわけです。それがあなたの場合、その金属の身体を動かす力に使われているのだとして、あり得ないことではない気がします』
『ううむ』
『ふうん――とにかく私はこれまで知らなかったことなので、魔法が使えるのは羨ましい気がするな』
『私たちにとっては当たり前の存在ですが。まあ確かに、使えない者からすると使える者は羨ましく見えるものですね』
『だろうね。それにしても、この世界に来たからには私に魔法が使えるということはないだろうか』
『――それは、何とも……』
分かるはずはない、だろうなあ。
エトヴィンがいくら魔法の専門家だとは言っても、こんな人ならざるものについての研究はしていないだろう。
『魔素を身体に取り入れて魔力にする、と言ったね。その魔素というのは、どういうものなんだろう』
『これは、説明しにくいのです。研究の末、どうも空気中にそうしたものがあるらしい、と分かっているだけで。何しろ目に見えないし、匂いやそんなものがあるわけでもない。魔力の回復が休息場所によって異なるので、回復はそんな魔素というものを取り入れることで行われる、場所によって魔素の量が違うのだろうと予想されるのです』
『ふうん。その、魔素の領が多いのはどういう場所か、分かっているんだろうか』
『いくつか条件がありますが、最も分かりやすいのは自然の水の近くとか、大きな木の近く、といったところですね。なので我々が休憩や野宿をするとき、こうした川の近くなどを選ぶわけです』
『水と木、ね――』
――何やら、連想されるものがあるんだけど。
何処までこちらの実状を打ち明けてよいか、悩んでしまう。
へたにこちらの手の内を曝すと、弱みまで掴まれて利用される恐れがありそうだ。この身体で何ができるということもなさそうだけど、とにかくも摩訶不思議な存在、科学者の興味は惹くだろう。そんな研究対象で何処かに閉じ込められるのは、望むところじゃない。
しかし一方でこんな自分自身にも理解できない自分という存在の理解を深めるのに、このエトヴィンという科学者の知恵を借りるのは有用だと思うんだ。今のところこの男に、嘘や打算的な意図は感じられない、という辺りでは信じてもよさそうな。
まあやるだけやってみて不本意な成り行きになりそうなら逃亡を図る、という目算でもいいだろうと思う。
『いや説明が難しいんだが――そもそも私がこの姿でここに出現したのもわずか半日程度前のことで、分からないことだらけだしね』
『はい』
『その上で、分かっている範囲でなんだが。この身体で動いたりすることはできるんだが、その動くための素のようなものが必要で、それが不足すると警告のようなものが頭の中に見えてくるんだ』
『……はい』
『それが、あんたの言う魔力の場合と同じように、適切な場所で休息していると回復するらしい。それもさっき私が見つけられた、水辺で木の下という場所が最も適しているようなんだ』
『それは、また――』
『その回復というか充填というかそうしたものもさっき一度行った、というより現在継続して行っているだけなんで、何ともはっきりしたことは言えないんだが、とにかく分かっている範囲でその魔力の回復ってやつと似ているものを感じるな』
『そうですねえ、確かに』
『私がこうして充填しているのは、もしかするとその魔素と呼ばれるものなんだろうか』
『確かにこうして聞く限りで、可能性は高そうな気がしますね。そもそも、調べてみなければ何とも分かりませんが、あなたの身体が本当に金属のようなものだけでできていて動物のようなものの力を借りずに動けているとしたら、そんな突拍子のない話を聞いたことはありません。一方で我々の研究成果として、魔素というものが四属性すべてに共通で同じものであることが分かっています。つまりどの属性でも同じ魔素を身体に取り入れて、それぞれ自分に合った形で何らかの力に変え、四属性いずれかの魔法を発現している、と考えられています』
『うん』
『要するに魔素というのはどの属性に寄るものでもなく、魔法のような力を生み出しているわけです。それがあなたの場合、その金属の身体を動かす力に使われているのだとして、あり得ないことではない気がします』
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