チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

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 再び焚き火の方を見やり、ううむ、とエトヴィンは腕組みで唸った。

「それを考えると、あなたに通常の魔法が使えても不思議はないと思うのですが。どうですか、試してみませんか」
 ハンドを傾け、疑問を返す。どうやってやるの?
「我々ですと、身体の中央部に溜めた魔素を感じ、指先に集める感覚で水などを生み出します。魔素らしきものを感じることはできますか?」

 さっき水辺で充電を行いながら、何かが身内に漂い満ちてくるような感覚を覚えてはいた。あれを体内に探し当てればいいのだろうか。
 少しの間いろいろ探り、何かそれらしきものの手応えを覚えた。それを、ハンドの先に移動しろと念じる。
 それもそれなりに成功すると、火をイメージして集結させた。
 ぽ、とハンドのわずか先に小さな炎が点った。およそ親指の先、という大きさか。

「おお、できましたね!」
 感嘆の声をいただき、かなりの感動。しかし――思ったより小さいんじゃないか、と首を傾げる。
「え、ああ――大きさが不満ですか。確かに、ふつうの火適性の者が作る火球に比べて小さめですね」

 慣れないせいか? くり返し試みれば大きくなるか、と数度同じ行為をしてみるが、炎の大きさは変わらない。

――まあこれでも、たきぎに点火する程度なら使えるか。

 思いがけず魔法が使えることになったのだから、喜びは大きい。これで不満を言うのは贅沢かもしれない、とも思う。
 それでも欲を出して、次には水をイメージして試してみた。
 ハンドの先に、水の玉が膨らむ。さっきの火よりは大きいか。

「お、水も使えましたか。これならふつうの水適性の者と同等と思えます」

 試しに、とエトヴィンも水球を出して見せてくれた。
 確かに、大きさはどっこいどっこいに見える。前説明の通り、拳二つ分というところだ。
 エトヴィンは手を振って、それを川方向に飛ばす。約二十メートルほどは飛翔して、川面に落ちたようだ。
 あたしも真似をして、マジックハンドを振ってみる。
 しかし数メートルも飛ばず、水球は地面に落下していた。

「うーん、これは練習が必要ですね。飛ばすために手を振る力は不要で、あくまで飛ばすというイメージが大切なのです」
 ふうん――首を傾げる。
「まあ飛ばせたとしてもさっきも言ったように、戦闘時に相手を牽制する程度の効果しか望めないのですが。ふつうに生活用水を得るだけなら、水球を出すだけで十分です」

 それは、理解できる。
 イメージか、と心中唸り。
 もしかするとあたしの場合、イメージが悪い方に働いているんじゃないか、と気づいた。
 昼間マジックハンドの性能を試して、速く動かすことはできても力は籠もらない、という認識を得ていた。
 その力不足という思い込みが、水球の投擲に災いしているんじゃないだろうか。そうだとしても、一度思い込むとそれを払うのはなかなか難しいかも、という気がしてしまう。

――まあ本当に、これからの練習次第か。

 火に比べて水はもう少し実用向け、という手応えを得た。それだけでも大きな成果かもしれない。
 あとは――。

「ハル殿、火と水の適性があるということは、なかなか希少な存在と言えそうです。あと残る属性は風と土ですが、試してみますか?」
 頷きを、返す。
「では、まず風ですか。火や水と同じ要領ですが、目に見えないので分かりにくいのです。私が掌をかざしてみますので、そこへ向けて放てるかやってみてください」

 頷き。
 同じくり返しで、風を念じてみる。
 ハンドの先に送った魔素らしきものが、放出される感覚、はあるけど。何も起きた気がしない。

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