チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

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 進むうち、たまに人の姿を見かけるようになった。
 かなり離れた畑らしい場所で、作業をする数人を見かけた
 予定通り街道に遠く人を見つけると、傍らの草叢に隠れてやり過ごす。
 そんなふうに人を見かけるようになったのは、北に進むにつれ人口の多い地域に近づくせいかと思う。
 この日も夜が更けたところで、森に近づいて充電休憩にする。
 前回から五日目だなと思い、念じると。
 エトヴィンの夢の中に入ることができた。

『エトヴィンさんか?』
『おお、ハル殿。久しぶりです』
『ようやく繋がることができた。ということは、やはり五日ごとということでまちがいなさそうだな』
『そのようですね。ハル殿は、まだ森の中ですか?』
『いや、二日前に出て、街道を見つけることができた。ティルピッツ侯爵領のアヒレス村は分かるだろうか』
『ああ、何となく。ティルピッツ侯爵領の南の方だと思いますね』
『やはり、予想したうちでは遠めの場所だったか』
『今地図を見ることができないので正確には言えませんが、王都まで徒歩で二十日以上、おそらく二十五日程度は見るべきでしょう』
『分かった、それを知るだけでも助かる。とにかくただ北へ向かって進むだけだな。そちらは、まだ王都への途中だろうか』
『ええ、あと七日程度のはずです。ただ、困ったことがありました』
『何だろう』
『先行させていたヘルビヒが、盗賊に襲われて負傷しました。荷物もすべて奪われ、持たせていた薬草が失われました』
『何と。怪我はひどいのか』
『全身打撲と足の骨折なのですが、幸い命は助かるようです。街道近くで倒れていたところを通りかかった旅人に救われ、昨日私たちが到着した町に運び込まれていて、連絡をつけてもらうことができました』
『命が助かるなら、不幸中の幸いか。しかし、薬草が失われた?』
『ええ、これで十枚ずつ六つに分けていたもののうち、四つが失われたことになります。残るは、私とカルステンが持っている二つだけですね』
『何とも。不運が続いているということだったが』
『不運にもほどがありますね。盗賊は十人ほどの集団だったそうですが、ヘルビヒのような明らかな戦闘職の一人旅を襲うなど、ふつうは考えられません。金目のものを所持しているようには見えず腕が立つらしいとくれば、わざわざ危険を冒しませんよ』
『そうだな。だとすれば、意図的に彼を狙ったという可能性もある?』
『今回の件だけなら、そうしたこともあり得るかもしれません。ここの領主の伯爵は、王子殿下が助からないことで利益を受ける派閥の人ですし』
『何と』
『しかしやはり、これまでの不運はそうした可能性が窺えないですからね。暴風鷲ぼうふうわしを飼い慣らして操ることができたなど、聞いたこともありません』
『そうなのか。しかしとにかくその盗賊の件だけを見ても、あんたたちの残りの旅程は油断できないと考えるべきか』
『そういうことですね。ゆめゆめ油断しないように気を張っていきます』
『うん』

 ますます真剣な響きになっている声音に、頷き返す。
 そのまま気づかないふりで、話を続けようとも思ったんだけど。
 失言だと思うけど重要な単語を聞いてしまって、流しておくのもどうかな、という気がしてしまう。

『それにしても、少々重大な言葉を聞いてしまった気がするが。命が危ぶまれているのは、王子殿下だったわけか』
『あ――』
『いや、思わず口に出てしまったのだろうけど。まあ私にそれが知られても、問題はないだろう。もちろん、誰にも言わない。夢の中ででも』
『はあ、お願いします。確かにハル殿に知られても実害はないでしょう。私の教え子で病を得ているのは、現国王陛下の第三王子、テオバルト殿下です。私が王子殿下の家庭教師をしているのはよく知られたことなので、それを隠すことは難しいのですが。現在、殿下が病に伏せっていることは、王宮の外には秘密なのです』
『なるほど』

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