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その後、無聊を噛みしめていると。
玄関口の方から、声がかかった。
「作業は、どうだい」
「ああ、村長」
マルガが出てきて、客を厨房に案内していく。
手前の方で話しているようで、会話はよく聞こえてきた。
「ちょうど試作品ができて、三人で試食していたところさあ」
「いいものができたんかい」
「狙いに近いものはできたんだがよお」答えたのは、リーヌスらしい。「今までに食ったことがないもんなんで、何とも評価できねえ」
「村長も、試してみておくれよ」
「おお、食わしてくれ」
ガタガタと、木製食器の置かれる音がする。
ひとしきり、何やらの行き交いがあり。
うーーむ、と村長が唸ったみたいだ。
「何だこりゃ、麺か?」
「そうだ」
「ここの小麦は、麺にしたら柔らかくて食えたもんじゃ――ほら、これも柔らかい――ん、何だ?」
「どうだ」
「柔らかいが、弾力があるっちゅうか――何をやったんだ?」
「小麦粉の生地をこれ以上ないほどよくこねて、三アーダ(時間)以上置いといた。それを麺に切って、茹でて、兎肉と野菜と一緒に炒めたもんだ」
つまりは、手打ち麺の焼きうどんだ。
スープで食べるには醤油がないのが悲しすぎたので、炒める方の調理法を教えた。同じようなパスタ料理はあるみたいなので、そちらとの比較で珍しさを感じてもらえるんじゃないか。
「うーーむ。当然柔らかいんだが――食えるな、こりゃ」
「旅人に受けると思うか?」
「味は十分旨いし、口当たりが珍しい――いけるんじゃないか?」
「そうか、よかった」
「これが受け入れられたとしたら、こりゃここの小麦じゃねえと作れない麺だというこったな」
「そうだ。他所の小麦だと、今までよくある麺にしかならねえ」
「うん、もしかすると代官様を説得できるかもしれねえ」
「そうだとしたら、嬉しいねえ」マルガが声を上げた。「ああそれから村長、もう一つ試作品があるんさ。食べてみておくれよ」
「おお――何だこりゃ、焼いたもんか?」
「おう、小麦粉の生地を野菜にまぶして、平らにまとめて焼いた」
「ふうむ――おお、なかなか旨え」
もう一品は、お好み焼きモドキだ。キャベツに近い野菜があるようなので、提案してみた。マルガの知る限り、似たような調理はないという。
それこそ玉子もお好み焼きソースも、何なら青海苔もないんだから、大阪人なんかに見せたら張り倒されそうな代物のはずだけど、変わった食感ということで受け入れられるならありがたいところだ。
さっき漏れ聞こえてきた様子では、兎肉とそれを茹でたスープを加えてコクを出したらしい。
「なるほど、こんな軽食みたいなもんも、面白いな」
「いけそうか?」
「おお。まあ、もう明日が期限だからな。これを代官様にぶつけるしかねえ」
「よし。明日までにまだ味をよくできねえか、工夫してみる」
「頼んだよ」
「おう」
上機嫌で、村長は帰っていったようだ。
ちら、と覗くと、朝からの雨は上がって外は陽射しが輝いている。そろそろ日暮れが近い頃合いだ。
大人たちは元気づいた様子で、調理を続けている。
こちらではハイダが起き上がり、ぐしぐしと目を擦っている。
少しして、ヴィリが訪ねてきた。天気が回復したので、遊びに来たらしい。
玄関口の方から、声がかかった。
「作業は、どうだい」
「ああ、村長」
マルガが出てきて、客を厨房に案内していく。
手前の方で話しているようで、会話はよく聞こえてきた。
「ちょうど試作品ができて、三人で試食していたところさあ」
「いいものができたんかい」
「狙いに近いものはできたんだがよお」答えたのは、リーヌスらしい。「今までに食ったことがないもんなんで、何とも評価できねえ」
「村長も、試してみておくれよ」
「おお、食わしてくれ」
ガタガタと、木製食器の置かれる音がする。
ひとしきり、何やらの行き交いがあり。
うーーむ、と村長が唸ったみたいだ。
「何だこりゃ、麺か?」
「そうだ」
「ここの小麦は、麺にしたら柔らかくて食えたもんじゃ――ほら、これも柔らかい――ん、何だ?」
「どうだ」
「柔らかいが、弾力があるっちゅうか――何をやったんだ?」
「小麦粉の生地をこれ以上ないほどよくこねて、三アーダ(時間)以上置いといた。それを麺に切って、茹でて、兎肉と野菜と一緒に炒めたもんだ」
つまりは、手打ち麺の焼きうどんだ。
スープで食べるには醤油がないのが悲しすぎたので、炒める方の調理法を教えた。同じようなパスタ料理はあるみたいなので、そちらとの比較で珍しさを感じてもらえるんじゃないか。
「うーーむ。当然柔らかいんだが――食えるな、こりゃ」
「旅人に受けると思うか?」
「味は十分旨いし、口当たりが珍しい――いけるんじゃないか?」
「そうか、よかった」
「これが受け入れられたとしたら、こりゃここの小麦じゃねえと作れない麺だというこったな」
「そうだ。他所の小麦だと、今までよくある麺にしかならねえ」
「うん、もしかすると代官様を説得できるかもしれねえ」
「そうだとしたら、嬉しいねえ」マルガが声を上げた。「ああそれから村長、もう一つ試作品があるんさ。食べてみておくれよ」
「おお――何だこりゃ、焼いたもんか?」
「おう、小麦粉の生地を野菜にまぶして、平らにまとめて焼いた」
「ふうむ――おお、なかなか旨え」
もう一品は、お好み焼きモドキだ。キャベツに近い野菜があるようなので、提案してみた。マルガの知る限り、似たような調理はないという。
それこそ玉子もお好み焼きソースも、何なら青海苔もないんだから、大阪人なんかに見せたら張り倒されそうな代物のはずだけど、変わった食感ということで受け入れられるならありがたいところだ。
さっき漏れ聞こえてきた様子では、兎肉とそれを茹でたスープを加えてコクを出したらしい。
「なるほど、こんな軽食みたいなもんも、面白いな」
「いけそうか?」
「おお。まあ、もう明日が期限だからな。これを代官様にぶつけるしかねえ」
「よし。明日までにまだ味をよくできねえか、工夫してみる」
「頼んだよ」
「おう」
上機嫌で、村長は帰っていったようだ。
ちら、と覗くと、朝からの雨は上がって外は陽射しが輝いている。そろそろ日暮れが近い頃合いだ。
大人たちは元気づいた様子で、調理を続けている。
こちらではハイダが起き上がり、ぐしぐしと目を擦っている。
少しして、ヴィリが訪ねてきた。天気が回復したので、遊びに来たらしい。
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