チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

eggy

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――増えたとか呪いとか、その対象があの家にいるのか。

 別に関わり合いにもなりたくないけど、少しだけ興味惹かれて、あたしもそちらを見た。
 試しに『鑑定』してみると、戸口の辺りにキラキラ光るものが見えてきた。

【一種のウィルス。地球の×ロウィルスに近い。致死率はやや高い。】

 と出るものが、そこの戸口を中心に周囲に散らばっているらしい。

――ウィルスによる感染症か。

 急激に感染が広がってなすすべなく、住人たちは『呪い』と判断しているのか。
 さっきの街道封鎖していた兵士たちも同じ考えで、人を近づけないようにしているということらしい。
 男たちの視線があの一軒だけに向いていることからして、患者は一箇所に集められているのだろう。治療の方法も分からず、感染というか呪いが移るのが怖くて、放置している状態か。

――それだけが立ち入り禁止の理由なのなら、あたしには無害ということになるね。

 この身体で、ウィルスに感染するということはあり得ないだろう。
 その意味では、このままあっしには関わりねえ、と通過してもいいんだけど。いつもの習慣だと、そろそろ充電場所を探す頃合いだ。
 感染中心地区で一夜を過ごすのも気分のいいものじゃないけど、どうも少し横手に小川が流れ、小さな林があるみたい。あの辺なら充電に最適かもしれない。
 焚き火から少し離れて、共用らしい井戸がある。その周辺も『鑑定』すると、それなりにウィルスが散らばっている。
 そっと離れて小川に近づくと、その近辺にウィルスは見られない。
 木陰に寄ると、充電強度は良好だ。安心して、動きを止める。
 焚き火の近くでは、何人かの男が立ち上がって家に戻っていくみたいだ。二人だけ残ったのは、何か事態が急変した際のための見張りか。
 しばらく待って。
 会話の中心になっていたと思しき男が入っていった家に向け、念を送ってみた。

『失礼する』
『な、何だ、あんたは何者なにもんだ?』
『何者かは、気にするな。何か村に、異状が起きているのか?』
『あ、ああ。呪いが広がっているのさ。もう村の半分近くが倒れて、呻いている』
『呪いって、病気じゃないのか。どんな症状なんだ』
『みんないきなり腹が痛いってのた打ち出して、吐き気や下痢を起こしたりしてるんさ。それがほんと、ついさっきまで元気だったのが、いきなり同じように倒れるのが増えている。近づいた者がどんどん同じになるんで、看病もできねえ。一つの場所に集めるのがせいぜいだ。こんな病気なんぞ、これまで見たことがないさ』
『それでもそれは、病気だぞ。目に見えない小さな病気の素が身体に入って急激に悪さをする、感染症っていうものだ』
『そうなんか?』
『目に見えないんで難しいが、その病気の素に触らないようにすれば、他の者には移らない。発症した者は嘔吐や下痢で身体の水分が足りなくなって弱っていくが、水分をとらせるように看病すれば、回復する可能性がある』
『本当か?』
『患者を死なせたくないという気があるなら、対処法を教えるが。もちろん絶対うまくいくという保証はないが、やってみるか?』
『あ、ああ。教えてくれ』

 これもまた「実体験派フリーライター」活動で、×ロウィルス対策講座に参加したことがあるんだ。

『まずその病気の素は目に見えないが、患者の排泄物や嘔吐したものから広がっていく。ただそれを口などから体内に入れないように気をつければ、まず感染は防げる。看病や処理をするときは、顔に布を巻いて口と鼻を覆う。作業が終わればよく手を洗う、着ていたものや触れた場所などは熱湯で消毒する、ということを徹底する』
『お、おう』
『石鹸というものはあるか?』
『セッケン? 何だそりゃ』
『なければいい。手を洗うのに役立つものだが、なければその分、徹底してよく洗うことだ』
『お、おう』

 対策講座での説明によると、石鹸でそれほどウィルスを死滅させる効果はないらしい。とにかく手などを洗う徹底の助けになるだけだとか。もしかすると、諸説ある話かもしれないけどね。

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