チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

eggy

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68 斬撃した 2

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 と、見やると。
 男二人は腰を抜かしたていで、草の上に座り込んでいた。
 実際に発声して注意呼びかけのすべはない。
 仕方ない。
 再度向きを変えて近づき、あたしは風魔法を振るう。
 風刃!
 斬る!
 斬る!
 斬る!
 ――――。
 一瞬の後。
 グワシャ、と音声が響いた気がした。
 頭上に衝撃があり、あたしの全身は地にめり込んでいた。

――うわあ!

 つまり。
 大トカゲのぶっとい足に、踏み潰されたということらしい。
 幸い、めり込みは数センチというところ。
 風魔法のために突き出していたマジックハンドにも、異状は感じられない。

――どんだけ丈夫なんじゃ、この車体。

 などと感嘆する暇もなく、次撃を避けてあたしは横へ急速移動した。
 間一髪、一瞬前までいた場所に、再度大きな足が踏み下ろされていた。
 おそらく奴には、こちらの外観ははっきり視認されていない。
 最初の一撃も、ほぼ当てずっぽう程度のものだろう。
 それが証拠に、その後の足踏み下ろしはまったく見当外れが続いている。
 さらに相手の死角に回ろうと、あたしは腹の下に潜り込んだ。あの速さで高速前進するのだから腹部を地面に擦りつけるはずもなく、高さ数十センチほどの余裕がある。
 さっきの攻撃は右後ろ足相手だったから、今度は左前足に近づき。
 風刃!
 斬る!
 斬る!
 斬る!
 ――――。

 グワアアアアーーーー!

 いきなり、トカゲは大きく咆哮した。
 狙われていた足を持ち上げ、苛立たしそうに振り回す。
 その隙に、右前足に近づき。
 風刃!
 斬る!
 斬る!
 斬る!

 グワアアアアーーーー!

 大声で吠え、両前足が交互に地団駄を踏む。
 その左前足に駆け寄り。
 風刃!
 斬る!
 斬る!

 グワアアアアーーーー!

 ドシン、ドシン、と地団駄。
 次は左後足に接近。
 風刃!
 斬る!
 斬る!

 グワアアアアーーーー!

 と、くり返すけど。
 どう見ても、相手に損傷は与えていない。
 どの足も痛みを感じている様子もなく、力強く地団駄がくり返される。
 つまりは次々蚊の一刺しが移動して、いらいらが昂ぶるだけということだろう。
 それでもこれで、人間を襲いかけていた足を止めることができているのだから。
 微力だろうが、続ける。
 風刃!
 斬る!
 斬る!
 微力。しつこく。
 何となく、既視感みたいなのがあって、気がついた。

――これ、まるで一寸法師やん。

 いや、あの童話での攻撃は、もっと相手に効いていたかもしれない。
 しかしまあ、とにかく。
 微力でも、続ける。
 四つの足を次々移動し。
 風刃!
 斬る!
 斬る!

 グワアアアアーーーー!

 斬る!
 斬る!
 斬る!
 斬る!
 ――――。
 調子に乗るもんじゃない。
 次の瞬間、思い知らされた。
 頭上の巨体が、いきなり素速く横移動。
 振り向きざま、大きく口が開かれ。
 牙の間から――。

 火が噴き出した。

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