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78 追随した 2
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「行くぞ、他の連中が目を覚ます前に」
「領都の兵も冒険者も、明日に間に合うはずがないっちゅうんだから、俺たちでやるしかねえ」
「ああ、親父たちに無理させる前に、できるだけのことをするさ」
「西の草原の方って言ったな。あっちだ」
「もこもこ土が盛り上がっているから、すぐ分かるそうだ」
明らかに、目的はジャイアントモールらしい。
若い二人と愛犬だけで、他の村人に先駆けて魔物退治に臨むということか。
なお彼らの話に出てきた「冒険者」という名称は、一般民の口からは初めて聞いたけど、以前エトヴィンの説明の中にあった。
古くから魔獣の被害を防ぐ仕事を主に担う「魔狩人」と呼ばれる者が、多くいた。農業と兼業の者も多かったらしい。
それが、ダンジョンの発見が増えたことも関係するらしいけど、特に中ツ森の西側で、魔物退治とダンジョン踏破で専門に生計を立てようという「冒険者」と称する者がここ数十年で増えてきているのだとか。
その冒険者を管理する「冒険者ギルド」という組織がティルピッツ侯爵領とキュンツェル伯爵領の領都に設立されたのも、十数年前からのことらしい。
――その辺はともかく、二人は犬を連れてさらに足を進めていた。
「まず、一つずつな。お前ら、もこもこの盛り上がりを見つけたら、まず一つ掘り返すんだぞ。そしてモグラが出てきたら、首筋に噛みつけ」
「相手は動きがのろいし、目がよく見えないらしい。一匹にお前ら二頭で素速くかかれば、まちがいねえ」
「いいか、頼りにしているからな」
人間の言葉を理解しているかのように、二頭は張り切った吠え声を返す。
忙しげな足どりで、一行は村の外に向かっていく。
目的地は同じらしいということで、あたしも遠慮なくそれに続くことにする。
畑の間の道を抜け、小さな林に入る。
ほとんど道らしくはないけれど人の往き来はあるらしく木々の間に踏み固められた跡を、進んでいく。
やがて木立が途切れ、かなり広い草原に出た。こちらからやや下り、見渡す限り遠方まで続くようだ。
その、けっこう手前からずっと先まで、暗闇を透かして違和感のあるものが見えた。
幅五十メートルほどだろうか。草地が掘り返されたように荒れ果てた見た目のベルト地帯が、ほぼ直線状に視界の限り続いているんだ。
あの夢の中で男が言っていた、ジャイアントモールが侵攻してきた跡らしい。途中に畑があったならひとたまりもないだろう、とその惨状が想像される。
あたしほど闇目が利かないはずの男たちは、立ち止まることなく草の坂を下っていく。
かなり進んで、一段下った先が見えるようになった。先まで見えていた荒れ地ベルトの、こちら端ということになる。
話の通り、もこもこした小山がいくつも不規則に並んでいる。一つ当たり、縦横二~三メートルほどになりそうだ。
「お、あれだな」
「おお、確かに酷え。ずっと先まで、荒らされ放題でねえか」
「あの盛り上がりの下に、魔物がいるんか。すぐには数えれねえが、確かに二~三十はありそうだな」
「みんなが来る前に、できるだけでも潰そうぜ」
「おう」
さらに近づくと、高さ三十センチ程度の小山の土はそこそこ硬度がありそうだ。
男の一人が鍬でその硬さを確かめて、二頭の犬に声をかけた。
「よしお前ら、この山を掘ってくれ。いつもの森ん中での要領だ」
「「わん」」
そこまで具体的な指示が通じているかは不明だけど、犬たちは素直に返事して土の山に向かう。
向かい合った両側から、前足で穴掘りが始まった。確かに人間が鍬などで行う作業より能率はよさそうだ。
「いつもの森の中」という表現からして、よくこのような作業、例えば芋掘りのようなことをしているのか。
その辺りの成り行きをよく観察したいので、あたしは傍の草叢でぎりぎり近くまで寄って眺めていた。
「領都の兵も冒険者も、明日に間に合うはずがないっちゅうんだから、俺たちでやるしかねえ」
「ああ、親父たちに無理させる前に、できるだけのことをするさ」
「西の草原の方って言ったな。あっちだ」
「もこもこ土が盛り上がっているから、すぐ分かるそうだ」
明らかに、目的はジャイアントモールらしい。
若い二人と愛犬だけで、他の村人に先駆けて魔物退治に臨むということか。
なお彼らの話に出てきた「冒険者」という名称は、一般民の口からは初めて聞いたけど、以前エトヴィンの説明の中にあった。
古くから魔獣の被害を防ぐ仕事を主に担う「魔狩人」と呼ばれる者が、多くいた。農業と兼業の者も多かったらしい。
それが、ダンジョンの発見が増えたことも関係するらしいけど、特に中ツ森の西側で、魔物退治とダンジョン踏破で専門に生計を立てようという「冒険者」と称する者がここ数十年で増えてきているのだとか。
その冒険者を管理する「冒険者ギルド」という組織がティルピッツ侯爵領とキュンツェル伯爵領の領都に設立されたのも、十数年前からのことらしい。
――その辺はともかく、二人は犬を連れてさらに足を進めていた。
「まず、一つずつな。お前ら、もこもこの盛り上がりを見つけたら、まず一つ掘り返すんだぞ。そしてモグラが出てきたら、首筋に噛みつけ」
「相手は動きがのろいし、目がよく見えないらしい。一匹にお前ら二頭で素速くかかれば、まちがいねえ」
「いいか、頼りにしているからな」
人間の言葉を理解しているかのように、二頭は張り切った吠え声を返す。
忙しげな足どりで、一行は村の外に向かっていく。
目的地は同じらしいということで、あたしも遠慮なくそれに続くことにする。
畑の間の道を抜け、小さな林に入る。
ほとんど道らしくはないけれど人の往き来はあるらしく木々の間に踏み固められた跡を、進んでいく。
やがて木立が途切れ、かなり広い草原に出た。こちらからやや下り、見渡す限り遠方まで続くようだ。
その、けっこう手前からずっと先まで、暗闇を透かして違和感のあるものが見えた。
幅五十メートルほどだろうか。草地が掘り返されたように荒れ果てた見た目のベルト地帯が、ほぼ直線状に視界の限り続いているんだ。
あの夢の中で男が言っていた、ジャイアントモールが侵攻してきた跡らしい。途中に畑があったならひとたまりもないだろう、とその惨状が想像される。
あたしほど闇目が利かないはずの男たちは、立ち止まることなく草の坂を下っていく。
かなり進んで、一段下った先が見えるようになった。先まで見えていた荒れ地ベルトの、こちら端ということになる。
話の通り、もこもこした小山がいくつも不規則に並んでいる。一つ当たり、縦横二~三メートルほどになりそうだ。
「お、あれだな」
「おお、確かに酷え。ずっと先まで、荒らされ放題でねえか」
「あの盛り上がりの下に、魔物がいるんか。すぐには数えれねえが、確かに二~三十はありそうだな」
「みんなが来る前に、できるだけでも潰そうぜ」
「おう」
さらに近づくと、高さ三十センチ程度の小山の土はそこそこ硬度がありそうだ。
男の一人が鍬でその硬さを確かめて、二頭の犬に声をかけた。
「よしお前ら、この山を掘ってくれ。いつもの森ん中での要領だ」
「「わん」」
そこまで具体的な指示が通じているかは不明だけど、犬たちは素直に返事して土の山に向かう。
向かい合った両側から、前足で穴掘りが始まった。確かに人間が鍬などで行う作業より能率はよさそうだ。
「いつもの森の中」という表現からして、よくこのような作業、例えば芋掘りのようなことをしているのか。
その辺りの成り行きをよく観察したいので、あたしは傍の草叢でぎりぎり近くまで寄って眺めていた。
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