チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

eggy

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 何より西側の街道をひた走る間に、新しい体験が目白押しだったんだ。そういった辺りの肉付け知識確認がほとんどとれていない。
 と同時にさっきの第三王子からの情報で、そちらの地域に緊急事態が起きているとのこと。その辺、新しい事実を掴んでいないだろうか。

『話は変わるが、ここ数日私が通ってきた侯爵伯爵領に異変が起きていると聞いた』
『ああええ、私も先ほど聞いたところですが、魔物の活動が険呑になっていると』
『やはり、事実なのか。どういった魔物なんだろう』
『どうもいろいろな種類のものがほぼ同時発生しているようなのです。ゴブリンのような小型のものから、数匹で村一つを壊滅させてしまいそうな強大なものまでですね。ゴブリンにしても百匹単位で一度に侵攻してきたなら、小さな村なら持ち堪えられないでしょうし』
『そんなのが、各地で同時期にか』
『ええ、こんな事態はこれまで聞いたことがありません』
『人的被害が起きているんだろうか』
『まだ何処もほぼ第一報が入った程度なのですが、被害を被りそうな村では避難を始めているはずです。ただそうすると、残された村の畑では作物が食い荒らされることになります。問題の二領は国内でも有数の小麦産地ですから、被害が広がると国家的大打撃にもなりかねません』
『対策としては、軍が征伐に向かっているんだろうね』
『ええ、それぞれの領軍と招集された冒険者たちが急行していると思われます。状況確認の上、国軍を動かす検討もされているとか』
『なるほど』

 話に出てきたものの中でも冒険者というのが何とも現実的に実感できないので、掘り下げて聞いてみた。以前簡単にエトヴィンから聞いていたものだけど、やはりというかカルステンの方がそうした下々の話題の詳細に通じているようだ。
 簡単に結論づけると冒険者とかギルドとかいう存在は、ほぼ生前のラノベなどで読んだものそのままだ。
 決定的にそちらと異なるのは、人間の魔法の能力が弱い点かね。よくあるような、Sランク冒険者の攻撃魔法なら龍でも一撃で吹き飛ばす、などということはあり得ない。どちらかというと上級になる条件は、剣の腕の方が優先されるみたいだ。
 ああ話の順序がおかしくなったけど、つまり、冒険者に冠するA~Fのランクづけというのは、ここにもあるというんだ。もちろんAの方が上で、そのうえに特別扱いのSランクがある。
 ついでに言うと、冒険者の身分証明になるランク証というのはあるみたいだけど、魔物討伐実績が自動でそれに反映されるとか、別のギルドにもすぐ連絡がつくネットワーク的なものは、ない。一応カルステンに確認すると、『何ですかそれ?』と呆れられた。

――まあ、当然の話だ。

 王宮にだって、遠方とすぐ連絡をつけるとか何かしらの情報共有をするとかの手段はないんだ。せいぜい鳥型魔獣を調教した伝書鳥や、見た目犬に近いグーズという魔獣を調教して小さめの荷物を運ばせることができる、という程度だという。
 中央政府にもないような超科学的手段を冒険者ギルドだけが持っているなんてことがあるとしたら、驚きひっくり返るしかないわなあ。

 ともかくも。
 こと魔物討伐に関してに限るなら、生態や狩猟方法などの専門知識は冒険者の方が詳しい。こうした大規模被害が危ぶまれる際には、軍と協力して事に当たるのが常だという。
 へたをすると国家的危機になりかねない事態も予想されるというのだから、頑張ってもらいたいものだと思う。
 さっき聞いたノベルの破滅ストーリー絡みだけなら、この災害に伯爵侯爵が危機を覚え問題の侯爵との取り引きに乗るというプロセスが必要なのだから、敵側に時間の余裕はほとんどない。数日間でも持ち堪えることができれば、最悪の事態は避けられるんじゃないかと思えるんだよね。
 もちろん、実際の現地の被害は別だけどさ。

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