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107 想起した 1
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『もうそろそろ、王宮内の人の動きが活発になってくる頃と思われます。私は目覚め次第、残った回復薬の確認に向かいます。その後、辛い話になりますが、王子殿下にこのことをお伝えしなければなりません。陛下にも報告をしなければなりませんし』
『その王子殿下に関してだけれどね、私の正体を伝えてあるので』
今後話を進めるに当たって、この点だけは共有しておいた方がいい、と伝えることにする。
エトヴィンはわずかに目を瞠って、それから頷いた。
『そうなのですか。殿下とこのように話をされたと』
『そう。いや、それ以上に驚いたことがある』
『何でしょう』
『殿下とはこのような夢の中、つまり眠った状態でなく、起きていらっしゃるときでも心の中で会話ができることが分かった』
『そうなのですか?』
『私の能力に変化が起きたのかとも考えてみたが、どうもこれは相手が王子殿下の場合に限られるようだ』
『それは何とも、驚くべきことと言いますか――まずこのハル殿の能力自体、驚く他ないわけですが――何でしょうね、殿下の属性とか、魔力の強さとかが関係するのでしょうか』
『まったく、見当もつかないね』
『研究者としてはいろいろ調べてみたくて堪りませんが、今はそれどころではありませんね。しかしそうすると、殿下を介してなら昼間もハル殿と会話ができるということですか』
『そうなるね』
『それは助かると言いますか。とにかくこうした件について、すべてを明かして相談したり愚痴を言ったりできる相手が限られますので』
『だろうね。私が他に口外しないという安心があるのだろうし、エトヴィンさんも感じているかもしれないが、どうもこの夢の中の会話では相手がかなり隠し事なく本音で話してくれるらしい実感がある』
『それは、そうかもしれませんね』
『王子殿下から、病を罹患した経過などについて話を聞いたのだが。殿下がいちばん恐れているのは、その魔法爆発か、それが両親の国王ご夫妻に害をなすかもしれない、ということらしい』
『ああ、はい。そうした悪い夢を何度もご覧になったということです』
『まちがいなくそうした悲劇が起きないように対策していかなければならないのだろうが、今までの経過や今日の出来事からしても、何か見えない力で強引に悪い方へと事態が動かされるのではないかという懸念があるのではないか』
『非科学的ではありますが、確かにそう思ってしまいますね』
『その辺も含めて、今後の対策を殿下と話し合うべきだと思う。病の治療に当たっても、本人の精神安定は重要なのだろう?』
『そうですね。昨日も正確な情報開示を求めていらっしゃいましたが、聡明な方ですので妙な隠し事は慎んだ方がよさそうです』
『調薬の頓挫については、エトヴィンさん本人からいきなり報告はしにくいのではないか。あらかじめ私から簡略に殿下に伝えておこうか。今回は予期せぬ事態が起きたが、まだ悲観の必要はないと』
『ああ……そうしてもらえると、助かるかもしれません。こちらが責任回避をするようで、気が引けますが』
『エトヴィンさんはまだそちらの事後処理があるんだろうが、殿下にとって時間は貴重だ。情報伝達は早くした方がいいと思う』
『そうですね、確かに』
全快に到るはずだった治療薬の製造に失敗した。王子に対して、なかなか配下の立場から率直に伝えにくい話だと思う。
ましてや相手はまだ12歳の子ども。これを聞いて、平静を失っても仕方のないところだ。
前世からを考えれば付き合いの長い、加えて現状あの王子が自分の生についてもどこか傍観めいた落ち着きを持って見ているということを感じとっている、あたしからの方が説明はしやすいのではないかと思うんだ。
それに今言った通り、情報伝達は早く進めた方がいい。まだまだあの王子と周囲の状況整理を進め、検討を行わなければならない事項は、嫌というほど積み上がっている感じだ。
『その王子殿下に関してだけれどね、私の正体を伝えてあるので』
今後話を進めるに当たって、この点だけは共有しておいた方がいい、と伝えることにする。
エトヴィンはわずかに目を瞠って、それから頷いた。
『そうなのですか。殿下とこのように話をされたと』
『そう。いや、それ以上に驚いたことがある』
『何でしょう』
『殿下とはこのような夢の中、つまり眠った状態でなく、起きていらっしゃるときでも心の中で会話ができることが分かった』
『そうなのですか?』
『私の能力に変化が起きたのかとも考えてみたが、どうもこれは相手が王子殿下の場合に限られるようだ』
『それは何とも、驚くべきことと言いますか――まずこのハル殿の能力自体、驚く他ないわけですが――何でしょうね、殿下の属性とか、魔力の強さとかが関係するのでしょうか』
『まったく、見当もつかないね』
『研究者としてはいろいろ調べてみたくて堪りませんが、今はそれどころではありませんね。しかしそうすると、殿下を介してなら昼間もハル殿と会話ができるということですか』
『そうなるね』
『それは助かると言いますか。とにかくこうした件について、すべてを明かして相談したり愚痴を言ったりできる相手が限られますので』
『だろうね。私が他に口外しないという安心があるのだろうし、エトヴィンさんも感じているかもしれないが、どうもこの夢の中の会話では相手がかなり隠し事なく本音で話してくれるらしい実感がある』
『それは、そうかもしれませんね』
『王子殿下から、病を罹患した経過などについて話を聞いたのだが。殿下がいちばん恐れているのは、その魔法爆発か、それが両親の国王ご夫妻に害をなすかもしれない、ということらしい』
『ああ、はい。そうした悪い夢を何度もご覧になったということです』
『まちがいなくそうした悲劇が起きないように対策していかなければならないのだろうが、今までの経過や今日の出来事からしても、何か見えない力で強引に悪い方へと事態が動かされるのではないかという懸念があるのではないか』
『非科学的ではありますが、確かにそう思ってしまいますね』
『その辺も含めて、今後の対策を殿下と話し合うべきだと思う。病の治療に当たっても、本人の精神安定は重要なのだろう?』
『そうですね。昨日も正確な情報開示を求めていらっしゃいましたが、聡明な方ですので妙な隠し事は慎んだ方がよさそうです』
『調薬の頓挫については、エトヴィンさん本人からいきなり報告はしにくいのではないか。あらかじめ私から簡略に殿下に伝えておこうか。今回は予期せぬ事態が起きたが、まだ悲観の必要はないと』
『ああ……そうしてもらえると、助かるかもしれません。こちらが責任回避をするようで、気が引けますが』
『エトヴィンさんはまだそちらの事後処理があるんだろうが、殿下にとって時間は貴重だ。情報伝達は早くした方がいいと思う』
『そうですね、確かに』
全快に到るはずだった治療薬の製造に失敗した。王子に対して、なかなか配下の立場から率直に伝えにくい話だと思う。
ましてや相手はまだ12歳の子ども。これを聞いて、平静を失っても仕方のないところだ。
前世からを考えれば付き合いの長い、加えて現状あの王子が自分の生についてもどこか傍観めいた落ち着きを持って見ているということを感じとっている、あたしからの方が説明はしやすいのではないかと思うんだ。
それに今言った通り、情報伝達は早く進めた方がいい。まだまだあの王子と周囲の状況整理を進め、検討を行わなければならない事項は、嫌というほど積み上がっている感じだ。
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