はなかすみ

敷咲 蜜

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はじまり

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 溜息のような息を上げて、彼女の肌が薄紅色に染まっていくのを、瑞波はうっとりと見つめていた。

 いつの間にか、瑞波は其処に居た。
 気が付くと、目の前で惜しげもなく裸体を晒していたのは同じ部屋の寄宿生・花島深苑だった。
 白いしなやかな指が、丁寧に深苑の肌をなぞりあげる。すると、電気に侵されたようにその華奢な体を震わせ、深苑はわずかに喘ぐ。小さな形の良い唇からは、白い歯と、濡れた紅の舌が覗き、小さないきものの様に蠢いていた。

 美しい。
 美しく、淫らで、出来ることならば一枚の絵におさめたい。瑞波は、叶わぬ願いを心の内に焦がした。美しい肢体を淫らに震わせる深苑の姿は、禁じられた絵とでも云うべきだろうか。微笑をこぼす程度にしか表情を崩さぬ深苑が、こんなにも乱れ、快楽を求める様を誰が想像しただろう。
 
 ただ一つ、惜しみを上げるならば、それは深苑を犯してるのは自分では無かったことだ。

 長く白い髪が、深苑の薄紅に染まった肌にかかる。
 年老いた者のそれでは無く、まるでアルビノのそれのような、絹糸、あるいは雨に濡れた蜘蛛の糸を思わせる、美しい白髪だった。
 精悍な体躯。高い鼻梁の向こうには、長い睫毛が動いて見える。どこから見ても、美しい男が其処に居た。そして、深苑を犯していた。

「ああ」
 瑞波は顔を覆った。
 あまりにも美しい。
 指と指の合間に見える深苑は、両足を胸にまで引き上げた格好で、男が打ち付けるその腰を仰け反らせた体で受け止めている。
 なんて美しいのか。
 自分が好きな女性が犯される様とは、なんて美しいのだろう。

 自分には、きっとできない。
 こんな、美しい絵には仕上がらない。

「ああ」
 胸に拡がっていく、背徳の渦。
 禁じられた絵を見た者が、味わう蜜の味を、瑞波は確かに味わっていた。
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