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そこは、南国。獣人の里
2-11 獣人と人間
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続けて、ダクザは言葉を紡ぐ。
「血統の限界、と言う物を君達は知っているだろうカ?」
「分かりません……」
「それは、一体?」
その間にケルノスが、お茶の入ったコップをトレイに乗せて
戻って来る。
きっかりこの場の人数分、コップが地面に置かれる。
「獣人の里は、人間の社会で言うと『限界集落』のような物なのダ。
代々獣人は、獣人を伴侶とし子を成して来タ。
それが、ある日突然子供が産まれにくくなってしまっタ……」
「血統の限界とは、近親婚を繰り返す内に正常な子供が産まれない、
もしくは死産の状態で出て来る事を言いまス……」
「ケルノスの言葉通り、ワシらの里には今、若い者が殆ど居ない状態なのダ。
そこで考えたのが、新しい血を入れる事だナ。
人間との婚姻、里の皆を説得して意見が一致しタ」
「なるほど……」
リリシは、頷くが一つだけ疑問があった。
「人間と、獣人の間に子供は産まれるの?」
アミルアも、同じ疑問を持っていたらしく慎重にダクザの答えを
待っていた。一見すると、全く違う人種だからそもそも恋愛感情は沸くのか、
子供は出来るのか、それは重要な所だ。
「ワシの母は、人間だったのダ。父は、純粋な獣人。
だから、両者の間に子供を成す事は出来ル」
「ダクザさんのお母様も奴隷として買われたの?」
「いや、母は海賊に襲われた客船に乗っていタ。
船がこの南国に座礁して、乗員の中で助かったのは彼女一人。
母を助け出し、面倒を見る内に父と母との間には愛が芽生えた。
そうして産まれたのがワシダ」
そこで、ダクザは冷たいお茶に手を伸ばし一口飲んだ。
リリシも遠慮なく、コップに手を伸ばし一口味わう。
中は、香ばしい薬草のような味がし、喉の渇きをたちまちに
潤す。
「どうか、息子との結婚を考えてくれないカ……」
深刻そうな顔で語るダクザに対し、アミルアとリリシは
顔を見合わせて悩む。
結婚なんて、すぐに決められる訳が無いと二人の顔に
書いてあった。
「先程言ったように直ぐにはお返事出来ませんわね」
「私も、まだ決めかねるよ」
「無論、将来の話ダ。今は客人として寛いで欲しいし
今直ぐ返事が欲しい訳では無イ。
君達用の、魔浄笛を新たに二つ作ろうと思ウ。
製作期間が、半年かかるから先ずは半年。
ここで暮らしてくれないカ」
「半年、かぁ……」
リリシは、夢の中の少年の事を思う。
彼は、助けて欲しいとはっきりと言っていた。
半年の間に、状況が急転したら?と不安はある。
だが、今は奴隷から助け出してくれたダクザへの
恩を返す時だ、と考え直した。
「うん、分かった」
「リリシと同じくですわ」
それから、二人の獣人の里での生活が始まった。
「血統の限界、と言う物を君達は知っているだろうカ?」
「分かりません……」
「それは、一体?」
その間にケルノスが、お茶の入ったコップをトレイに乗せて
戻って来る。
きっかりこの場の人数分、コップが地面に置かれる。
「獣人の里は、人間の社会で言うと『限界集落』のような物なのダ。
代々獣人は、獣人を伴侶とし子を成して来タ。
それが、ある日突然子供が産まれにくくなってしまっタ……」
「血統の限界とは、近親婚を繰り返す内に正常な子供が産まれない、
もしくは死産の状態で出て来る事を言いまス……」
「ケルノスの言葉通り、ワシらの里には今、若い者が殆ど居ない状態なのダ。
そこで考えたのが、新しい血を入れる事だナ。
人間との婚姻、里の皆を説得して意見が一致しタ」
「なるほど……」
リリシは、頷くが一つだけ疑問があった。
「人間と、獣人の間に子供は産まれるの?」
アミルアも、同じ疑問を持っていたらしく慎重にダクザの答えを
待っていた。一見すると、全く違う人種だからそもそも恋愛感情は沸くのか、
子供は出来るのか、それは重要な所だ。
「ワシの母は、人間だったのダ。父は、純粋な獣人。
だから、両者の間に子供を成す事は出来ル」
「ダクザさんのお母様も奴隷として買われたの?」
「いや、母は海賊に襲われた客船に乗っていタ。
船がこの南国に座礁して、乗員の中で助かったのは彼女一人。
母を助け出し、面倒を見る内に父と母との間には愛が芽生えた。
そうして産まれたのがワシダ」
そこで、ダクザは冷たいお茶に手を伸ばし一口飲んだ。
リリシも遠慮なく、コップに手を伸ばし一口味わう。
中は、香ばしい薬草のような味がし、喉の渇きをたちまちに
潤す。
「どうか、息子との結婚を考えてくれないカ……」
深刻そうな顔で語るダクザに対し、アミルアとリリシは
顔を見合わせて悩む。
結婚なんて、すぐに決められる訳が無いと二人の顔に
書いてあった。
「先程言ったように直ぐにはお返事出来ませんわね」
「私も、まだ決めかねるよ」
「無論、将来の話ダ。今は客人として寛いで欲しいし
今直ぐ返事が欲しい訳では無イ。
君達用の、魔浄笛を新たに二つ作ろうと思ウ。
製作期間が、半年かかるから先ずは半年。
ここで暮らしてくれないカ」
「半年、かぁ……」
リリシは、夢の中の少年の事を思う。
彼は、助けて欲しいとはっきりと言っていた。
半年の間に、状況が急転したら?と不安はある。
だが、今は奴隷から助け出してくれたダクザへの
恩を返す時だ、と考え直した。
「うん、分かった」
「リリシと同じくですわ」
それから、二人の獣人の里での生活が始まった。
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