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第6話: 刻まれる愛の証
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土曜日の昼下がり。
部活もなく、今日はまっすぐ家に帰る予定だった。
「ヒロくーん!」
その声に振り返ると、クラスメイトの小さな女の子が駆け寄ってきた。
栗色の髪を揺らしながら息を切らせて僕を見上げている。
「どうしたの?」
「ね、ねぇ……ヒロくんって、好きな人いる?」
突然の質問に、僕の心臓は信じられないほど大きな音を立てた。
「え、な、なにそれ……」
「い、いるのかなって……。ヒロくん、優しいし、背が小さくて可愛いし……」
女の子は恥ずかしそうに頬を赤くしながら、僕の袖を小さく引っ張った。
「……私ね、ヒロくんのこと……」
その続きは聞かなくても分かった。
でも胸の奥がぎゅっと痛むのは、目の前の子に対してじゃなく、もっと別の人のことを思い出したからだった。
(……お姉ちゃんが、これ見たら……)
急に怖くなった。
「ご、ごめん」
「え?」
「僕……そういうの、誰とも付き合うとか、まだ考えられないんだ……」
「そっか……」
女の子は少しだけ寂しそうに笑って、「変なこと言ってごめんね」と言って走り去っていった。
残された僕は、罪悪感と安堵で胸が苦しかった。
(……でも、これでよかったんだよな……)
◇
家に帰ると、いつものようにリビングでお姉ちゃんが待っていた。
制服のままソファに座り、脚を組んでスマホを弄っている姿は相変わらず女王様そのものだ。
「ただいま……」
「おかえり、ヒロ」
お姉ちゃんは視線を上げると、すぐに僕の顔をじっと見つめた。
その瞳が少し鋭い。
「……何かあった?」
「え……な、何も」
「嘘つき」
ソファから立ち上がり、僕の前に立つ。
それだけで圧倒される。僕よりずっと背の高いお姉ちゃんに見下ろされると、息が浅くなる。
「ヒロ、ちゃんと目を見て言いなさい」
「……ほんとに、何もないよ」
「まだ嘘つくの?」
お姉ちゃんは僕の顎に指をかけ、ぐっと持ち上げた。
視線が絡む。冷たい光を帯びた瞳が僕を射抜く。
「女の子に、告白されそうになったでしょ?」
「っ……」
図星だった。
僕が何も言えずにいると、お姉ちゃんの瞳が細くなる。
「やっぱり」
「……で、でもちゃんと断ったよ!」
「当然でしょ。ヒロは私のものなんだから」
お姉ちゃんはそう言って、僕の額に自分の額をそっと押し当てた。
冷たい吐息が肌にかかって、背筋がぞくぞくする。
「……でも許さない」
「……え?」
「ヒロが他の女の子に好きって言われるのも、想われるのも、全部嫌。全部全部……私だけでいいの」
お姉ちゃんの腕が僕の腰に回り、強く抱きしめられた。
体温が高い。心臓が痛いくらい鳴ってるのが、きっとお姉ちゃんにも伝わってる。
「ねぇヒロ」
「……なに」
「今日はもっと分からせてあげる」
低い声に体が震えた。
お姉ちゃんは僕の手を引っ張って、自分の部屋へ連れていった。
◇
ベッドに腰掛けると、お姉ちゃんは僕の膝の上にまたがるように座った。
制服のスカートが僕の太ももにふわりと落ちる。
それだけで頭が真っ白になる。
「ヒロ」
「……なに」
「さっきの子の顔、思い出してる?」
「そ、そんなの……思い出してない……」
「ほんとに?」
指先が僕の頬をそっと撫でる。
それが急にきつく抓られ、僕は小さく声を上げた。
「痛っ……!」
「ヒロはこれから、他の女の子なんて考えられなくなるくらい、お姉ちゃんのものになるの」
そう言って、お姉ちゃんは僕の首筋に顔を埋めた。
熱い吐息が耳にかかり、ぞくっとする。
「ねぇ、印つけてもいい?」
「……い、印?」
「他の誰にも見えないところに……お姉ちゃんのキスの跡」
「……や、だよ……」
「でも私が欲しいの」
首筋に柔らかい唇が触れた瞬間、頭が真っ白になった。
ちゅっと音を立てて何度も何度も吸われ、次第に軽く甘噛みされる。
痛いのに、それ以上に気持ちがいい。
「これで、ヒロは今日からもっとお姉ちゃんのもの」
そっと離れたお姉ちゃんの口元には、少しだけ唾液が光っていた。
その妖艶さに、また心臓が跳ねた。
◇
「ねぇヒロ?」
「……なに」
「“僕はお姉ちゃんだけのものです”って言って?」
「……やだよ……」
「言いなさい」
もう逃げ場はなかった。
お姉ちゃんの脚の上に座らされ、顎を掴まれ、目を逸らせない。
「……ぼ、僕は……お姉ちゃんだけのもの、です……」
「いい子」
お姉ちゃんはとても満足そうに微笑むと、僕を抱きしめ直した。
長い指が髪を撫で、首筋の印を優しく触れた。
「ヒロはずっと女王様の騎士。浮気なんか許さないから」
「……しないよ」
「もっと強く言って」
「……しない! お姉ちゃんが一番好きだもん!」
お姉ちゃんの瞳がとろりと甘く細められた。
そしてそっと額をコツンと当てて、息を吐く。
「よし。これで許してあげる」
◇
夜、自分の部屋に戻ってから、僕は制服を脱ぐとそっと鏡の前に立った。
首筋には小さく赤い跡があって、それを見るだけで胸が苦しくなる。
(……お姉ちゃんの印……)
指先でそっと触れる。
ちくりと痛い。けれどその痛みさえ、どうしようもなく嬉しかった。
(僕はもう……ずっと、お姉ちゃんのものだ)
誰にも取られない。
そしてお姉ちゃんも、絶対に僕だけのものだ。
そう思ったら、胸の奥が熱くて仕方がなくなった。
部活もなく、今日はまっすぐ家に帰る予定だった。
「ヒロくーん!」
その声に振り返ると、クラスメイトの小さな女の子が駆け寄ってきた。
栗色の髪を揺らしながら息を切らせて僕を見上げている。
「どうしたの?」
「ね、ねぇ……ヒロくんって、好きな人いる?」
突然の質問に、僕の心臓は信じられないほど大きな音を立てた。
「え、な、なにそれ……」
「い、いるのかなって……。ヒロくん、優しいし、背が小さくて可愛いし……」
女の子は恥ずかしそうに頬を赤くしながら、僕の袖を小さく引っ張った。
「……私ね、ヒロくんのこと……」
その続きは聞かなくても分かった。
でも胸の奥がぎゅっと痛むのは、目の前の子に対してじゃなく、もっと別の人のことを思い出したからだった。
(……お姉ちゃんが、これ見たら……)
急に怖くなった。
「ご、ごめん」
「え?」
「僕……そういうの、誰とも付き合うとか、まだ考えられないんだ……」
「そっか……」
女の子は少しだけ寂しそうに笑って、「変なこと言ってごめんね」と言って走り去っていった。
残された僕は、罪悪感と安堵で胸が苦しかった。
(……でも、これでよかったんだよな……)
◇
家に帰ると、いつものようにリビングでお姉ちゃんが待っていた。
制服のままソファに座り、脚を組んでスマホを弄っている姿は相変わらず女王様そのものだ。
「ただいま……」
「おかえり、ヒロ」
お姉ちゃんは視線を上げると、すぐに僕の顔をじっと見つめた。
その瞳が少し鋭い。
「……何かあった?」
「え……な、何も」
「嘘つき」
ソファから立ち上がり、僕の前に立つ。
それだけで圧倒される。僕よりずっと背の高いお姉ちゃんに見下ろされると、息が浅くなる。
「ヒロ、ちゃんと目を見て言いなさい」
「……ほんとに、何もないよ」
「まだ嘘つくの?」
お姉ちゃんは僕の顎に指をかけ、ぐっと持ち上げた。
視線が絡む。冷たい光を帯びた瞳が僕を射抜く。
「女の子に、告白されそうになったでしょ?」
「っ……」
図星だった。
僕が何も言えずにいると、お姉ちゃんの瞳が細くなる。
「やっぱり」
「……で、でもちゃんと断ったよ!」
「当然でしょ。ヒロは私のものなんだから」
お姉ちゃんはそう言って、僕の額に自分の額をそっと押し当てた。
冷たい吐息が肌にかかって、背筋がぞくぞくする。
「……でも許さない」
「……え?」
「ヒロが他の女の子に好きって言われるのも、想われるのも、全部嫌。全部全部……私だけでいいの」
お姉ちゃんの腕が僕の腰に回り、強く抱きしめられた。
体温が高い。心臓が痛いくらい鳴ってるのが、きっとお姉ちゃんにも伝わってる。
「ねぇヒロ」
「……なに」
「今日はもっと分からせてあげる」
低い声に体が震えた。
お姉ちゃんは僕の手を引っ張って、自分の部屋へ連れていった。
◇
ベッドに腰掛けると、お姉ちゃんは僕の膝の上にまたがるように座った。
制服のスカートが僕の太ももにふわりと落ちる。
それだけで頭が真っ白になる。
「ヒロ」
「……なに」
「さっきの子の顔、思い出してる?」
「そ、そんなの……思い出してない……」
「ほんとに?」
指先が僕の頬をそっと撫でる。
それが急にきつく抓られ、僕は小さく声を上げた。
「痛っ……!」
「ヒロはこれから、他の女の子なんて考えられなくなるくらい、お姉ちゃんのものになるの」
そう言って、お姉ちゃんは僕の首筋に顔を埋めた。
熱い吐息が耳にかかり、ぞくっとする。
「ねぇ、印つけてもいい?」
「……い、印?」
「他の誰にも見えないところに……お姉ちゃんのキスの跡」
「……や、だよ……」
「でも私が欲しいの」
首筋に柔らかい唇が触れた瞬間、頭が真っ白になった。
ちゅっと音を立てて何度も何度も吸われ、次第に軽く甘噛みされる。
痛いのに、それ以上に気持ちがいい。
「これで、ヒロは今日からもっとお姉ちゃんのもの」
そっと離れたお姉ちゃんの口元には、少しだけ唾液が光っていた。
その妖艶さに、また心臓が跳ねた。
◇
「ねぇヒロ?」
「……なに」
「“僕はお姉ちゃんだけのものです”って言って?」
「……やだよ……」
「言いなさい」
もう逃げ場はなかった。
お姉ちゃんの脚の上に座らされ、顎を掴まれ、目を逸らせない。
「……ぼ、僕は……お姉ちゃんだけのもの、です……」
「いい子」
お姉ちゃんはとても満足そうに微笑むと、僕を抱きしめ直した。
長い指が髪を撫で、首筋の印を優しく触れた。
「ヒロはずっと女王様の騎士。浮気なんか許さないから」
「……しないよ」
「もっと強く言って」
「……しない! お姉ちゃんが一番好きだもん!」
お姉ちゃんの瞳がとろりと甘く細められた。
そしてそっと額をコツンと当てて、息を吐く。
「よし。これで許してあげる」
◇
夜、自分の部屋に戻ってから、僕は制服を脱ぐとそっと鏡の前に立った。
首筋には小さく赤い跡があって、それを見るだけで胸が苦しくなる。
(……お姉ちゃんの印……)
指先でそっと触れる。
ちくりと痛い。けれどその痛みさえ、どうしようもなく嬉しかった。
(僕はもう……ずっと、お姉ちゃんのものだ)
誰にも取られない。
そしてお姉ちゃんも、絶対に僕だけのものだ。
そう思ったら、胸の奥が熱くて仕方がなくなった。
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