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第8話:旅の終わり、そして続く夜
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楽しかった温泉旅行は、あっという間に終わりを迎えた。
旅館を後にする時、僕は少し寂しいような、でもどこかホッとするような複雑な気持ちになっていた。
(……ずっとお姉ちゃんと二人きりだったし……)
家族旅行のはずなのに、結局お姉ちゃんと一緒に過ごした時間ばかりが胸に残っていた。
◇
帰り道の車の中。
お父さんが運転し、母さんは助手席でうとうとしていた。
後部座席では、お姉ちゃんが僕の肩にそっと頭を預けてきていた。
「……ヒロ」
「……なに」
「お姉ちゃん、眠い」
「……寝ればいいじゃん」
「寝るけど、ヒロの肩借りるの」
そう言って、さらに頭を押しつけてくる。
髪から微かに石鹸の香りがして、胸がドキドキした。
「……お姉ちゃん、重い」
「失礼ね。お姉ちゃんだって可憐なのよ」
「可憐が聞いて呆れる……」
「ふふ、ヒロのくせに生意気」
言葉ではそう言いながらも、お姉ちゃんは目を細めて優しく微笑んだ。
(……やっぱり可愛いな)
小さくそう思ってしまう自分がいた。
◇
家に戻ると、母さんは疲れたのか「ちょっと昼寝するわね」と言って自分の部屋へ行ってしまった。
お父さんも旅行帰りの書類整理があるとかで書斎へ。
「ふふ……また二人きりね」
「……家でも?」
「当たり前じゃない」
お姉ちゃんは僕の手を取ると、そのまま自分の部屋へ引っ張っていった。
部屋に入った瞬間、背中からそっと抱きつかれた。
「ねぇヒロ」
「……なに」
「もうちょっと一緒にいたい」
その言い方がいつもの女王様じゃなくて、少しだけ弱く聞こえて、僕の胸がくすぐったくなった。
「……僕も」
「ふふ、素直」
お姉ちゃんは嬉しそうに微笑むと、僕を抱きしめる腕に力を込めた。
◇
ベッドに並んで座ると、お姉ちゃんは僕の髪を梳きながら静かに言った。
「ヒロ?」
「……なに」
「旅行、楽しかった?」
「……うん」
「私と一緒にいられて?」
「……うん」
「もっとちゃんと言いなさい」
「……お姉ちゃんと一緒で、すごく楽しかった」
そう言った瞬間、お姉ちゃんは少しだけ驚いた顔をした。
それからすぐに微笑んで、そっと僕の頬に触れた。
「可愛い」
「……もう、そればっかり」
「だって本当だもの」
◇
お姉ちゃんの指先がそっと僕の顎を持ち上げる。
「ヒロ……命令して欲しい?」
「……え?」
「この間、寝る前に“お姉ちゃんにもっと命令されたい”って小さな声で言ってたでしょ?」
「……っ!」
恥ずかしくて顔を覆うと、お姉ちゃんは小さく笑いながら僕の手を外し、さらに顔を近づけてきた。
「可愛いヒロ。じゃあ命令してあげる」
耳元にそっと唇を寄せて、熱い息で囁かれる。
「“僕はお姉ちゃんだけの騎士です”って言いなさい」
「……っ」
瞳が潤んでしまうのを感じた。
でも逃げられなかった。お姉ちゃんの目を見つめながら、小さな声で言った。
「……僕は、お姉ちゃんだけの騎士です」
「よくできました」
お姉ちゃんは満足そうに微笑むと、そっと僕の唇に自分の唇を重ねた。
◇
そのまま、お姉ちゃんはベッドに僕を押し倒した。
「ヒロ……もっとお姉ちゃんのものになりなさい」
「……もう、なってるよ」
「もっとよ」
お姉ちゃんは首筋に口づけを落としながら、小さく囁いた。
「ヒロが他の誰にも目移りしないように……」
「……しない」
「もっとちゃんと言って」
「……お姉ちゃんだけ……他の人なんて、見ない……」
「……ふふっ、いい子」
お姉ちゃんはそっと笑って僕の頭を撫でた。
その指がとても優しくて、胸の奥が甘く痺れる。
◇
「ねぇヒロ?」
「……なに」
「私、ずっとヒロの女王様でいていい?」
いつもなら当然のように「女王様なんだから」と言うお姉ちゃんが、少し不安そうに聞くその顔が可愛くて、僕は自然と笑ってしまった。
「……ずっといて」
「……!」
お姉ちゃんは一瞬だけ驚いた顔をして、それからとろけるように微笑んだ。
そしてまた、そっと僕を抱きしめた。
「ヒロは優しいのね」
「……優しくないよ」
「どうして?」
「お姉ちゃんが他の誰かと話してたら、嫌だなって思うから……」
お姉ちゃんの瞳が小さく揺れた。
それから急にぎゅっと抱きしめられて、耳元で囁かれる。
「ヒロ……可愛すぎる。もう……誰にも渡さない」
「……うん」
胸の奥がじんわり熱くなって、気づけば僕もお姉ちゃんの浴衣の背を掴んでいた。
◇
その夜、眠る前。
お姉ちゃんは何度も何度も僕の髪に口づけを落とし、そして優しく囁いた。
「ヒロはずっと、私だけのもの。これからもずっと――わかった?」
「……うん」
「よし……いい子」
ベッドの上で絡み合う指と指。
その温かさを確かめながら、僕はそっと目を閉じた。
お姉ちゃんの匂いと温もりに包まれていると、それだけで世界の全部が大丈夫な気がした。
旅館を後にする時、僕は少し寂しいような、でもどこかホッとするような複雑な気持ちになっていた。
(……ずっとお姉ちゃんと二人きりだったし……)
家族旅行のはずなのに、結局お姉ちゃんと一緒に過ごした時間ばかりが胸に残っていた。
◇
帰り道の車の中。
お父さんが運転し、母さんは助手席でうとうとしていた。
後部座席では、お姉ちゃんが僕の肩にそっと頭を預けてきていた。
「……ヒロ」
「……なに」
「お姉ちゃん、眠い」
「……寝ればいいじゃん」
「寝るけど、ヒロの肩借りるの」
そう言って、さらに頭を押しつけてくる。
髪から微かに石鹸の香りがして、胸がドキドキした。
「……お姉ちゃん、重い」
「失礼ね。お姉ちゃんだって可憐なのよ」
「可憐が聞いて呆れる……」
「ふふ、ヒロのくせに生意気」
言葉ではそう言いながらも、お姉ちゃんは目を細めて優しく微笑んだ。
(……やっぱり可愛いな)
小さくそう思ってしまう自分がいた。
◇
家に戻ると、母さんは疲れたのか「ちょっと昼寝するわね」と言って自分の部屋へ行ってしまった。
お父さんも旅行帰りの書類整理があるとかで書斎へ。
「ふふ……また二人きりね」
「……家でも?」
「当たり前じゃない」
お姉ちゃんは僕の手を取ると、そのまま自分の部屋へ引っ張っていった。
部屋に入った瞬間、背中からそっと抱きつかれた。
「ねぇヒロ」
「……なに」
「もうちょっと一緒にいたい」
その言い方がいつもの女王様じゃなくて、少しだけ弱く聞こえて、僕の胸がくすぐったくなった。
「……僕も」
「ふふ、素直」
お姉ちゃんは嬉しそうに微笑むと、僕を抱きしめる腕に力を込めた。
◇
ベッドに並んで座ると、お姉ちゃんは僕の髪を梳きながら静かに言った。
「ヒロ?」
「……なに」
「旅行、楽しかった?」
「……うん」
「私と一緒にいられて?」
「……うん」
「もっとちゃんと言いなさい」
「……お姉ちゃんと一緒で、すごく楽しかった」
そう言った瞬間、お姉ちゃんは少しだけ驚いた顔をした。
それからすぐに微笑んで、そっと僕の頬に触れた。
「可愛い」
「……もう、そればっかり」
「だって本当だもの」
◇
お姉ちゃんの指先がそっと僕の顎を持ち上げる。
「ヒロ……命令して欲しい?」
「……え?」
「この間、寝る前に“お姉ちゃんにもっと命令されたい”って小さな声で言ってたでしょ?」
「……っ!」
恥ずかしくて顔を覆うと、お姉ちゃんは小さく笑いながら僕の手を外し、さらに顔を近づけてきた。
「可愛いヒロ。じゃあ命令してあげる」
耳元にそっと唇を寄せて、熱い息で囁かれる。
「“僕はお姉ちゃんだけの騎士です”って言いなさい」
「……っ」
瞳が潤んでしまうのを感じた。
でも逃げられなかった。お姉ちゃんの目を見つめながら、小さな声で言った。
「……僕は、お姉ちゃんだけの騎士です」
「よくできました」
お姉ちゃんは満足そうに微笑むと、そっと僕の唇に自分の唇を重ねた。
◇
そのまま、お姉ちゃんはベッドに僕を押し倒した。
「ヒロ……もっとお姉ちゃんのものになりなさい」
「……もう、なってるよ」
「もっとよ」
お姉ちゃんは首筋に口づけを落としながら、小さく囁いた。
「ヒロが他の誰にも目移りしないように……」
「……しない」
「もっとちゃんと言って」
「……お姉ちゃんだけ……他の人なんて、見ない……」
「……ふふっ、いい子」
お姉ちゃんはそっと笑って僕の頭を撫でた。
その指がとても優しくて、胸の奥が甘く痺れる。
◇
「ねぇヒロ?」
「……なに」
「私、ずっとヒロの女王様でいていい?」
いつもなら当然のように「女王様なんだから」と言うお姉ちゃんが、少し不安そうに聞くその顔が可愛くて、僕は自然と笑ってしまった。
「……ずっといて」
「……!」
お姉ちゃんは一瞬だけ驚いた顔をして、それからとろけるように微笑んだ。
そしてまた、そっと僕を抱きしめた。
「ヒロは優しいのね」
「……優しくないよ」
「どうして?」
「お姉ちゃんが他の誰かと話してたら、嫌だなって思うから……」
お姉ちゃんの瞳が小さく揺れた。
それから急にぎゅっと抱きしめられて、耳元で囁かれる。
「ヒロ……可愛すぎる。もう……誰にも渡さない」
「……うん」
胸の奥がじんわり熱くなって、気づけば僕もお姉ちゃんの浴衣の背を掴んでいた。
◇
その夜、眠る前。
お姉ちゃんは何度も何度も僕の髪に口づけを落とし、そして優しく囁いた。
「ヒロはずっと、私だけのもの。これからもずっと――わかった?」
「……うん」
「よし……いい子」
ベッドの上で絡み合う指と指。
その温かさを確かめながら、僕はそっと目を閉じた。
お姉ちゃんの匂いと温もりに包まれていると、それだけで世界の全部が大丈夫な気がした。
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