78 / 91
78. 帰国の支度
しおりを挟む
ヨーロッパで過ごした長い日々も、いよいよ終わろうとしていた。
ホテルのスイートルームの中、沙耶はベッドに腰掛け、膝に小さな化粧ポーチを置いてリップを塗っていた。
蓮は床に膝をつき、大きなスーツケースを開けて荷物を整理している。
中身のほとんどは沙耶のものだった。
ドレス、ブラウス、ヒール、ジュエリーケース――
蓮自身の服や荷物はわずかに端の方に押しやられていて、それが自然に胸をくすぐった。
⸻
「ちゃんと畳んで。……シワになると私が困るわ」
「……はい……沙耶さん……」
指先が少し震える。
まだ奥には昨日と同じ大きなバイブが入れられたままで、ゆっくりと動くたびに奥が小さく疼いた。
沙耶はそれを分かっているように薄く微笑み、そっと脚を組み替えた。
「ねぇ、蓮。これもあなたが運ぶのよ?」
沙耶が指差したのは、ベッドの脇に置かれた小さな紙袋だった。
中には鞭や蝋燭、拘束具、バイブ、ローター……沙耶が蓮を支配するための道具が全部入っている。
⸻
「……っ……はい……」
自然に目が潤む。
沙耶は楽しそうに立ち上がり、蓮の後ろからそっと抱きついた。
「全部、あなたのためのものよ。……これから日本へ帰っても、ずっと使い続ける」
「……はい……沙耶さん……」
「泣きそう?」
「……はい……でも……幸せです……」
涙が零れた。
沙耶はそれを指先でそっと拭い、耳元に唇を寄せた。
⸻
「帰国したらもっと檻を強くするって言ったでしょう? ……家中にカメラを付けるわ。どこに付けるかは飛行機の中で考えようかな。」
「……はい……沙耶さん……」
「泣いて、掃除して、料理して……私と子どものために家事をして。泣きながら私の帰りを待つの」
「……はい……沙耶さんの犬ですから……」
沙耶は嬉しそうに小さく吐息を零し、その髪を撫でた。
「良い子。……帰ったらまずもっと大きなバイブを用意しましょうね」
「……はい……ありがとうございます……」
涙がまた頬を伝った。
⸻
荷造りが終わると、沙耶はスーツケースの上にそっと腰を下ろし、蓮の顔を顎でくいっと持ち上げた。
「帰りたくない?」
「……いいえ……沙耶さんのいるところが……俺の居場所ですから……」
「可愛いことを言うわね。……じゃあ帰国しても、もっと可愛がってあげる」
そう言って沙耶は蓮の唇を深く奪い、そのまま舌を絡めた。
涙で潤んだ視界の奥で、沙耶の瞳は冷たく光っていた。
⸻
「泣きながら、日本でもずっと私に飼われなさい」
「……はい……沙耶さん……」
首輪の金具が小さく揺れ、その音がまた胸を締め付けた。
沙耶はその音を楽しむように笑い、そっと髪を撫でた。
「良い子。……じゃあ最後の夜、もう一度だけ優しく抱いてあげる」
「……はい……ありがとうございます……」
その言葉にまた涙が零れた。
でも幸せだった。
どこにいても、沙耶の檻の中にいられることが。
ホテルのスイートルームの中、沙耶はベッドに腰掛け、膝に小さな化粧ポーチを置いてリップを塗っていた。
蓮は床に膝をつき、大きなスーツケースを開けて荷物を整理している。
中身のほとんどは沙耶のものだった。
ドレス、ブラウス、ヒール、ジュエリーケース――
蓮自身の服や荷物はわずかに端の方に押しやられていて、それが自然に胸をくすぐった。
⸻
「ちゃんと畳んで。……シワになると私が困るわ」
「……はい……沙耶さん……」
指先が少し震える。
まだ奥には昨日と同じ大きなバイブが入れられたままで、ゆっくりと動くたびに奥が小さく疼いた。
沙耶はそれを分かっているように薄く微笑み、そっと脚を組み替えた。
「ねぇ、蓮。これもあなたが運ぶのよ?」
沙耶が指差したのは、ベッドの脇に置かれた小さな紙袋だった。
中には鞭や蝋燭、拘束具、バイブ、ローター……沙耶が蓮を支配するための道具が全部入っている。
⸻
「……っ……はい……」
自然に目が潤む。
沙耶は楽しそうに立ち上がり、蓮の後ろからそっと抱きついた。
「全部、あなたのためのものよ。……これから日本へ帰っても、ずっと使い続ける」
「……はい……沙耶さん……」
「泣きそう?」
「……はい……でも……幸せです……」
涙が零れた。
沙耶はそれを指先でそっと拭い、耳元に唇を寄せた。
⸻
「帰国したらもっと檻を強くするって言ったでしょう? ……家中にカメラを付けるわ。どこに付けるかは飛行機の中で考えようかな。」
「……はい……沙耶さん……」
「泣いて、掃除して、料理して……私と子どものために家事をして。泣きながら私の帰りを待つの」
「……はい……沙耶さんの犬ですから……」
沙耶は嬉しそうに小さく吐息を零し、その髪を撫でた。
「良い子。……帰ったらまずもっと大きなバイブを用意しましょうね」
「……はい……ありがとうございます……」
涙がまた頬を伝った。
⸻
荷造りが終わると、沙耶はスーツケースの上にそっと腰を下ろし、蓮の顔を顎でくいっと持ち上げた。
「帰りたくない?」
「……いいえ……沙耶さんのいるところが……俺の居場所ですから……」
「可愛いことを言うわね。……じゃあ帰国しても、もっと可愛がってあげる」
そう言って沙耶は蓮の唇を深く奪い、そのまま舌を絡めた。
涙で潤んだ視界の奥で、沙耶の瞳は冷たく光っていた。
⸻
「泣きながら、日本でもずっと私に飼われなさい」
「……はい……沙耶さん……」
首輪の金具が小さく揺れ、その音がまた胸を締め付けた。
沙耶はその音を楽しむように笑い、そっと髪を撫でた。
「良い子。……じゃあ最後の夜、もう一度だけ優しく抱いてあげる」
「……はい……ありがとうございます……」
その言葉にまた涙が零れた。
でも幸せだった。
どこにいても、沙耶の檻の中にいられることが。
0
あなたにおすすめの小説
朔望大学医学部付属病院/ White Dictator
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
White Dictator______通称:『白衣の独裁者』
<ホワイト・ディクテイター>
⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯
圧倒的な「実力」と「技術」で捩じ伏せ・現場を支配する凄腕たち。
___ ごく僅かな一瞬の隙も逃さない神手の集まり。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる