【R18】支配と快楽の檻で

ましゅまろ

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81. 新たな檻のはじまり

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タクシーを降り、沙耶の家――これから蓮が檻の中で暮らす場所の玄関に立つと、自然に胸が苦しくなった。
 以前この家へ初めて招かれたとき、沙耶の香水の匂いや整えられたインテリアにただ緊張していたあの日の自分は、もうここにはいない。

 (今日から……ここが完全な檻になる……)

 足元が自然に震える。
 でも恐怖ではなく、どうしようもない甘い痺れだった。



 家に入ると、既に業者が沙耶に呼ばれて待機していた。
 スーツ姿の男性が数人、小さなカメラやモニターのセットを抱えて作業を始める。

 リビングの四隅に、キッチンの天井に、階段の上に――
 そして最後に、蓮が寝起きする予定の部屋にまで。

 沙耶は何でもない顔で業者に指示を出し、その隣に蓮を立たせていた。



 (これから……このカメラで……全部沙耶さんに見られるんだ……)

 掃除しているときも、洗濯物を干しているときも、泣きながら料理をしているときも――
 全部、沙耶のスマホに映される。

 (もう逃げ道なんて、どこにもない……)

 胸が自然に詰まった。
 でもその奥は恐ろしいほど甘く熱く疼いていた。



 沙耶は業者の説明を受けながら、ふと蓮を見やる。

 「泣きそう?」

 「……はい……」

 涙が視界に滲む。
 沙耶は微かに口角を上げて笑い、その髪を撫でた。

 「可愛い。……全部見張られるのよ? 泣きながら掃除してる顔も、我慢してる声も。これからは毎日ね」

 「……はい……沙耶さん……」

 涙がまた一筋、頬を伝った。



 業者は淡々と作業を終え、モニターとカメラの動作を沙耶に確認して帰っていった。

 静かになった家に、かすかに機械の作動音が響く。
 沙耶はリモコンを軽く操作し、蓮の部屋の映像をリビングのモニターに映し出した。

 そこには、まだ少し震えている自分の姿が映っていた。

 (もう……本当に……全部沙耶さんに見られる……)

 胸が詰まり、自然にまた涙が滲んだ。



 沙耶はソファに腰掛け、モニターを眺めながら蓮を手招きした。

 「こっちにいらっしゃい」

 「……はい……」

 全裸のまま、首輪だけをつけて歩くその足取りは震えていた。
 沙耶の前に跪くと、そっと顎を持ち上げられ、冷たい瞳が蓮を覗き込む。

 「今日から、あなたの全部をこの家で見張るわ。……泣いても無駄よ?」

 「……はい……沙耶さん……ありがとうございます……」

 涙が堰を切ったように溢れた。
 でも沙耶は嬉しそうに微笑み、その涙を指で撫で取った。



 「これから毎日、この檻で泣きながら尽くすの。掃除も洗濯も、私と子どものために……全部泣きながらやりなさい」

 「……はい……沙耶さん……」

 「泣きながら尽くす姿が、一番可愛いんだから」

 「……はい……」

 首輪の金具が小さく揺れる音が、部屋の中に微かに響いた。

 沙耶はその音を楽しむようにもう一度微笑み、ゆっくり蓮の髪を梳いた。



 (もう……戻れない……)

 どこにも逃げ道はなかった。
 でもそれが恐ろしく幸せだった。

 泣きながら家事をして、それをスマホ越しに沙耶に見守られながら生きていく。
 全裸で首輪だけをつけて、犬としてこの家で生きる。

 (沙耶さんに……ずっと飼われて生きる……)

 その未来がどうしようもなく愛おしくて、自然にまた涙が溢れた。



 沙耶はそっと顔を寄せ、唇を耳元に這わせた。

 「良い子。泣きながら……これからも私に尽くしなさい。私の犬として」

 「……はい……沙耶さん……沙耶さんの犬です……幸せです……」

 自然に頬が濡れ、その涙を沙耶が舌先で舐め取る。

 胸の奥にあるのは甘い恐怖と圧倒的な幸福――
 その檻の中で、蓮は静かに目を閉じ、沙耶の温度だけを感じていた。
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