日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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21.未来への誓約

帰国

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1943年2月22日、ハワイ・ホノルル。

朝焼けがゆっくりと空を染めるなか、蒼月レイは静かに滑走路を見つめていた。
目の前に停機するのは、日本政府が特別に用意した専用機――艶のある深緑色の機体に、旭日を象ったエンブレムが小さく刻まれている。

彼は、ハワイでの一ヶ月と少しの休養を経て、いま再び“最前線”へと戻ろうとしていた。

「……ありがとう、ハワイ。君の空は、優しかった」

小さくつぶやいた言葉は、機体の轟音にかき消された。



レイが去る少し前――

「私、レイと一緒に日本に行く」

結城桜の声が静かに響いた。

桜の両親の顔には深い憂慮が刻まれていた。

「桜……あなたはまだ十五歳なのよ。そんなに……急がなくても……」

「彼はただの少年じゃない。“国そのもの”と同じだ。背負っているものがあまりにも大きく、過酷な世界にいる。しかもまだ出会って1ヶ月だろ、冷静に自分の将来を考えなさい。」

「冷静に考えた結果よ。私はレイと一緒に生きていくの。そして、レイと一緒に日本の未来だけじゃなくて、お互いの未来も一緒に作っていきたいの」

桜の目に、一切の迷いはなかった。



別々の滑走路。別々の便。

だが、ふたりの帰国は同じ日だった。

専用機に乗り込んだレイの横では、秘書の芦田が機密書類の山を整えていた。

「すでに日本では、旧勢力の一斉検挙は完了しています。政治、軍、財界の不正構造は、ほぼ解体されました」

「抵抗は?」

「少数です。民意と、陛下のご意向が背後にある以上、表立って反発する者はいません」

レイは目を閉じ、ゆっくりと頷いた。

「……ありがとう」

「ですが」

坂本は声を潜めた。

「問題は“壊した後”です。制度も、倫理も、再構築が必要です」

「それが僕の役目だよ。……戻ったら、次は“つくる”番だ」



一方、別の民間便では、桜が窓の外をじっと見つめていた。

(本当に……行くんだ)

父と母の顔が脳裏をよぎる。反対され、泣かれ、それでも選んだこの道。

その未来が、どんなに苛酷でも。

(これからよろしくね…)



日本・羽田空港。午後三時。

滑走路に着陸した特別機を、報道陣と警備車両が出迎える。

だが、レイの姿はすぐには見えなかった。

彼は機体後方から、警護官に囲まれたまま、静かに地上へと降り立つ。

顔に張り詰めた緊張と、ほんのわずかな安堵。

この国を去ってから、わずか一ヶ月余り。だが、すでに“景色”が変わっている。

迎えに現れたのは、内閣総理大臣・米内光政、そして皇宮の使者。

「……お帰りなさいませ、蒼月殿」

「ただいま戻りました。……これより、再始動します」

その言葉に、周囲の人間が小さく息を呑んだ。



同じ頃。桜を乗せた便も、無事に別の空港へと到着していた。

「レイ……追いつくよ、すぐに」

彼女は日本の土を踏みしめ、夕陽に照らされながら、小さく微笑んだ。

空は――あの日、二人で見たハワイの空と、同じ色だった。
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