ショタに癒されたいんです。

ましゅまろ

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こんにちは!お兄ちゃん!

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蒼(あおい)は、深く息を吐いた。
都心の喧騒から逃れるようにして選んだ、小さな住宅街の端にある一軒家。家具もほとんど揃っていない部屋の中に、ダンボールがまだ積まれている。

「これから、ここで……やっていけるかな」

職場での人間関係、慌ただしい毎日、途切れた会話。
蒼は、人との距離感をつかむのが少し苦手だった。誰かと一緒にいると疲れてしまうのに、一人でいると寂しさが押し寄せてくる。

そんな朝だった。

ピンポーン。
突然、インターホンが鳴った。

「え……誰だ?」

引っ越し先ではまだ誰とも関わっていないはずだ。
首をかしげながらドアを開けると、そこにいたのは、見上げるような小さな男の子だった。

「こんにちは!おにいちゃん、新しく引っ越したきたひと?」

明るく澄んだ声と、大きな瞳。
Tシャツにショートパンツという身軽な格好の少年が、にこにこと笑って立っていた。

「あ、うん……そうだけど。君は……?」

「ぼく、はる。となりの家に住んでるの!お母さんが、『隣に挨拶行ってきなさい』って!」

「そっか……ありがとう、はるくん」

少し面食らいながらも、蒼は自然と笑みを返していた。
こんなふうに、誰かに屈託なく話しかけられたのは、いつ以来だろう。

「ねえ、おにいちゃんって、何してるひと?名前は?」

「えっと……蒼。会社で働いてるよ。あんまり面白くない仕事だけどね」

「ふーん……じゃあ、いっつも忙しいの?」

「まあ、そうかも。でも今日は休みだから」

すると、はるはぱっと顔を輝かせた。

「じゃあ、遊べる?おかあさん、今から仕事で夜まで帰ってこないんだ。1人でつまんないし!」

蒼は一瞬、戸惑った。
けれど、はるの無邪気な瞳に押されるようにして、玄関のドアを少し開いた。

「……ダンボールだらけだけど、それでもよければ」

「やったー!」

嬉しそうに笑って、はるはスニーカーを脱いで、ぴょこんと家に上がり込んだ。
その姿を見ながら、蒼は思った。

(すごく可愛い……)

窓の外から差し込む光が、まだ何もない部屋を少しだけ明るく照らしていた。
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