ショタに癒されたいんです。

ましゅまろ

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ふたりの湯気の中で

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「おにいちゃん、今日一緒にお風呂入っていい?」

夕食後、眠そうに目をこすりながら、はるがそう尋ねた。
発表会を終えた日は緊張がほどけたのか、どこか甘えん坊モードが抜けきらないようだった。

「もちろん。今日は疲れたでしょ。ゆっくり温まろう」

「やったぁ」

はるは笑顔で立ち上がると、脱衣所へぴょこぴょこと向かう。
蒼もあとを追いながら、ふと思う。

(この時間も、もう当たり前になってきたな……)



「じゃあ、服脱がせてー」

「自分で脱げるでしょ?」

「だって、今日は“がんばった日”だから、特別だもん」

蒼は苦笑しながらも、そっとシャツのボタンを外し、パジャマの上を脱がせていく。
首元からのぞく小さな肩。日差しを受けて少し焼けた肌に、子どもらしさとどこか成長の兆しが重なる。

「はい、腕あげて」

「はーい」

ぱさり、とシャツが床に落ちる。

「じゃあ、次はおにいちゃんの番ね!」

はるは笑顔で蒼のパジャマのボタンを一つ一つ外していく。
慣れた手つきではあるけれど、少しだけ指が震えているのは、今日の疲れのせいか、それとも。

「よし、じゃあ入ろうか」

ふたりは湯気の立つ浴室へと入っていった。



洗い場では、蒼が椅子に座り、はるが背中に泡をのせる。

「……ごしごし、ごしごし……どう? いたくない?」

「ちょうどいいよ。はる、上手になったな」

「えへへ。おにいちゃんの背中、だいすきだからね」

蒼は照れくさそうに笑いながら、タオルを交換して今度ははるの背中を洗う。

「くすぐったいー!」

「我慢、我慢」

肩、腕、背中、そして髪――丁寧に洗いながら、蒼はふと、はるの身体がほんの少しだけ“少年”から“少年らしさ”を帯び始めていることに気づく。

(成長してるんだな……当たり前だけど)

その事実に、ほんの少しだけ胸がきゅっとなる。



湯船に並んでつかると、はるは目を閉じて深く息を吐いた。

「ふぅ……しあわせ……」

「そっか。ならよかった」

「ねぇ、おにいちゃん。ぼく、大きくなったら、もっと一緒にいられなくなるのかな?」

「……どうしてそう思ったの?」

「なんとなく。大きくなると、お風呂とか一緒に入らなくなるって言うし。いろいろ、かわるのかなって……」

蒼は一瞬、言葉を探してから答えた。

「たしかに、変わることもあるかもしれない。でも、ひとつだけ変わらないことがあるよ」

「なに?」

「はるがどんなに大きくなっても、俺がはるを大切に思ってるってこと。それだけは、ずっと変わらない」

はるは、ほっとしたような顔をして、蒼の腕にそっと頭をもたれさせる。

「……じゃあ、ぼくも変わらない。ずっと、おにいちゃんが大好き」

湯気の中で交わされた、ささやかで、でも確かな想い。
それは静かに、ふたりの関係をまた少しだけ深くしていった。
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