ショタに癒されたいんです。

ましゅまろ

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この想いは、誰にも言えない

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「――あれ? その子、蒼くんの弟?」

ある土曜の午後、駅前のベーカリーでのことだった。

蒼がはると並んで並んでパンを選んでいると、偶然、職場の同僚に出くわした。

「え……あ、いや、その……」

蒼が言葉に詰まっている間に、はるが無邪気に笑顔で手を振った。

「こんにちはー! ぼく、おにいちゃんのとなりに住んでる“はる”です!」

「……そ、そっか。ご近所さんなんだ。すっごく仲いいんだね~」

同僚の視線は穏やかだけど、どこか探るようで、蒼の胸が少しざわついた。

(俺たちの関係は、見た目にはただの“仲のいい近所の子”でしかない)

(でも――本当は、“誰にも見せられない気持ち”が、確かにここにある)



帰り道。
はるは特に気にした様子もなく、手を繋ぎながらニコニコしていた。

「おにいちゃん、顔こわばってたよ?」

「そ、そうか?」

「……もしかして、“だれかに見られる”の、いやだった?」

蒼は返事をしなかった。
はるはその沈黙を受け止めるように、少しだけ手に力を込めた。

「ぼくね、さっきの人に“なにか言われたらどうしよう”ってちょっとドキドキした。でも……」

「でも?」

「それでもやっぱり、“おにいちゃんのそばにいる自分”が好きだから、もう隠したくないなって思った」

蒼の心に、その言葉が静かに刺さる。

(俺は……まだこの気持ちに、後ろめたさを抱えてるのかもしれない)

(社会の目、常識、大人としての立場――)

(それでも、はるは俺を“信じる”と言ってくれてる)

「……ありがとう。はるがそう言ってくれるのは、すごく嬉しい」

「じゃあ、ぼくのこと、胸を張って“隣の子”って紹介していい?」

「……うん。だけど、もう少しだけ……時間をちょうだい」

「うん。待つ。だって、“この関係”って、すぐにわかってもらえるようなものじゃないもんね」

はるは微笑んで、また手を繋ぎなおした。



その夜、蒼は布団の中で目を閉じながら、心の中で小さく呟いた。

(この想いは、まだ誰にも言えない。だけど……)

(言葉にならない想いが、確かにここにある。
はるの笑顔を守りたいという、この気持ちが――)
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