ショタに癒されたいんです。

ましゅまろ

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将来の夢は、おにいちゃんのそばにいること

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「ねぇ、おにいちゃん。ぼく、将来の夢が決まったかも」

夕食後のテーブルで、オムライスをつつきながら、はるが真剣な顔で言った。

「へぇ、珍しいな。いつも“ポケモンマスター”とか言ってなかったっけ?」

「それはそれで本気だけど……ちゃんと“現実的な夢”も考えてみたの」

蒼は少し驚きながらも、箸を置いてはるに向き直る。

「それで? どんな夢?」

「……“おにいちゃんと一緒にいられる大人になること”」

蒼はその言葉に一瞬、言葉を失った。

「……たとえばね、おにいちゃんの仕事を手伝えるような人になるとか、
お金の勉強をして、ふたりで暮らすのに困らないようにするとか……
そういう“ちゃんと一緒にいられる理由”を作れる人になりたいの」

「……はる」

「ぼく、ずっと子どもだから“好き”って言っても届かないのかなって思ってた。
でも、未来のぼくが“大人”になったときに、もしまだおにいちゃんのそばにいたら……
そのときの“好き”は、ちゃんと届いてほしいから」

蒼の胸の奥が、じんと熱くなった。

小さな身体に、こんなにもまっすぐで強い想いが詰まっている。
それはもう、“子ども”とか“守られる側”なんかじゃない。

はるは、自分の言葉で、自分の未来をつくろうとしている。

「……ありがとう。そんなふうに考えてくれるはるが、俺は誇らしいよ」

「ほんとに?」

「ああ。でも……プレッシャーもすごいぞ? 俺も立派な大人でいなきゃいけないなって、思わされた」

「ふふっ、じゃあふたりで立派になろうね。
ぼくは“将来の夢”、ずっと更新していくからさ。おにいちゃんの隣にいられる形で」

その言葉に、蒼は思わず微笑んだ。

(この子の“好き”は、こんなにも純粋で、こんなにも現実的だ)

(なら――俺も覚悟を決めなきゃいけない)



その夜。
はるは久しぶりに蒼のベッドにもぐりこみ、肩をぴたりと寄せてきた。

「ねえ、おにいちゃん。ぼくが大人になったら、またこの話していい?」

「もちろん。そのときは、ちゃんと答えるよ」

「……楽しみにしてるね」

やがて眠るはるの寝息を聞きながら、蒼はそっと、彼の髪に触れた。

この絆は、もうただの“癒し”じゃない。
未来を見つめる“ふたりの願い”に、静かに形を変えはじめていた。
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