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3話 ゲーム感覚※
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市井に強引に手を引かれ二人に連れられて来たのは、昨日も訪れた路地裏だった。
ビルに囲まれた薄暗い道に足を踏み入れた瞬間、昨日の出来事がフラッシュバックし、全身に緊張が走る。
「⋯⋯ッ」
「⋯⋯ん?あは、凄い手汗!緊張してる?かわいー」
「うぅ……」
振り向き見下ろしてきた市井は、血の気が引いて青ざめるオレの顔を見て微笑んだ。
大きな手が頭に触れると、更にビクリと怯える。市井はその姿を、心底楽しんでいるように見えた。
「あ?建付け悪いな」
そうこうしている間に、千紘は路地裏にある雑居ビルの勝手口の扉に手をかける。
開けようと試みているが、押せども引けどもビクともしない様子だった。痺れを切らした千紘は、勝手口の扉を強引に蹴り飛ばす。
「ヒッ⋯⋯!」
その光景に、また冷や汗と共に小さく悲鳴が漏れる。
昨日のように、いや、今日はもっと酷い目を見るんじゃないかと思うと、想像だけで目に涙が浮かんだ。
「ふふ、あいつ足グセ悪いよな。大丈夫だよ、大人しくしてれば痛い事はしないから」
「う、うぅ……」
笑顔を向ける市井に、何の安心感も得られない。
向こうで、「開いたから早く来い」と千紘に声をかけられると、手を引かれ部屋の奥に連れ込まれた。
部屋の中は、今は使われている気配のない廃れたオフィスだった。
ローテーブルとソファという最低限の家具に、床には負債の紙が山のように散らばっている。
それらを踏みつけて、千紘は古いソファに腰掛けて長い脚を組んだ。
「ここはもう何年も使われてない俺たちの隠れ家のひとつだ。まあ、そう緊張すんなよ」
こっちに来い、と千紘が手招く。
小さく身体を震わせながら、手を引かれ二人に挟まれるようソファに座らせられた。
背の高い千紘と市井に対して、平均値よりも低い身長のオレは、その威圧感だけで押し潰されそうだった。
「そういえばマツリちゃんってビョーキとか持ってないよな?」
千紘が二つに結われたオレの金髪を、暇を持て余すように弄る。
「⋯⋯はッ、⋯⋯病気、とは⋯⋯」
「ほら、プロフィールに“どんなプレイも大好き!たくさん可愛がってね”って書いてんじゃん。中学生なのに随分遊んでるんだなぁと思って」
「なっ!?」
千紘の持つスマートフォンのディスプレイに映し出されたそこには、自分の知らないサイトのアカウントだった。
先輩たちが隠れて撮ったと思われる写真が、何枚もそのアカウントに投稿されていた。
(こんなの、いつの間に……!)
画面を見て真っ青になり硬直する。市井が同じようにスマホの画面を覗き込む。
「ねえ、今までどれくらい遊んできたの?だいぶ使い込んでる感じ?」
「ち、違う!僕は何にも⋯⋯!!これは先輩たちが勝手に⋯⋯!」
上手く言葉が纏まらないまま必死に否定するが、二人の表情が変わる事はなかった。
千紘は持っていたスマートフォンをテーブルの上に置き、そのままオレの頬を強引に掴んで顔を近づける。
「っ、うっ……!」
(うわっ⋯⋯この人、イケメンだ⋯⋯)
そんな呑気なことを考えながら、オレは千紘の言葉を怯えながら待った。
「ふーん⋯⋯。やっぱり?生放送するって言った日に急にリンク貼ってたしな。じゃあもしかして、セックスしたことない?」
「⋯⋯ッ!!はひ、あのっ、らから⋯⋯!」
これは本当に最後のチャンスだと思った。
ここで食い下がれば、もしかして解放してくれるのではないか。そんな淡い期待を胸に、オレは困ったような笑顔で、二人の顔を交互に見つめた。
「⋯⋯しぇんぱいたひに、むりやりやらされて⋯⋯らから、解放ひて⋯⋯」
「じゃあ俺たちが最初の相手って事じゃん。超ラッキー」
話の腰を折られ、千紘は喜々としながら掴んだ頬を無理やり引き寄せた。
「ッ!?」
突然の出来事に、何が起こったのか分からず目を見開いたままのオレは、唇に触れる感触を後から拾い上げる。
数秒の間のあとに、やっと自分がキスされているということに気がついた。
「ッむ、ぐ!?⋯⋯うぅ!!」
驚いて手足を乱暴に荒立て抵抗しようと試みるが、横に座る市井の腕がいつの間にか身体に回り、身動きが取れなかった。
「ふッ!⋯⋯ムゥ!!」
それでも口にへばりつく不快な唇を取り除こうと必死に藻掻くが、身体を抑える市井の腕にグッと力が入る。
「マツリちゃーん、あんまり暴れると危ないよー?日みたいに蹴り飛ばされたくないなら、いい子にしなよ」
とぼけた声色の市井が、最後に冷たく言い放った言葉に体が硬直した。
「ッ……」
「なんだ、もうバラすのか。まあでもそういうコトだから、大人しくしてろよ」
唇を放した千紘が、口角を上げてニヤつく。
まるでオレが気づいていないと思い込んで、必死に媚びへつらっていたのを、嘲笑うかのように。
オレは顔を青くして、抵抗する事を諦めた。
「やっぱり⋯⋯気づいて⋯⋯」
「あぁ。昨日の途中からな。あのままココに連れ込んでも良かったけど、キミの仲の良い先輩たちにも挨拶しておきたかったから⋯⋯今日の生放送まで待ったんだよ」
千紘はそう告げながら、固まるオレを他所に、セーラー服のスカートを黙々と捲り上げる。
「うーわ。エッロい下着⋯⋯こんなの毎日着てんの?先輩も良い趣味してんね~」
「あッ!み、見ないで⋯⋯」
顔の横から市井が覗き込み、ヒュウとからかうように口笛を鳴らす。
頬が一気に上気し足を閉じようと試みるが、反動するように千紘が余計にこじ開ける。
「隠しちゃ勿体無いだろ?どうせもっと恥ずかしいトコロこれから晒すんだし」
そう言いながら長くて細い指が、白のレースフリルがふんだんに纏った薄布の先に触れる。
「ぅわッ!?」
ふざけて先輩が触ったりもしたことはあったが、これほどイヤラシく舐るような触れ方は初めてだった。
振り払いたい気持ちとは裏腹に、そこは徐々に緩く芯を帯び始めた。
「おお、すっげ。この生地よく伸びるな⋯⋯ほら、もう半勃ちじゃん」
「ぅ、あッ!はっ、はぁっ⋯⋯もっ、やめ、許して⋯⋯」
生地の上からでも皮を擦る感触がムズムズと快感を拾い上げ、目には涙が浮かぶ。
他人の手に触れられる事がこれほどまでに気持ちいいものだとは知らず、力が抜けていく。
「先っぽハミ出してんじゃん。可愛い包茎チンポだな」
「あははっ、男に触られて勃っちゃうなんて、本当に初めて?疑っちゃうなぁ」
「やッ、ごめ、なさ⋯⋯昨日の事はっ謝りますっ、から!も、許して⋯⋯くださ」
いつの間にかショーツはズラされ、直に千紘の手が陰部を扱く。
プクリと我慢汁が溢れ潤滑剤代わりになったソコは、余計に快感を引き寄せた。
「ハッ!やだッ⋯⋯ひぅッ!うんんッ」
後ろでは市井が耳や首を吐息混じりに執拗に舐め、こそばゆい感覚が全身に走る。
頭が麻痺したようにボーッとし始め、自身の吐き出す荒い息と、わざとらしく音を立て舐めるリップ音が脳に響く。
「あッう!お、お金⋯⋯っ!明日っ持って⋯⋯んんッ、くるからぁ!許、しッふっ⋯⋯う」
「⋯⋯なんかさっきから勘違いしてるみたいだけど、昨日の事なんて微塵も気にしちゃいねえよ?頑張ってヤンキー演じてて面白いなとは思ったけど」
千紘は笑いながらグショグショになったショーツを脱がす。市井は後ろから腕を伸ばし両足を拡げさせ、更にあられもない姿になってしまう。
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなオレは、視界が歪むほど涙が溢れた。
「穴ちっさ。毛も薄いね~ほぼパイパンじゃん」
「ゔぅっ、恥ずかしい⋯⋯!言わ、ないで⋯⋯」
千紘が両手を使い固く閉ざされた後孔に軽く触れる。
まだ何も知らない無垢な孔は、外部からの刺激に敏感に反応してしまう。
「ぅッ!?ぁ゙ッ!⋯⋯冷たっ」
ドロリ、としたものが下半身を伝う。
視線を送った先には、いつの間にか片手に持っていた千紘がローションの液を垂らし、じっくりと窄まりに塗り込んでいた。
「気持ち、悪い!放しッ、ンぁ゙ッ!?」
言い終わる前に、後孔に異物が侵入する感覚に悲鳴を上げた。
千紘の指が、潤滑剤と共にグププ、と頑なな蕾をこじ開け中を拡張していく。
「ヒッ!や、やだ!怖いぃ⋯⋯うゔッ!」
「ちゃんと解してやるからリラックスしろって。痛い思いしたくないだろ?」
「そうだよ~ほら、マツリちゃん深呼吸して~」
「ふッむ!ンンッ!」
市井の手が顔を掴み強引に横に向かせると、乱暴に口づけられる。
口内に指を突っ込まれ、無理やり口を開かされ、市井の分厚い舌が否応なしに口腔内を犯した。
「はッ、ん⋯⋯ふぁッ、んむッ」
歯列をなぞり、上顎をねぶると、背筋に電流が走り脳が快感を拾い上げる。
お互いの吐息が口内を行き交い、酸素が徐々に減り思考が鈍る。
(ぅぁ、この人の、キス⋯⋯あたま変になる⋯⋯)
「いいねぇ。じゃあ二本目も入れるな~」
「ンンッ!?ぁ゙ッ、んぅ!」
濃厚な口付けに気を取られている間に、千紘は着々と後孔の開拓に勤しんでいた。
中でバラバラと指を動かし内臓を抉る不快感が、市井とのキスで紛れてしまう。
そして遂に、千紘の指先が、ある一点を見つけた。
「⋯⋯ンァッ!?なんッ、ぁあ!?」
「お、見つけた。ココだな」
腹の裏側にある硬いしこりを、二本の指の腹で象るように優しく押し、イイトコロを刺激する。
感じたことのない感覚に頭がおかしくなる。
「ひぁッ!?やッ、だめッ、そこ、ぉ!へんッ」
トントンと内側から腹の方に指を押す度に、ビクビクと身体が跳ね目を見開く。
「いい感じに解れて来たな~もう一本追加するぞ」
「はッ!う!やめッ、ンンッ」
ローションを垂らされ、キツい肉壁が三本の指を受け入れる。
徐々に指に動きを付け、そしてやがて、不快感よりも快感が勝り始めた。
その間も、市井からのしつこい口づけに、上半身も下半身もワケのわからない気持ちよさで頭がパンクしそうになる。
「フッ、ン゙ンッ⋯⋯はぁッ、や、ぁ⋯⋯」
「可愛い~トロ顔じゃん。気持ちよさそ~」
市井の大きく節くれだった指が頭を撫でる。
そのまま耳や首元も労るように撫でつけ、それすらもまた、じわじわと快感を拾い上げ身体が素直に反応する。
「んー、まぁこれくらいでいいだろ。マツリちゃんの処女いただき~」
千紘がスラックスのベルトを外して、下にずらすと、パンツの上からでも分かるほどテントを張っていた凶器が顔を出した。
「ひっ、⋯⋯ぁ、やだ⋯⋯っ」
「えー!ズルくない?ファーストキスは譲ったんだから、そっちは俺が貰っても良くない?」
横槍を入れるように市井がブーイングを飛ばす。
それに対して千紘は俺が慣らしたんだから俺が先だと反論していた。
「⋯⋯ッ」
ファーストキスかどうかなんて知らないクセに、決めつけて話を進める二人を回らない頭でボーッと見つめた。
まぁ、ファーストキスなんだけど⋯⋯それよりも更に恐ろしい行為が今から行われようとしていることは、自分自身ではどうしようも出来なかった。
「そしたら公平にジャンケンで決めるか」
ゲーム感覚のように、人の身体をもてあそぶこの二人は、まるで悪魔の戯れのようだった。
ビルに囲まれた薄暗い道に足を踏み入れた瞬間、昨日の出来事がフラッシュバックし、全身に緊張が走る。
「⋯⋯ッ」
「⋯⋯ん?あは、凄い手汗!緊張してる?かわいー」
「うぅ……」
振り向き見下ろしてきた市井は、血の気が引いて青ざめるオレの顔を見て微笑んだ。
大きな手が頭に触れると、更にビクリと怯える。市井はその姿を、心底楽しんでいるように見えた。
「あ?建付け悪いな」
そうこうしている間に、千紘は路地裏にある雑居ビルの勝手口の扉に手をかける。
開けようと試みているが、押せども引けどもビクともしない様子だった。痺れを切らした千紘は、勝手口の扉を強引に蹴り飛ばす。
「ヒッ⋯⋯!」
その光景に、また冷や汗と共に小さく悲鳴が漏れる。
昨日のように、いや、今日はもっと酷い目を見るんじゃないかと思うと、想像だけで目に涙が浮かんだ。
「ふふ、あいつ足グセ悪いよな。大丈夫だよ、大人しくしてれば痛い事はしないから」
「う、うぅ……」
笑顔を向ける市井に、何の安心感も得られない。
向こうで、「開いたから早く来い」と千紘に声をかけられると、手を引かれ部屋の奥に連れ込まれた。
部屋の中は、今は使われている気配のない廃れたオフィスだった。
ローテーブルとソファという最低限の家具に、床には負債の紙が山のように散らばっている。
それらを踏みつけて、千紘は古いソファに腰掛けて長い脚を組んだ。
「ここはもう何年も使われてない俺たちの隠れ家のひとつだ。まあ、そう緊張すんなよ」
こっちに来い、と千紘が手招く。
小さく身体を震わせながら、手を引かれ二人に挟まれるようソファに座らせられた。
背の高い千紘と市井に対して、平均値よりも低い身長のオレは、その威圧感だけで押し潰されそうだった。
「そういえばマツリちゃんってビョーキとか持ってないよな?」
千紘が二つに結われたオレの金髪を、暇を持て余すように弄る。
「⋯⋯はッ、⋯⋯病気、とは⋯⋯」
「ほら、プロフィールに“どんなプレイも大好き!たくさん可愛がってね”って書いてんじゃん。中学生なのに随分遊んでるんだなぁと思って」
「なっ!?」
千紘の持つスマートフォンのディスプレイに映し出されたそこには、自分の知らないサイトのアカウントだった。
先輩たちが隠れて撮ったと思われる写真が、何枚もそのアカウントに投稿されていた。
(こんなの、いつの間に……!)
画面を見て真っ青になり硬直する。市井が同じようにスマホの画面を覗き込む。
「ねえ、今までどれくらい遊んできたの?だいぶ使い込んでる感じ?」
「ち、違う!僕は何にも⋯⋯!!これは先輩たちが勝手に⋯⋯!」
上手く言葉が纏まらないまま必死に否定するが、二人の表情が変わる事はなかった。
千紘は持っていたスマートフォンをテーブルの上に置き、そのままオレの頬を強引に掴んで顔を近づける。
「っ、うっ……!」
(うわっ⋯⋯この人、イケメンだ⋯⋯)
そんな呑気なことを考えながら、オレは千紘の言葉を怯えながら待った。
「ふーん⋯⋯。やっぱり?生放送するって言った日に急にリンク貼ってたしな。じゃあもしかして、セックスしたことない?」
「⋯⋯ッ!!はひ、あのっ、らから⋯⋯!」
これは本当に最後のチャンスだと思った。
ここで食い下がれば、もしかして解放してくれるのではないか。そんな淡い期待を胸に、オレは困ったような笑顔で、二人の顔を交互に見つめた。
「⋯⋯しぇんぱいたひに、むりやりやらされて⋯⋯らから、解放ひて⋯⋯」
「じゃあ俺たちが最初の相手って事じゃん。超ラッキー」
話の腰を折られ、千紘は喜々としながら掴んだ頬を無理やり引き寄せた。
「ッ!?」
突然の出来事に、何が起こったのか分からず目を見開いたままのオレは、唇に触れる感触を後から拾い上げる。
数秒の間のあとに、やっと自分がキスされているということに気がついた。
「ッむ、ぐ!?⋯⋯うぅ!!」
驚いて手足を乱暴に荒立て抵抗しようと試みるが、横に座る市井の腕がいつの間にか身体に回り、身動きが取れなかった。
「ふッ!⋯⋯ムゥ!!」
それでも口にへばりつく不快な唇を取り除こうと必死に藻掻くが、身体を抑える市井の腕にグッと力が入る。
「マツリちゃーん、あんまり暴れると危ないよー?日みたいに蹴り飛ばされたくないなら、いい子にしなよ」
とぼけた声色の市井が、最後に冷たく言い放った言葉に体が硬直した。
「ッ……」
「なんだ、もうバラすのか。まあでもそういうコトだから、大人しくしてろよ」
唇を放した千紘が、口角を上げてニヤつく。
まるでオレが気づいていないと思い込んで、必死に媚びへつらっていたのを、嘲笑うかのように。
オレは顔を青くして、抵抗する事を諦めた。
「やっぱり⋯⋯気づいて⋯⋯」
「あぁ。昨日の途中からな。あのままココに連れ込んでも良かったけど、キミの仲の良い先輩たちにも挨拶しておきたかったから⋯⋯今日の生放送まで待ったんだよ」
千紘はそう告げながら、固まるオレを他所に、セーラー服のスカートを黙々と捲り上げる。
「うーわ。エッロい下着⋯⋯こんなの毎日着てんの?先輩も良い趣味してんね~」
「あッ!み、見ないで⋯⋯」
顔の横から市井が覗き込み、ヒュウとからかうように口笛を鳴らす。
頬が一気に上気し足を閉じようと試みるが、反動するように千紘が余計にこじ開ける。
「隠しちゃ勿体無いだろ?どうせもっと恥ずかしいトコロこれから晒すんだし」
そう言いながら長くて細い指が、白のレースフリルがふんだんに纏った薄布の先に触れる。
「ぅわッ!?」
ふざけて先輩が触ったりもしたことはあったが、これほどイヤラシく舐るような触れ方は初めてだった。
振り払いたい気持ちとは裏腹に、そこは徐々に緩く芯を帯び始めた。
「おお、すっげ。この生地よく伸びるな⋯⋯ほら、もう半勃ちじゃん」
「ぅ、あッ!はっ、はぁっ⋯⋯もっ、やめ、許して⋯⋯」
生地の上からでも皮を擦る感触がムズムズと快感を拾い上げ、目には涙が浮かぶ。
他人の手に触れられる事がこれほどまでに気持ちいいものだとは知らず、力が抜けていく。
「先っぽハミ出してんじゃん。可愛い包茎チンポだな」
「あははっ、男に触られて勃っちゃうなんて、本当に初めて?疑っちゃうなぁ」
「やッ、ごめ、なさ⋯⋯昨日の事はっ謝りますっ、から!も、許して⋯⋯くださ」
いつの間にかショーツはズラされ、直に千紘の手が陰部を扱く。
プクリと我慢汁が溢れ潤滑剤代わりになったソコは、余計に快感を引き寄せた。
「ハッ!やだッ⋯⋯ひぅッ!うんんッ」
後ろでは市井が耳や首を吐息混じりに執拗に舐め、こそばゆい感覚が全身に走る。
頭が麻痺したようにボーッとし始め、自身の吐き出す荒い息と、わざとらしく音を立て舐めるリップ音が脳に響く。
「あッう!お、お金⋯⋯っ!明日っ持って⋯⋯んんッ、くるからぁ!許、しッふっ⋯⋯う」
「⋯⋯なんかさっきから勘違いしてるみたいだけど、昨日の事なんて微塵も気にしちゃいねえよ?頑張ってヤンキー演じてて面白いなとは思ったけど」
千紘は笑いながらグショグショになったショーツを脱がす。市井は後ろから腕を伸ばし両足を拡げさせ、更にあられもない姿になってしまう。
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなオレは、視界が歪むほど涙が溢れた。
「穴ちっさ。毛も薄いね~ほぼパイパンじゃん」
「ゔぅっ、恥ずかしい⋯⋯!言わ、ないで⋯⋯」
千紘が両手を使い固く閉ざされた後孔に軽く触れる。
まだ何も知らない無垢な孔は、外部からの刺激に敏感に反応してしまう。
「ぅッ!?ぁ゙ッ!⋯⋯冷たっ」
ドロリ、としたものが下半身を伝う。
視線を送った先には、いつの間にか片手に持っていた千紘がローションの液を垂らし、じっくりと窄まりに塗り込んでいた。
「気持ち、悪い!放しッ、ンぁ゙ッ!?」
言い終わる前に、後孔に異物が侵入する感覚に悲鳴を上げた。
千紘の指が、潤滑剤と共にグププ、と頑なな蕾をこじ開け中を拡張していく。
「ヒッ!や、やだ!怖いぃ⋯⋯うゔッ!」
「ちゃんと解してやるからリラックスしろって。痛い思いしたくないだろ?」
「そうだよ~ほら、マツリちゃん深呼吸して~」
「ふッむ!ンンッ!」
市井の手が顔を掴み強引に横に向かせると、乱暴に口づけられる。
口内に指を突っ込まれ、無理やり口を開かされ、市井の分厚い舌が否応なしに口腔内を犯した。
「はッ、ん⋯⋯ふぁッ、んむッ」
歯列をなぞり、上顎をねぶると、背筋に電流が走り脳が快感を拾い上げる。
お互いの吐息が口内を行き交い、酸素が徐々に減り思考が鈍る。
(ぅぁ、この人の、キス⋯⋯あたま変になる⋯⋯)
「いいねぇ。じゃあ二本目も入れるな~」
「ンンッ!?ぁ゙ッ、んぅ!」
濃厚な口付けに気を取られている間に、千紘は着々と後孔の開拓に勤しんでいた。
中でバラバラと指を動かし内臓を抉る不快感が、市井とのキスで紛れてしまう。
そして遂に、千紘の指先が、ある一点を見つけた。
「⋯⋯ンァッ!?なんッ、ぁあ!?」
「お、見つけた。ココだな」
腹の裏側にある硬いしこりを、二本の指の腹で象るように優しく押し、イイトコロを刺激する。
感じたことのない感覚に頭がおかしくなる。
「ひぁッ!?やッ、だめッ、そこ、ぉ!へんッ」
トントンと内側から腹の方に指を押す度に、ビクビクと身体が跳ね目を見開く。
「いい感じに解れて来たな~もう一本追加するぞ」
「はッ!う!やめッ、ンンッ」
ローションを垂らされ、キツい肉壁が三本の指を受け入れる。
徐々に指に動きを付け、そしてやがて、不快感よりも快感が勝り始めた。
その間も、市井からのしつこい口づけに、上半身も下半身もワケのわからない気持ちよさで頭がパンクしそうになる。
「フッ、ン゙ンッ⋯⋯はぁッ、や、ぁ⋯⋯」
「可愛い~トロ顔じゃん。気持ちよさそ~」
市井の大きく節くれだった指が頭を撫でる。
そのまま耳や首元も労るように撫でつけ、それすらもまた、じわじわと快感を拾い上げ身体が素直に反応する。
「んー、まぁこれくらいでいいだろ。マツリちゃんの処女いただき~」
千紘がスラックスのベルトを外して、下にずらすと、パンツの上からでも分かるほどテントを張っていた凶器が顔を出した。
「ひっ、⋯⋯ぁ、やだ⋯⋯っ」
「えー!ズルくない?ファーストキスは譲ったんだから、そっちは俺が貰っても良くない?」
横槍を入れるように市井がブーイングを飛ばす。
それに対して千紘は俺が慣らしたんだから俺が先だと反論していた。
「⋯⋯ッ」
ファーストキスかどうかなんて知らないクセに、決めつけて話を進める二人を回らない頭でボーッと見つめた。
まぁ、ファーストキスなんだけど⋯⋯それよりも更に恐ろしい行為が今から行われようとしていることは、自分自身ではどうしようも出来なかった。
「そしたら公平にジャンケンで決めるか」
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