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五人のメガネ
それぞれの眼鏡
注*お好きなメガネを装備させてあげて下さい。*
とある国の王城内での、没個性なメガネ達の奮闘とも言えない行動の物語。
宰相閣下の機嫌が悪い。
書類を処理しながら、部下達五人は執務室予備部屋でこっそり愚痴る。
それぞれの眼鏡を、ちょいちょいずり上げながら仕事をこなす。
真面目な部下Aが、宰相の機嫌が悪くなった原因の書類を処理済みの箱に置きながら愚痴る。
A「聖女様関係の書類ってほとんどないのに、ちょっと神経質になりすぎじゃね?」
E「いるだけで金かかるだろ。」
宰相補佐の座を狙っている、腹黒な部下Eがバッサリと切り捨てる。
「むむむ。」と考え込む真面目部下Aに、堅実一直線な部下Cが救いの手を伸ばす。
C「つっても、聖女が実際に使ってるのは女官の半分よな。」
真面目だが流されやすい部下Bが、補足を入れる。
B「その他もろもろで、王子殿下達の予算の三分の一はあるんだ、これがっ!」
D「あー接待費か。式典と晩餐会なんて、聖女いなくてもやるもんな。」
大雑把な部下Dが溜息をつきながらボヤく。
真面目な部下Aが少し怒りを含ませて、そのボヤキに答える
A「晩餐会て、毎回ご本人が参加辞退してるのに、ありえないんじゃね?」
B「むしろ何故やるんだって話だっ。」
E「まったくだ。」
同じ様に、怒った声で同調する流されやすい部下B。
腹黒な部下Eも賛同する。
A「晩餐会と夜会間違えてるヤツ多いんじゃね。」
C「っても、あんなに臭い中で、食事もなー。よく味分かるよな。」
B「もう鼻がおかしくなってんだろうさっ。」
ノってきた真面目な部下Aが、更に笑顔で勢いを増す。
堅実一直線な部下Cと流されやすい部下Bも、一緒になって小さく笑う。
E「いっその事、聖女制度はなくせばいい」
腹黒な部下Eの一言で、しばし沈黙が降り手が止まる。
とりなすように大雑把な部下Dが声をあげる、あと流れを大切にしたい部下Bも。
D「あー確かに可哀想だし。しょちゅう貴族にいびられてるの見るよ。」
B「そうだなっ。あれで良く、毎日王宮で祈れるもんだっ。」
A「聖女様、マジ聖女じゃね? やっぱり聖女様って伝説の通り、スゲー人間出来てるよな。」
真面目な部下Aの一言で、またもや沈黙が降りる。
もちろん手も止まった。
C「っつても、伝説はおとぎ話の話だろ?」
A「は?地下に祈りの場あるだろ。あの伝説は、ほんとの事じゃね?」
堅実一直線な部下Cは、戸惑いながらも冗談だと思いたかった。
真面目な部下Aは、真面目じゃないのは口調だけだった。
B「は?何?あれ信じてんの、お前っ?」
D「えー無いわ。お前。」
E「子供か。」
二百年近い大昔の事だ。
魔獣がはびこる土地で人々を守る為に、結界を張った聖女様。
代々続く「聖女様の子孫達」が、祈りの場で「毎日祈る事」で「結界を維持」している。
おとぎ話を、まさか本気にする人間がいようとは。
A「いやいやいや。俺よく閣下に地下に走らされるけど、聖女様、間違いなくちゃんとお祈りしてんじゃね? 祈りの姿勢のせいで、毎回足引きずってるし。隠してるつもりらしいから、言えないし言わないけど。」
どっちも真面目か。お前も聖女も真面目ちゃんなのか? 騙されるな、女の演技は凄いぞ?
などと、それぞれに思った事は口に出せなかった。
真面目な部下Aの思い込みを正そうと、流されやすい部下Bは頑張った。
B「マジ?フリなんじゃね?」
A「足がしびれてるフリでも、階段では転ばないんじゃね?」
C「つっても、転ぶフリってだけだよな?」
A「何度か転げ落ちてんぞ、聖女様。」
D「あー、俺も見たわ。落た後に腕とか頭、血がにじんでた事があったな。」
E「ドジっ子か。確かに転んでたな。」
B「そういや怪我は何度か見たなっ。意外と真面目に祈ってたんだ。」
流されやすい部下Bは、結局流された。
しかも結局、誰も聖女を助けていない事に一様に驚く。
文官だからね、女性支えられないよね。
一緒に怪我をするのが関の山だね。
下手すると、巻き込んで酷いケガをさせちゃうかもだね。
しばらくは全員無言で、仕事に没頭する。
その日はもう誰も、聖女様の話をしなかった。
とある国の王城内での、没個性なメガネ達の奮闘とも言えない行動の物語。
宰相閣下の機嫌が悪い。
書類を処理しながら、部下達五人は執務室予備部屋でこっそり愚痴る。
それぞれの眼鏡を、ちょいちょいずり上げながら仕事をこなす。
真面目な部下Aが、宰相の機嫌が悪くなった原因の書類を処理済みの箱に置きながら愚痴る。
A「聖女様関係の書類ってほとんどないのに、ちょっと神経質になりすぎじゃね?」
E「いるだけで金かかるだろ。」
宰相補佐の座を狙っている、腹黒な部下Eがバッサリと切り捨てる。
「むむむ。」と考え込む真面目部下Aに、堅実一直線な部下Cが救いの手を伸ばす。
C「つっても、聖女が実際に使ってるのは女官の半分よな。」
真面目だが流されやすい部下Bが、補足を入れる。
B「その他もろもろで、王子殿下達の予算の三分の一はあるんだ、これがっ!」
D「あー接待費か。式典と晩餐会なんて、聖女いなくてもやるもんな。」
大雑把な部下Dが溜息をつきながらボヤく。
真面目な部下Aが少し怒りを含ませて、そのボヤキに答える
A「晩餐会て、毎回ご本人が参加辞退してるのに、ありえないんじゃね?」
B「むしろ何故やるんだって話だっ。」
E「まったくだ。」
同じ様に、怒った声で同調する流されやすい部下B。
腹黒な部下Eも賛同する。
A「晩餐会と夜会間違えてるヤツ多いんじゃね。」
C「っても、あんなに臭い中で、食事もなー。よく味分かるよな。」
B「もう鼻がおかしくなってんだろうさっ。」
ノってきた真面目な部下Aが、更に笑顔で勢いを増す。
堅実一直線な部下Cと流されやすい部下Bも、一緒になって小さく笑う。
E「いっその事、聖女制度はなくせばいい」
腹黒な部下Eの一言で、しばし沈黙が降り手が止まる。
とりなすように大雑把な部下Dが声をあげる、あと流れを大切にしたい部下Bも。
D「あー確かに可哀想だし。しょちゅう貴族にいびられてるの見るよ。」
B「そうだなっ。あれで良く、毎日王宮で祈れるもんだっ。」
A「聖女様、マジ聖女じゃね? やっぱり聖女様って伝説の通り、スゲー人間出来てるよな。」
真面目な部下Aの一言で、またもや沈黙が降りる。
もちろん手も止まった。
C「っつても、伝説はおとぎ話の話だろ?」
A「は?地下に祈りの場あるだろ。あの伝説は、ほんとの事じゃね?」
堅実一直線な部下Cは、戸惑いながらも冗談だと思いたかった。
真面目な部下Aは、真面目じゃないのは口調だけだった。
B「は?何?あれ信じてんの、お前っ?」
D「えー無いわ。お前。」
E「子供か。」
二百年近い大昔の事だ。
魔獣がはびこる土地で人々を守る為に、結界を張った聖女様。
代々続く「聖女様の子孫達」が、祈りの場で「毎日祈る事」で「結界を維持」している。
おとぎ話を、まさか本気にする人間がいようとは。
A「いやいやいや。俺よく閣下に地下に走らされるけど、聖女様、間違いなくちゃんとお祈りしてんじゃね? 祈りの姿勢のせいで、毎回足引きずってるし。隠してるつもりらしいから、言えないし言わないけど。」
どっちも真面目か。お前も聖女も真面目ちゃんなのか? 騙されるな、女の演技は凄いぞ?
などと、それぞれに思った事は口に出せなかった。
真面目な部下Aの思い込みを正そうと、流されやすい部下Bは頑張った。
B「マジ?フリなんじゃね?」
A「足がしびれてるフリでも、階段では転ばないんじゃね?」
C「つっても、転ぶフリってだけだよな?」
A「何度か転げ落ちてんぞ、聖女様。」
D「あー、俺も見たわ。落た後に腕とか頭、血がにじんでた事があったな。」
E「ドジっ子か。確かに転んでたな。」
B「そういや怪我は何度か見たなっ。意外と真面目に祈ってたんだ。」
流されやすい部下Bは、結局流された。
しかも結局、誰も聖女を助けていない事に一様に驚く。
文官だからね、女性支えられないよね。
一緒に怪我をするのが関の山だね。
下手すると、巻き込んで酷いケガをさせちゃうかもだね。
しばらくは全員無言で、仕事に没頭する。
その日はもう誰も、聖女様の話をしなかった。
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