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26 思いっきり洗います
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戻って来た若者二人は、結局王都に行く決心を変えなかった。
村人総出で、入れ替わり立ち代わり説得をした。
終いには殴り合いのケンカにもなった。
誰もが諦め、せめてと思い防具を作り送り出した。
出発の前日に、アルバートが二人を呼び出し長い事話をしていたが、どんな話をしていたのかは教えて貰えなかった。
隣村の狩人の爺さんが、こっそり泣いていたのを見てしまった。
この、もやもやとした気持ちを、何て言えばいいのかわからない。
みんなで村を出る二人を見送る。
王都に行く前に自分達の村を見て行くと言っていたが、それまでに政変が終わればいいのに。
仮に政変が成功しても、こっちの暮らしは変わらない、
仕方がないかと、またせっせと食料を集める。
大型を仕留めていた奴が一緒に狩ってくれるので、かなり楽になった。
村の囲み塀も直しつつ、隣村の資材を回収し村を一つにする事に。
両村の中間あたりに隠し資材置き場を作り、万が一の場合はそこに逃げる事にした。
生活の中心は隠れ里に切り替わった。
村のはずれの食糧貯蔵穴は、村長の指示で獲物の内臓や頭以外の骨を捨てる場所になった。
ニオイが凄いが、土ではなく葉っぱだけを被せるように言われる。
祠も取り壊さず、そのまま。
周りの大型用の罠もそのまま。
どうするんだろう。
夏に入り暑い日が続く。
この数年の役人が来る時期は、だいぶ過ぎている。今年は来ないのかも?
資材置き場で作業していると、役人が来たと合図がある。
隣村とウチの村はだいぶ取り壊して、建物も少なく寂しい。
回りやすいだろうよと、皮肉が浮かぶ。
隣村には誰もいない。ウチの村には十数人しか残っていない事になってる。
残りは隠れ里と、村の周辺に潜んでいる。
俺は万が一でも、移住組が村にきて役人と鉢合わせしない様にと、急いで町への道の見張り台へ移動。
息をひそめて見張る。
しばらくすると役人達の馬車と騎馬が町へと戻っていく。
まともに世話もできていないのか、馬がくたびれている。あわれだ。
引き返してこないか待つ。
木々の影が一時間ぶん動いたところで、村に戻る。
「役人は町に戻った。けが人は?」
「いないよ。今回も皆無事ですんだよ。」
アルバートが笑顔で答える。
「これでやっと、水浴びができる。」
「お前は大して臭わないのが、不思議だな。」
井戸へ向かうと、先に水浴びに来ているみんなが盛り上がっている。
「村長、やっと来たか。」
「今日だけは思いっきり洗います!」
「なんだ? 明日から水浴びしないのか?」
「いいえ、またすぐに来ると言われましたからね。恐らく来週にはまた来ますよ。」
「若かったが、息子か何かかの? ボンクラだったのう。」
「騎士の坊主共は、重すぎて動けないのかと思ったわ。」
みんなでひとしきり役人の文句を言いまくり、詳しい話を聞くために村長の家に移動する。
思い思いにカップの水を飲みながら、見た光景を話し合う。
見たことのない若い役人が来たそうだ。
りっぱな騎士の鎧を付けた護衛数人と一緒だったそうだが、鎧負けしていたと笑っていた。
「さっと村を回って、どんどん機嫌が悪くなっていくのが面白かったんですよ。」
「まともに動いてるのがいないって、わかったんだろうな。」
「年寄と病人ばっかりだ。って、バレないもんだな。」
「寝たきりのフリじゃと、どこまで動くか悩むんじゃよ。それが面倒でなぁ。」
「畑仕事しながら足をかばって見せるのも、なかなか難しい。」
「前の役人なら、危なかったな。」
徴税しようにも、寝たきりが三人。
歩くのがやっとな年寄りが二人。
そこに同居して世話をしている体な、ぼさぼさの村長。
家の中で作業している年寄り二人。
外で畑仕事と作業している初老の五人。
何とか支えて合っている状態で、何を持っていくのか。
家探しして、徴収できそうなのは少量の干し肉と薪のみ。
干し肉がある理由は、隣村の狩人が置いていった物だという事で済んだらしい。
次来る時までに、十三人分の税を用意をしておくように言い捨て、立ち去ったと。
後は借金という形だが、寝たきりだろうときっちり人数に数えているのが、救いようがない。
あの若い役人達なら、次は直ぐに来そうだな。
村長の提案で、墓標だけの墓を三基作った。
浅く掘り返した土の下には、古びた服と髪の毛の束だけを埋めてある。
これは掘り返される事を前提としているって、大丈夫なんだろうか。
「無い遺体はどうするんだ?」
「まさか、町まで行って?」
「俺は運びたくないぞ。」
「俺もだよ。馬車もないのに、担ぐのか?」
「まさか、町の人を連れてくるなんて、亡くなった方でも悪いですよ。」
元食料貯蔵穴にある、腐った内臓や散らばった骨を見てもらう予定らしい。
今の時期、物凄いニオイで近寄りたくない。
さすがに動物の腐臭と人間のものは違うが、それはどうなんだろう。
言い訳は色々ありますよと、アルバートの悪い顔で無理矢理に納得をする。
気づかれない様に柵を直したり作ったり、狩りをしながら薪の用意をしたり。
忙しくしていたら、見張りが合図の音を出した。
いそいで役割のある年寄以外を地下に移動させ、蓋の上には砂を薄っすらと被せる。
自分の足跡も消すため、土を撒きながら歩く。
そして不備が無いか見渡し、いつものように森に潜む。
すっかり慣れてしまったが、隠れてる時はボロが出てないか心配になってしまう。
村人総出で、入れ替わり立ち代わり説得をした。
終いには殴り合いのケンカにもなった。
誰もが諦め、せめてと思い防具を作り送り出した。
出発の前日に、アルバートが二人を呼び出し長い事話をしていたが、どんな話をしていたのかは教えて貰えなかった。
隣村の狩人の爺さんが、こっそり泣いていたのを見てしまった。
この、もやもやとした気持ちを、何て言えばいいのかわからない。
みんなで村を出る二人を見送る。
王都に行く前に自分達の村を見て行くと言っていたが、それまでに政変が終わればいいのに。
仮に政変が成功しても、こっちの暮らしは変わらない、
仕方がないかと、またせっせと食料を集める。
大型を仕留めていた奴が一緒に狩ってくれるので、かなり楽になった。
村の囲み塀も直しつつ、隣村の資材を回収し村を一つにする事に。
両村の中間あたりに隠し資材置き場を作り、万が一の場合はそこに逃げる事にした。
生活の中心は隠れ里に切り替わった。
村のはずれの食糧貯蔵穴は、村長の指示で獲物の内臓や頭以外の骨を捨てる場所になった。
ニオイが凄いが、土ではなく葉っぱだけを被せるように言われる。
祠も取り壊さず、そのまま。
周りの大型用の罠もそのまま。
どうするんだろう。
夏に入り暑い日が続く。
この数年の役人が来る時期は、だいぶ過ぎている。今年は来ないのかも?
資材置き場で作業していると、役人が来たと合図がある。
隣村とウチの村はだいぶ取り壊して、建物も少なく寂しい。
回りやすいだろうよと、皮肉が浮かぶ。
隣村には誰もいない。ウチの村には十数人しか残っていない事になってる。
残りは隠れ里と、村の周辺に潜んでいる。
俺は万が一でも、移住組が村にきて役人と鉢合わせしない様にと、急いで町への道の見張り台へ移動。
息をひそめて見張る。
しばらくすると役人達の馬車と騎馬が町へと戻っていく。
まともに世話もできていないのか、馬がくたびれている。あわれだ。
引き返してこないか待つ。
木々の影が一時間ぶん動いたところで、村に戻る。
「役人は町に戻った。けが人は?」
「いないよ。今回も皆無事ですんだよ。」
アルバートが笑顔で答える。
「これでやっと、水浴びができる。」
「お前は大して臭わないのが、不思議だな。」
井戸へ向かうと、先に水浴びに来ているみんなが盛り上がっている。
「村長、やっと来たか。」
「今日だけは思いっきり洗います!」
「なんだ? 明日から水浴びしないのか?」
「いいえ、またすぐに来ると言われましたからね。恐らく来週にはまた来ますよ。」
「若かったが、息子か何かかの? ボンクラだったのう。」
「騎士の坊主共は、重すぎて動けないのかと思ったわ。」
みんなでひとしきり役人の文句を言いまくり、詳しい話を聞くために村長の家に移動する。
思い思いにカップの水を飲みながら、見た光景を話し合う。
見たことのない若い役人が来たそうだ。
りっぱな騎士の鎧を付けた護衛数人と一緒だったそうだが、鎧負けしていたと笑っていた。
「さっと村を回って、どんどん機嫌が悪くなっていくのが面白かったんですよ。」
「まともに動いてるのがいないって、わかったんだろうな。」
「年寄と病人ばっかりだ。って、バレないもんだな。」
「寝たきりのフリじゃと、どこまで動くか悩むんじゃよ。それが面倒でなぁ。」
「畑仕事しながら足をかばって見せるのも、なかなか難しい。」
「前の役人なら、危なかったな。」
徴税しようにも、寝たきりが三人。
歩くのがやっとな年寄りが二人。
そこに同居して世話をしている体な、ぼさぼさの村長。
家の中で作業している年寄り二人。
外で畑仕事と作業している初老の五人。
何とか支えて合っている状態で、何を持っていくのか。
家探しして、徴収できそうなのは少量の干し肉と薪のみ。
干し肉がある理由は、隣村の狩人が置いていった物だという事で済んだらしい。
次来る時までに、十三人分の税を用意をしておくように言い捨て、立ち去ったと。
後は借金という形だが、寝たきりだろうときっちり人数に数えているのが、救いようがない。
あの若い役人達なら、次は直ぐに来そうだな。
村長の提案で、墓標だけの墓を三基作った。
浅く掘り返した土の下には、古びた服と髪の毛の束だけを埋めてある。
これは掘り返される事を前提としているって、大丈夫なんだろうか。
「無い遺体はどうするんだ?」
「まさか、町まで行って?」
「俺は運びたくないぞ。」
「俺もだよ。馬車もないのに、担ぐのか?」
「まさか、町の人を連れてくるなんて、亡くなった方でも悪いですよ。」
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今の時期、物凄いニオイで近寄りたくない。
さすがに動物の腐臭と人間のものは違うが、それはどうなんだろう。
言い訳は色々ありますよと、アルバートの悪い顔で無理矢理に納得をする。
気づかれない様に柵を直したり作ったり、狩りをしながら薪の用意をしたり。
忙しくしていたら、見張りが合図の音を出した。
いそいで役割のある年寄以外を地下に移動させ、蓋の上には砂を薄っすらと被せる。
自分の足跡も消すため、土を撒きながら歩く。
そして不備が無いか見渡し、いつものように森に潜む。
すっかり慣れてしまったが、隠れてる時はボロが出てないか心配になってしまう。
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