異世界でもプログラム

北きつね

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第五章 共和国

第十八話 攻略中

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 アルバンとダンジョンに入った。
 草原フロアと言ってもいい場所で、眠った。

 大丈夫だ。覚えている。

 起きてから、探索を再開したが、このフロアは広い。
 本当に広い。帰りたくなるが、変える方向も解らなくなっている。

 俺とアルバンだけでは厳しい状況だけど、魔物は適度に現れるし、修練にはちょうどいい。難易度は低いけど、縛りを付けた戦闘には丁度良かった。

 戦闘訓練にはなっている。
 ただ、同じような魔物ばかりで飽き始めているのが問題だ。

「兄ちゃん」

「アル。言うな。俺も飽きてきている」

「そうだよね。ゴブリンとコボルトしか出てこないよね」

「あぁ上位種でも出てくれば話は違うけど・・・」

「うん。ゴブリンの単体か、多くても2-3体だから、余裕だよね」

「あぁエイダでも倒せている」

 エイダが踏ん反り返るが、エイダの物理攻撃で倒されるのは、弱いどころの話ではない。

「エイダ。下に向かう方法を見つけられないか?」

『可能です』

 え?試しに聞いてみたけど、可能なのか?

 アルバンも驚いている。
 可能だとは思っていなかった。

 エイダに話を聞くと、完全に把握はできていないが、ダンジョンの情報が解るようだ。

 情報を改変はできないけど、閲覧ができるようだ。自分の居る階層と上下1階層なら情報が見えると言っている。魔物は解らないけど、罠は解るらしい。

 下の階層には、魔法陣の上に乗ると移動ができるようだ。

「エイダ。これは、転移なのか?」

『はい』

「ウーレンフートにも有ったけど、ダンジョンの中でしか動かないのか?」

『魔法の解析を行いますか?』

「今は、ダンジョンの攻略を優先するけど、魔法の解析をしたいから、情報だけ保管してくれ」

『了』

 エイダの案内。実際には、エイダはアルバンに抱えられての移動だけど、その最中にエイダがアクセスできる情報から、ダンジョンの内容を確認した。

 どうやら、このダンジョンは生きているというのは、ダンジョンのコアが動いている状態なので、魔物を倒してもポップしてくるという事だ。ウーレンフートのように、最下層に制御室があるわけではなく、ダンジョンのコアがダンジョンを制御している状況で、処理速度が早くないために、単調な攻撃しかされないようだ。そして、このダンジョンはコアを壊したり、吸収したり、コアを無くしてしまうとダンジョンの崩壊が始まるらしい。

 ダンジョンをどうするのかは、コアを発見してからでもいいだろう。
 まずは、草原の攻略だ。

 新しい階層も、草原フロアになっているが、上の階層よりは、木が多いように思える。

「エイダ。この階層も解るのか?」

『了』

「アル。どうする?少しだけ、オークたちと戦ってから、下の階層に移動するか?」

「うん。オークなら肉を落とすかもしれないから、少しだけ狩って置こうよ。お土産にしてもいいし、兄ちゃんとおいらで食べてもいいよね?」

「そうだな。ゴブリンとオークだけのようだし、大丈夫だろう」

 新しい草原フロアも、基本はゴブリンだ。ただ、集団になっている。上の階層では、2-3体の集団だったけど、新しい階層では、4-5体になっている。そして、オークが一緒に現れる場合があった。
 恐れる必要はないけど、オークの攻撃がクリティカルに当たれば怪我をしてしまう。

 多少は、攻撃を躱す訓練にはなる。
 対集団戦の練習にもなる。俺もスキルを使わないで、戦えるくらいの相手なので丁度いい。アルバンはエイダと連携して戦っている。まだ余裕があるので、いろいろとスキルを試しながら戦い方を変えている。

「エイダ。下の階層も、草原だよな?」

『はい。魔物は、降りてみないと解りません』

「アル。下の階に行かないか?手ごたえがなくて・・・。手を抜くことを覚えてしまいそうだ」

「うん!おいらも、兄ちゃんと同じ。もう少しだけ強い方がいい」

「エイダ。頼む」

『了』

 エイダの案内で下の階層を目指す。
 同じように、魔法陣が存在していた。

 エイダの言っていたように、次の階層も草原フロアが広がっていた。

 今度のフロアは、ゴブリンの上位種が4-5体の群れになっている。
 それほど脅威ではないが、飛び道具を使ってくる。スキルを使う者も居るので、注意が必要になる。死ぬ事はないが、気を抜いていると、ダメージを負うことになる。ダメージが蓄積すれば、撤退を考えなければならない場面も出て来る。

 この階層から、俺たちも単体ではなく、俺とアルバンとエイダで協力しながら倒すことにした。

 協力すれば、負けることはない。ダメージも負わないで完封できる。

「エイダ。次の階層は?」

『草原フロアの最後です。その次は、洞窟スタイルです』

「わかった。エイダ。下の階層への案内を頼む」

『了』

 階層までは、結構な距離を歩いた。
 10回までは数えていたけど、それ以上の戦闘をこなして、下の階層に繋がる”階段”が見えた。

「兄ちゃん」

「あぁ階層主という奴かな?階段の前で動かないのを、倒さないと先には進ませないつもりなのだろう」

「横をすり抜けているのは?」

「そのほうが面倒だ。アル。エイダ。倒すぞ!」

 オークの上位種とゴブリンの上位種が全部で15体。
 楽ではないが・・・。倒せない量ではない。

 ただ、問題は階段の前から離れないので、各個撃破が難しい事だ。
 動くことは、動くのだが、数メートルだけだ。それ以上は、動かない。大きく動く者でも、3-4メートルだ。ひと際大きな個体は、階段の前から一歩も動かない。遠距離からの攻撃でダメージを蓄積させれば倒せそうだけど、周りを倒さないと、遠距離攻撃をあてるのが難しい。

「アル。エイダ。スキルを使って、遠距離からの攻撃を行ってくる個体を狙え」

「兄ちゃんは?」

「俺は、切り込む」

 武器を持って、ゴブリンの集団に肉薄する。
 後ろから、アルバンとエイダの援護が飛んでくるのが解る。何度も練習してきたから解る。俺が右手をあげれば、左側の敵に攻撃を行う。暗黙の了解で成り立っているが、しっかりとした連携が出来ている。嬉しく思える。

 これなら、俺も動きやすい。
 俺の動きに合わせて、補助系のスキルをエイダが展開する。

 俺から見える範囲では、遠距離の攻撃ができるゴブリンとオークが倒れた。

「アル!」

「うん!」

 俺が今度は、遠距離攻撃を行う。アルバンが魔物たちに切り込んで攪乱する。アルバンの役割は、攪乱だ。倒す必要はない。倒すのは、俺の役目だ。

「エイダ。アルの援護」

『了』

 エイダが、俺に行っていた援護をアルバンに行い始める。エイダの援護を受けて、アルバンの動きが1段も2段も上がる。オークの大振りの攻撃では、アルバンを捕えるのは不可能だ。

 ボスオーク以外を倒し終わった。
 取り巻きが倒れてから、ボスオークが動き出す。

 何度か、スキルが当たっているが、ダメージを与えた感じがしなかったのは、何か理由があったのかもしれない。

 動き出したオークは、こん棒を振り回すだけの単純な動きだ。攻撃対象も簡単に判明した。
 スキルも使ってこない。

 ”拍子抜け”だ。

「アル。エイダ。一気に倒すぞ」

 アルバンもエイダも振り回すだけの単純な攻撃なのが解ったのだろう。
 一気に決めにかかる。

 ゲームでは、ダメージ量で動きが変わったりする。

「アル。エイダ。動作が変わるかもしれないから、観察は怠るなよ」

「うん」『了』

 二人から返事が貰えた。

 動作が変わるかもしれないと、警戒しながら攻撃していたが、ダメージを与えた者に、こん棒を降り下ろすか、薙ぎ払うか、どちらかの攻撃しかない。遠距離から攻撃をあてれば、近づこうとする。その時に、近くから攻撃をあてれば、行動がキャンセルされて、元の位置に戻ってから、攻撃をあてた者に襲い掛かる。

 他の者たちよりも攻撃が単純だ。

 結局、動作が変わることもなく、倒しきれてしまった。

 ボスオークが、最初に居た場所に”鍵”が落ちていた。
 どうやら、この”鍵”がなければ次の階層にはいけないようだ。

 階段を降りると、扉が存在していた。
 ”鍵”を使って、扉をあける。

 このダンジョンにある草原フロアでは、最後だとエイダからの情報だ。

「アル。階段を降りた所で、休もう。エイダ。大丈夫だよな?」

「うん!」

『是。安全な場所です』

 どうやら、安全地帯という概念があるようだ。
 階段から降りた場所は安全らしいので、仮眠を取ることにした。
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