スキルイータ

北きつね

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第十九章 運用

第百九十四話

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 クローエの処遇は決まった。
 偵察部隊だ。本人のやる気は別だから、後でしっかり言い聞かせないとダメだな。

 本体が行かなくても眷属分体を動かせるのが大きい。使えそうに無いと思っていたスキルが実は有能だった事に気がついた。

// レベル10次元収納+
// 収納の上位版である次元収納の上位版
// 無限に収納できる。時間は経過しない。
// 秘密の小部屋ディメンションホームを作る事ができる。
// ディメンションホームでは任意の環境を用意でき、時間の経過も1/1440~1440倍まで選べる。
// 作られるホームは一つで時間設定/環境設定を変えたら24時間固定される

 レベル10次元収納+?
 『+』の意味が最初はわからなかったが、ライの固有スキルでもある次元収納を鑑定してみて納得した。

 ライの次元収納では秘密の小部屋ディメンションホームを作る事ができないようだ。
 固有スキルなので、レベルがあがる事で芽生える事が考えられるが、今の段階レベルでは作る事ができない。

 そして、鑑定してみて気がついたのだが、レベル10次元収納は、一度の利用でスキルカードは消滅するのは変わらないが、秘密の小部屋ディメンションホームの効果は永続するという事だ。次元収納としては、その物の耐久が終わった時か、魔力の提供が途絶えた時に無くなってしまうとなっている。

// レベル10プログラム
// 複数のスキルを組み合わせる事ができる。

 2つを組み合わせる事で、俺にしか使えない次元袋とかができそうだ。
 試行錯誤は必要だろう。その意味もあるので、次元収納+は俺に固定する事にした。もちろんプログラムも俺に固定する。

 ダンジョンに潜った皆に相談したのだが、俺の好きに使ってくださいというだけだった。

 両方のレベル10のスキルを俺に固定する

名前:カズト・ツクモ
年齢:16
種族:イリーガル・フューム
// 固有スキル:固有化(レベル9)
// 固有スキル:眷属化(レベル5)
// 固有スキル:創造(レベル4)
// スキル枠:超鑑定
// スキル枠:念話
// スキル枠:呼子
// スキル枠:偽装
// スキル枠:詠唱破棄
// スキル枠:操作
// スキル枠:収納
// スキル枠:次元収納
// スキル枠:プログラム
// スキル枠:----
// 体力:E
// 魔力:A+
固有眷属:カイ/ウミ/ライ/ペネム/ティリノ/チアル/空き(4)
眷属:リーリア/オリヴィエ/エリン/クリス/アズリ/ティタ/ティア/レッシュ/エルマン/エステル/クローエ
 秘密の小部屋ディメンションホーム:なし

 同じ様な物になりそうだったが収納の整理が終わっていない。収納を空にしてから外す事にしよう。

 次元収納とプログラムを固定する。
 完全に戦闘タイプや後方支援じゃなくて、生産型のスキル構成になっている。

 そして、 秘密の小部屋ディメンションホームという項目が追加されている。
 今は『なし』となっている事から、作ったら表示されるのだろう。

 今気がついた、クローエのスキルは次元収納と相性がいいのではないか?

「クロ!」
「なに?」

 オリヴィエとリーリアとエーファが、クローエを睨んでいる。

「オリヴィエ。リーリア。エーファ。気にするな。クロはこういう奴だ」
「はっ」「はい」「かしこまりました。旦那様」

「ひどくない!?」
「ひどくない。それよりも、クロ。お前のスキル”次元移動”と”時間停止”だけどな。次元収納で作られた中に入れるのか?」
「えぇ・・・わからないよ。使ったことないからね!」

 ちびが何もない胸を張っても偉そうには見えない。微笑ましいだけだ。
 飛んでいるのにも疲れたのか、シロの肩に移動している。

「そうか、それじゃこれから実験するか?」
「えぇぇぇ面倒だよ」
「ほぉ・・・」

 オリヴィエとリーリアを見る。

「わかった、オリヴィエ。リーリア。クロは、今日から夕ご飯は魔物の生肉だけでいいそうだ」
「はっ」「かしこまりました。今日は、先日ご主人様に教わりましたグラタンの日でしたが、わかりました。クローエの分は、メイドドリュアスたちで美味しくいただく事にいたします」
「あぁ明日からは食事は自分で用意するらしいからな。準備しなくていいぞ。そうだろう?クロ?」

 シロが自分の肩に乗っているピクシーの首筋を摘んで俺に差し出してくる。

「え?あっ?ヤダ!」
「それなら、俺の実験に協力してくれるよな?」
「うん。うん。もちろんです!」
「そうか、協力してくれるようで良かったよ」
「ねぇねぇグラタンは?グラタンは?」

「リーリア。3時間くらいあとで食事にしよう。メイドドリュアスに伝えておいてくれ」
「はい。人数は?」
「俺とシロとオリヴィエとリーリアとエリンとアズリとステファナとレイニーも食べるだろう?」
「はい」

 期待している目で見られてもな。
 本来、食事を必要としていないのは知っている。知っているが嗜好品の意味が強いので、一度美味しい物を食べると、連続で食べたいようだ。

「あとは、クロの分は、面倒だろうけど、少し小さめのグラタンを何種類か作ってやってくれ」
「かしこまりました」

 リーリアとオリヴィエとエーファが会釈してその場を離れる。
 首筋を掴まれた状態のピクシーが嬉しそうにジタバタしている。

「クロ!いいか、これからの実験への協力度合いで食べられる個数を変えるからな」
「はい!全面的に協力します!」

 単純だな。
 さて、多分クローエのスキルである”次元移動”は、次元収納の中というよりも、秘密の小部屋ディメンションホームの中に入る為のスキルだろう。

 まずは、秘密の小部屋ディメンションホームを作ってみる事にする。できるだけ大きめの部屋を意識する。
 ごっそりと魔力が持って行かれる感覚になって片膝をついてしまった。

「カズトさん!」
「シロ。ありがとう。大丈夫だ。秘密の小部屋ディメンションホームを作るのに、魔力がかなり持っていかれただけだ」
「・・・。無理なさらないでください。僕、カズトさんが居ないと・・・」

 泣きそうなシロの頭を撫でてやる。抱きしめたいが、正直少しつらい。

「大丈夫だ。シロ。それよりも、見ろよ」

 未来の猫型ロボットが取り出すような、どこにでも行けるドアが、俺の目の前に展開している。
 このタカチは俺がそうイメージしたからだろう。意識すればこのドアの形状形は、変更できるようだ。
 イメージを、今度はアニメでよく見たような、異世界に通じる渦の様な形状にする。問題なく、目の前にドアのサイズで渦が現れる。一度、秘密の小部屋ディメンションホームを作ってしまうと維持するのには微量の魔力で済むようだ。これなら、回復量でまかなえるのだろう。少し待っていれば、立てるくらいには回復した。

 強力なスキルだけに制限が有るのだろう。制限に関しては、今後考えていけばいい。
 そもそも、もう一枚このスキルカードが入手できるとは思えない。オンリーワンだったかもしれない。

「シロ。クロ!」
「はい」「えぇ・・・」「クロ?」「はい。もちろん一緒に行きます!」

 シロとクローエを連れて、秘密の小部屋ディメンションホームに入る。
 あのどこにでも繋がるドアを抜け時はこんな感じがするのだろう。こっちは、別次元に作られた小部屋に繋がっているだけだ。

「へぇーこんな感じなのだな」
「不思議な所ですね」
「クロ?どうした」

「え?あっねぇねぇ私、ここに住んでいい?」
「はぁ?」「え?」

 クローエがいきなりハイテンションに飛び回っている。

「クロ。どういう事か説明しろ」
「え?あっそうね。ここは、魔力で作られている空間ですごく居心地がいいの!」
「そうなのか?」
「うん。それで、ほら、マスターの力で時間の進み方を変えられるでしょ?」
「あぁそうだな」
「私にはそれ影響しないみたいだから、私だけにしか住めないよね?」
「まぁそうだな」
「それでね。それでね。そうしたら、私は、マスターがこの空間を維持する魔力を私が提供すれば、私はここで安全に過ごせるって事!」
「そんな事ができるのか?」
「うん!できる!それなら、マスターも魔力を消費しないでしょ?」

 なにかまだ隠しているな?
 短い付き合いだけどそれが解る。

「クロ。それだけじゃないよな?」
「・・・。うん。今、チアルから聞いたけど、この空間なら、ティリノの支配領域を作って、ペネムが転移門を作って、好きな場所にいつでも行けるようにできそう」

『チアル。本当か?』
『マスター。本当です。もう一つの使いみちもあります』
『なんだ』
『マスターが気になされていた件の解決ができそうです』
『ん?』
『この空間なら、ダンジョンコアを置いても、無闇にダンジョンを作る事ができません』
『魔物の出現を抑えながら、経験を積ませるのだな』
『はい。それに、1440倍で進むのなら、進化も早くなります』
『そうか、1440倍の中だと、安全に過ごせるのはクロだけか?1ヶ月ちょっとで150年進むからな』
『そうです。品種改良や魔物の進化にも使えると思います』
『それだけじゃないだろう?』
『はい。マスターの次元収納とこの空間を行ったり来たりできるのは、クローエ様だけです。あと、ライ様の次元収納にも移動できます』

 クローエが黙っていたのはこの件だな。
 ライの次元収納に、甘味だけじゃなくて食事も大量に入っているからな。

 それを除いても、チアルの言っている事は解る。
 この空間の維持を、クローエが行って物品の出し入れを行う。スキル収納をもたせればもっと便利になるだろう。

 広さから考えても、俺とシロと眷属たちが入るには十分すぎるな広さがある。広さはわからないが、感覚的に東京ドーム2-3個分くらいの広さはありそうだ。

『チアル』
『はい。マスター』
『この空間を草原にしたりできるか?建物を立てたり、森を作ったり、川や海を作ったりだな』
『ティリノに支配領域を作らせて、私がダンジョンコアを生み出して、マスターがダンジョンマスターになって、草原を作れば可能だと思います。もしかしたら、ティリノの支配領域は必要ないかもしれませんが、確実という意味では有ったほうがいいかと思います』
『そうか、まずは、支配領域なしでやってみる』
『はい。24時間ほどお待ち下さい。ダンジョンコアを一つ産み出します』
『できれば、10個産み出してくれ』
『わかりました、10日ほどください』
『わかった。お前をこの空間に置いて、10倍に設定すれば24時間でいいのだな』
『はい。そうなります』

「クロ。聞いていたな。お前はどうする?ここに居るか?」
「うん!でも、ご飯を食べてからにする。扉を通らなくても入られるか確認する!」
「そうだな。それができたら便利だな」
「うん!」

 一旦、チアルだけを残して、外に出る。
 不思議な間隔だが、元の場所に出てくる事ができた。

 丁度、食事ができたとリーリアが知らせてきてくれたので、食事をする事になった。

 クローエがうるさい。
 グラタンだから熱いと言っているのに、誰もとらないのに、急いで食べようとして、熱い熱いを繰り返している。

 一日時間ができた。

  秘密の小部屋ディメンションホームの時間設定は10倍に設定した。

 試してみるか?
『チアル、聞こえるか?』

 念話で、チアルを選択できるが、繋がった感じがしない。
 ダメなようだ。待っているのも面倒だな。100倍に設定すれば、144秒=2分ちょっと。1000倍にすれば14秒?

 あっ一度設定したら24時間はロックされてしまう。
 しょうがない、1日待つか・・・。環境設定も変えられると書かれているけど・・・何ができる?

 草原にしたりはできないようだ。
 できるのは、気温や光度だけのようだ。

『ティリノ』
『はい』
『チアルに繋がるか?』
『ダメです。先程から話しかけていますが繋がりません』
『ペネムも同じか?』
『はい。ダメです』

 やっぱりダメなようだ。
 外から中には繋がらないようだ。外から中はどうなのだろう?

「クロ!」

 口の中をやけどしたとか言っていたが、リーリアに治療して貰って治ったようだ。
 そもそも、アンデットだろう?とかいうツッコミはしてはダメなようだ。

「はひ?」
「食事が終わったら実験開始しよう」

 パタパタと飛んで、シロの肩に腰掛ける。

「うん。それで何をするの?」
「お前な・・・さっき、自分で言っただろう、 秘密の小部屋ディメンションホームに入られるか実験するってな」
「あっ!」
「忘れていたな」
「そっそんな事はない。覚えていたよ!」
「まぁいい。やってみせろよ」
「うん!」

 クローエがシロの肩から飛び立って、何やら詠唱を始めた。
 手をかざすと小さな魔法陣が現れて吸い込まれるように消えた。

 少し経ってから、一体のピクシーが現れた。空間からいきなり出てきたのではなく、空間に小さなドアができて、そこから出てきた。

 クローエ?じゃないな
 すぐに現れたピクシーは、クローエの眷属分体の様だ。

「マイロード!」
「マイロード?俺の事か?」
「はい。マイロード。麗しきクローエ様からの伝言です」
「おい。まぁいいか。それで?」
「はい。マイロード。『移動は無事完了した。こっちで寝る』という事です」
「わかった。それで、お前はどうする?」
「私は、このままこちらに居ます。麗しきクローエ様と念話が繋がります」
「へぇどのくらい存在していられるのだ?」
「麗しきクローエ様のお話では、こちらの時間で24時間程度だという話です」
「わかった。ありがとう。自由にしてくれ、それから、クロにダンジョンコアが産まれたら連絡してくれと頼んでおいてくれ」
「かしこまりました。マイロード」

 なんか疲れた。
 クローエがチアルについていてくれる事になったので、ダンジョンコアが産まれるのが解るので丁度いいのかもしれない。

 それが終わったら、1440倍にして38日間待てば意識が芽生えるかもしれない。
 その前に、俺がダンジョンマスターになっておけばいいのだったな。
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