チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

文字の大きさ
52 / 161
第四章 マガラ神殿

第十話 リンの決断

しおりを挟む

 アウレイアが目覚める前に、俺が寝てしまったようだ。
 木により掛かるように寝ていた。

 起きて、立ち上がって周りを見ると、アウレイアが俺の前で頭を下げている。
 アウレイアは、体躯が3m程度まで大きくなり、種族がフェンリルに進化した。狼を率いるものだと言っている。アイルの体躯が余り変わらなかったことから、種族フェンリルは、この位の大きさなのだろう。

 ロルフが見当たらない。

「アウレイア。ロルフは?」

『ロルフ様は、アイルと一緒に、魔狼を支配下に収めるために出ています』

「支配下?」

『はい。アイルの配下を作るためです』

「ん?配下なら狼ではないのか?」

『ロルフ様が、森の奥に、魔狼の群れがあるとおっしゃいまして、アイルの配下にすれば、マスターの力になると・・・』

「そうか・・・」

 ロルフが一緒なら大丈夫だろう。あれでも、精霊型猫だ。違った、自称精霊の猫だ。
 ツッコミ役が居ないからつまらない。

『マスター』

「おっどうした?」

『我の配下を、村を囲うように配置しましたが、問題はありませんか?』

「あぁありがとう。村から誰も出すな」

『はっ逃げ出そうとする者は?』

「追い返せ、攻撃された、殺さないように攻撃しろ。ただし、殺されそうなら手加減の必要はない。殺せ」

『はっ』

 俺の命令を受けて、アウレイアは、遠吠えをした。配下に命令を出したのだろう。
 遠吠えの後で、配下の狼だろうか、遠吠えが村の周りから聞こえる。村民にとっては恐怖だろう。

 暫く、恐怖を感じてもらおう。ロルフが戻ってくるまで休んでいよう。俺たちの家を壊したことを後悔すればいい。

///真命:リン=フリークス・マノーラ
///ジョブ:動物使い
///体力:80(+40)
///魔力:80(+30)
///腕力:70(+30)
///敏捷性:50(+48)
///魅力:190(+250)

 魔法やスキルは増えなかった。
 ステータスは伸びているから、眷属にした意味は有るのだろう。

 それに、今もアウレイアは、村を包囲してくれている。

「アウレイア。村の様子は?」

『はい。マスターがお休みの間に、何人かが森に来ました』

「何しに来た?」

『わかりません。マスターの生家を見て、何かを探してから帰りました』

「結界を見に来たのかもしれないな」

『わかりませんが、何かを持ち去った様子はありません』

「そうか、アウレイアは、”動物使い”の話は聞いたことが有るのか?」

『はい。先代の魔狼王が、眷属でした』

「そうなのか?」

『はい。リザードマンと、ゴブリンと、コボルトと、魔狼が、神殿の祠を守っていました』

「え?そうなの?」

『はい。我たちの群れではありませんでしたので、詳しい話はわかりませんが、魔狼がワーウルフ種となり、祠の一つを守っていました』

「祠は、どこに有るのか知っているのか?」

『はい。しかし、祠はすでに人族に破壊されています』

「そうか・・・。どの辺りにあった?」

『海沿いの森にありました。今は、人族の村が出来ています』

「そうか・・・。渓谷は越えないのだな」

『はい。四箇所は、全て、渓谷を越えない場所にありました』

 狼の遠吠えが聞こえた。

『マスター。村から逃げ出そうとした者が居たようです』

「どうなった」

『逃げ帰ったようです』

「場所は?」

『街道に向かう場所です』

「村の出入り口だな。今、遠吠えをした場所に配下を増やせるか?」

『可能です』

「頼む」

 アウレイアは、俺から少しだけ離れてから、遠吠えをする。合図になっているのだろう。
 動物使いの権能で、動物や魔物の言葉がわかるのだが、俺に向けての言葉や、俺を意識しての言葉でなければ、意味がわからないようだ。

『マスター。ロルフ様とアイルが帰ってきました』

「わかった。待っていればいいのか?」

『はい』

 5分くらいして、ロルフを上に乗せたアイルが走り寄ってきた。

『マスター。帰還いたしました。先代の配下だった、魔狼の群れを支配してきました』

 尻尾がすごい勢いで揺れている。
 褒めてほしいのだろう。

「よくやった。頑張ったな」

 アイルの頭をなでてあげると、尻尾がさらに加速した。砂埃が立つくらいに揺れている。

「ロルフも、ありがとう」

『マスター。精霊型猫ではありません。猫型精霊です』

「ん?なぜ?」

『マスターが誤解しているようなので、何度も訂正します。マスターの勘違いが鳴るまで、何度でも言います』

「わかった。わかった。それで?」

『はい。先代の”動物使い”に名を貰った魔狼が率いていた群れでした』

「それで。先代に名を貰った魔狼は?」

『人族との戦いで祠ごと焼死しました』

「そうか・・・」

『アゾレムとかいう貴族が率いた集団だったようです』

「アイル。その魔狼たちは?」

『はっ。近隣の群れを支配下に置くために動いています』

「ん?」

『マスター。今、この森は、いくつかの群れが存在します』

 アウレイアが説明してくれたのだが、魔狼は森を支配している中でも上位種なのだが、今までは森の支配には興味を示していなかった。
 アウレイアとしても、自分の群れとアイルの群れは、俺で繋がっているから、同等だと考えていて、分割で支配しようとしている。二つの群れではない。俺を頭に置いた一つの群れだと考えている。

「食料は大丈夫なのか?」

『魔狼の支配している場所に、魔物が湧き出す場所があります。知恵なき魔物なので、害にしかならない存在なので、狩って食料にしています』

「狼たちの支配する森になるのだな?」

『はい。知恵なき魔物は餌とします。我とアウレイアが居れば問題にはなりません』

『アイル。ヌシは、マスターと共に行け。マスターをお守りしろ』

『アイルはマスターと一緒に居た方がいいと思う。アウレイアが森を支配していれば問題はないだろう』

 黒い狼であるアイルが俺を見上げる。
 体躯は大きくなっていないが、存在感が増しているのは間違いない。
 ロルフとアウレイアは、アイルを護衛にしたいのだろう。スコル種となっているが、ミルたちにやったように、偽装を施せばいいだろう。

///真命:アイル(1)
///種族:スコル
///ジョブ:魔狼王
///加護:カンザキリンの加護
///体力:90
///魔力:180
///腕力:60
///敏捷性:280
///魅力:100
///魔法:青(1)・灰(1)
///スキル:俊足,威嚇

 確かに、アイルを護衛として、側に置いておく、街中では”従魔”登録をしておけば大丈夫だろう。
 加護とジョブは偽装しなければ駄目だな。

「アイル。俺と一緒に来てくれるか?」

『はい!マスターのお供を致します』

 今後の話をしていたら、夕暮れになっていた。
 アイルの配下となった魔狼が狩ってきた、オークを解体して焼いて食べた。

 村の中心部に火が灯る。
 狼の襲来を忌避するためだろう。

「アウレイア。アイル。村の中央の火を消せるか?」

『配下にやらせます』

「危険ではないよな?」

『問題はありません。黒の魔法が使える者が居ます』

「わかった。闇の帳が降りたら、火を消して、村の境界線まで狼を前進させて、遠吠えをさせろ。アイル。手が空いている魔狼や、協力してくれる狼を集めてくれ」

『はい』
『はい』

 アイルとアウレイアは、俺に頭を下げて、森の中に消えていった。

『マスターは?』

「家に行く。村長辺りが見に来てくれたら、それで終わりだが、村の若い衆が来たら捕らえる」

『殺さないのですか?』

「殺したら、それで終わりだからな。村長と、サラナとウーレンの親には、死んだほうがましだと思ってもらう」

『わかりました。マスターの御心のままに・・・』

 ロルフにお願いして、俺は木によりかかりながら目を閉じた。アイルとアウレイアが戻ってきたら起こしてもらう。

 村長おじさんが守ろうとしたものが何なのかわからない。
 サラナとウーレンが守りたかったのは?
 サラナとウーレンの両親が守りたかったものは?
 村の人たちが、ニノサとサビニとマヤを排除してまで守りたかったものは?
 結界を破壊してまで守りたかったものは?

 考えても答えが出ない。
 俺が今からやろうとしているのは、八つ当たりでしか無いのかもしれない。復讐でもなんでもない。
 復讐は、アゾレムやその後ろに居る奴らに・・・。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

処理中です...