204 / 293
第九章 神殿の価値
第十一話 許可
しおりを挟む「ジーク様。アデー様。ハインツ様。見学の許可が降りました。どの順番で回りますか?」
3人は、起きてから食事を済ませていた。案内である、サンドラが来るのを待っていたのだ。
そこに、ツバキが別荘にやってきて、3人に予定を聞いたのだ。
「お兄様!工房に行きましょう!工房!」
「アデー。落ち着け。ツバキ殿。案内は、ツバキ殿がしてくれるのか?」
「はい。私が、ご案内いたします」
「ハインツはどうする?」
「ツバキ殿。サンドラがどこに居るのかご存知ですか?」
「サンドラ様は、本日はお休みの予定ですが、ギルドに顔を出すとおっしゃっていました」
「ありがとう。ジーク様。アデー様。私は、サンドラと話をしてこようと思っております。ツバキ殿。途中から合流する事は出来ますか?」
「大丈夫です。皆様、神殿の領域への入場が可能になるカードをお持ちください。皆様の分をお持ちしております」
ツバキが、3人にカードを渡した。
「ツバキさん。このカードは、今日だけなのでしょうか?」
「ゲストカードでして、発行した日しか使えません。再発行もできません」
「わかりました。フロアを購入したら、改めて、神殿への入場許可を行えばよろしいのですか?」
「はい。そうして頂ければ、その時点で審査が行われます」
「たしか、見学の申請は、工房と地下と学校と迷宮だと思いましたが?」
「はい。間違いはありません」
「お兄様。学校は、見ておいたほうが良いと言われました。授業が行われている時間の方がいいですよね?」
「あぁ」
「迷宮は、さすがに中に入られないと思いますので、雰囲気を感じるだけですよね?」
「そうだな」
ツバキが案内に関して訂正を行う。
「迷宮の中にもご案内出来ますが?」
「え?魔物は?」
「護衛を付けます」
「アデーは行きたいだろうが、今回は諦めよう」
アデーがジークの言葉に頷いた。
「かしこまりました」
「そうなると、工房と地下施設ですね」
「アデーは、工房の見学に時間が欲しいのだろう?」
「もちろんですわ」
「俺は、学校に興味がある」
「ジーク様。私が、サンドラと話をして、ジーク様と私で学校の見学に行って、ツバキ殿はアデー様を工房に案内するという感じではどうでしょうか?」
「ハインツ様!私は、問題はありません。ツバキさん。どうですか?なにか、問題はありますか?」
皆の視線がツバキに集中する。
「私に問題はありません。私が、アデー様を工房にご案内いたします。ギルドまでご一緒に移動してから、ジーク様とハインツ様は、サンドラ様と学校に見学に行くという流れでよろしいですか?」
「そうですね。サンドラ様のご都合次第だとは思いますが、お兄様。ハインツ様。迷宮を先に見学しませんか?」
「あぁそれがいいかもしれないな」
ジークが承諾したので、方針が決定した。
ツバキの案内で、最初に迷宮の見学に行く。迷宮は、ジークとアデーとハインツが一緒に行動する。
その後、ギルドに移動する。
ギルドで、二手に分かれる。
ジークとハインツは、サンドラかギルドに居る者に依頼して、学校の見学に向かう。
アデーはツバキの案内で工房の見学に行く。
昼は、個々に食べて、時間は決めないが合流して地下施設の見学に向かう。ツバキとサンドラが居れば連絡を取り合う事が出来る。
予定が決まったので、行動を開始した。
リゾート区から迷宮区までは、西門を通過しなければならない。西門までは、馬車で移動して、それから乗り合いバスで移動する。
迷宮にはギルドから連なる通路ではなく、別の入口から入った。
「ツバキ殿。ここが迷宮の入口なのですか?」
「はい」
ハインツが聞きたくなるのも解る。3人は、迷宮の広場の光景に目を奪われていた。
大型モニターに映し出される迷宮内の戦闘シーン、救護所に運び込まれて治療を受けている冒険者。広場には、それだけではなく商人が店を構えている。冒険者に物資を売る店だけではなく、情報を売り買いしている店まで出来ているのだ。
「ツバキさん。あの表示されている物は?」
「迷宮から持ち帰った物資の買い取り価格です」
「え?買い取り価格?」
「はい。ギルドからの依頼以外で迷宮区から物資を持ち帰って、この広場の商人に買い取りをお願いした場合の基準です」
「なぜ?」
「ヤス様の指示で、新人の冒険者が不当に安い価格で買い叩かれたりしないようにするためです」
「価格はわかりましたが、横にある矢印は?」
「上に向いているのは、前回の買い取り価格よりも値段が上がった物で、下に向いているのは下がった物です。横は、同じ価格だった場合です」
「物資の横の記号は?」
「最近、付いた物で、魔道具を使って物資の鑑定をしたときに、品質を出すように改善されました。その品質をマークで表示しています」
「え?鑑定?品質?え?え?」
アデーがツバキの説明を聞いて軽くパニックになってしまった。
「実際に見てもらったほうが良いでしょう」
そういって、ツバキは近くの商人に話をした。
商人は、快く説明を行ってくれた。アデーの質問にも話せる範囲で説明をしてくれている。
「ツバキさん。魔道具は、工房が作成したのですか?」
「はい。第一層の工房が作成しています」
「販売は?」
「ギルドが優先権を持っております。ただ、神殿の施設に行き渡らせるまでの数の用意が出来ていないので、実質的には販売はまだ行われていません」
「わかりました。それに、工房の第一層とは?」
「神殿の内部で使う物や、外部に販売する魔道具を作成している場所です」
「それは・・・」
「後ほど、工房でご説明いたします。責任者から説明をお聞きください」
「わかりました」
迷宮区を出て、ギルドに移動するとサンドラが仁王立ちで待っていた。
「お兄様!」
「サンドラ?」
「お兄様は、昨日、お三方の許可を取り付けるために、責任者に事情説明を行っていた私に、今日も学校の案内をしろとおっしゃるのですか?」
「おっぉ?サンドラ?」
「お兄様?ジーク様も、ご一緒に学校の見学を行うのですよね?今日、ゆっくりと休もうと思っていた私がご案内して差し上げます。ツバキさん。ヤスさんに、”お二人を。教習場の体験をさせていただきます”とお伝え下さい」
「わかりました。サンドラ様。ジーク様とハインツ様をお願いいたします。後ほどご連絡いたします。その後は、地下施設の見学です。旦那様からはカートの使用許可も出ております。ポケバイでもいいそうです。コースは、空いている場所を使って欲しいそうです」
「え?わかりました。ありがとうございます。お兄様。ジーク様。学校の施設と授業風景をご案内いたします。その後で、学生寮と食堂と会議室をご案内いたします」
「サンドラ様。旦那様からは、クラウス様にご説明した設備は見せても大丈夫だろうということです」
「ありがとうございます!」
サンドラは、ニヤリと笑った。
これから案内をして、二人の顔が驚愕で染まる未来を想像したのだ。
連れ去られていく二人を見送ったツバキは、アデーに声をかける。
「アデー様。すぐに工房に向かいますか?」
ツバキの言葉を聞いて、アデーは勢いよく頷いた。
3人が合流するまで、神殿の表層のみだが説明を受けた。
学校では、算数の授業だったのだが、ジークもハインツも上級貴族で教育を受けていた。二人がギリギリわかるような問題を、成人前の子供が簡単に問いている姿を見て驚愕した。それが初級だと聞いて、自分の知識を疑った。中級になると、面積の求め方や時速と距離の関係を教えている。
食堂では出された食事が王宮で出される食事よりも美味しいと驚いている。週に一度行われるマナーの日で、貴族との会食でも失礼にならない程度のマナーを教えていると言われたが、二人が見ても王家や他国との会合や食事でも大丈夫なマナーを身に付けていた。
教習所では、アーティファクトを貸し与えるための練習だと言われて、あごがはずれるくらいに驚いた。
二人は、サンドラの思惑通り、疲れ切った目をして、ギルドに戻ってきた。
そこに、同じく疲れているが、目はランランと輝いているアデーが合流した。
0
あなたにおすすめの小説
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる