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52話
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翌日、ジグレイドは朝から領城に訪れていた。
オウルーゼル公爵はきちんと門衛に話を通してくれていたらしくすんなり通ることができた。
案内役のメイドに訓練場に案内してもらい、魔法師団が訓練場に来るまで少し身体を動かすことにした。
身体を動かしているとなんとオウルーゼル公爵が訓練場に出向いてきて話し掛けてきた。
「ジグレイド殿朝から精が出ますな」
「公爵閣下・・・もしかしてお暇なんですか?」
実に失礼である。
「ははは、暇なわけがないだろう。こうして新たな作戦の要であるジグレイド殿の強さをこの目で確認しようかと思ってな、足を運んだ次第だ」
『それが暇なんじゃないのだろうか』と思ったが口にはしなかった。
「魔法師団の面々はいつ頃来ますか?」
「もう来る頃だろう、ほれ」
オウルーゼル公爵の視線の先には青と白の派手なローブを纏った一団がこちらに歩いてきていた。
「なんていうか・・・森に行くときもあのローブを着ていくつもりでしょうか?」
「さてな・・・カリーナ殿は目立つから式典以外では着用していないようだが他の団員は好んで着ていると聞いているが、どうなのだろうな」
オウルーゼル公爵とそんなことをひそひそと話していると他とは違って灰色のローブを纏ったカリーナがこちらに歩いてきた。
「おはよ」
「うむ、おはよう」
「ああ、おはよう」
分かると思うが、上からカリーナ、オウルーゼル公爵、ジグレイドである。
「今日は部下が世話になる。軽く揉んでやって」
「いや、深緑の森にいくメンバーの選定だからな?訓練はしないぞ?」
そんな会話をしていると一際胸を張っている男がこちらに歩いてきた。もちろん派手なローブを自慢気に着用している。
「カリーナ様、昨日も聞きましたが本気なのですか?どう見ても我々よりかの森で生き延びられるとは思いません!しかもかの森に進軍するメンバーの選定役でもあるそうではないですか!」
「彼は強い」
「信じられません!」
ぎゃーぎゃー騒いでいる男が何者なのか知らないジグレイドはオウルーゼル公爵に尋ねた。
「公爵閣下、あの喚いている男は何者なんです?」
「くっくっく、あの喚き散らしている男は魔法師団の副団長候補だよ」
そこまでは言っていないが・・・。
「なるほど、でも所詮候補ですよね?」
「そうだ、上手くすればこの任務で副団長が決まると思われるから候補の団員のアピールはより一層熱烈になっているのだろうな」
「そうですか、使える奴なら何でもいいですけど」
「そう言い切れる貴殿は器がでかいな」
「いや、ただ単に興味がないだけですよ」
「そうとも言えるな」
二人で笑いながら話しているとその内容が聞こえていたのかその副団長候補の男が般若の顔をしながらこちらを睨みつけていた。
「さて、魔法師団も来たようだし早速選定を始めるとするかな。カリーナもう始めても?」
ジグレイドを睨んでいる男は安定の無視を決め込んでカリーナに話し掛ける。
「大丈夫」
「そうか、なら順番はカリーナが決めてくれ」
「ならこいつ」
カリーナが指差したのは今もなお睨みつけている男だった。
「そうか、カリーナは開始の合図をお願いできるか?」
「わかった」
模擬戦を行う二人は訓練場の中央におよそ10メル離れた位置で向かい合った。
「いつでもいいぞ!」
そう言うとカリーナはどこから取り出したのか知らないが銅鑼を叩いた。
「貴様には言いたいことが山ほどあるが、まずは「御託はいいからさっさと掛かってこい!後がつかえているんだ」・・・あまり我々をなめるなよ!」
話している途中で遮られたのが癇に障ったのか吐き捨てるように怒鳴って詠唱を開始した。
そんな男に対しジグレイドは中層の魔物の素早さを意識した速さで近づいてみた。
「“火よ 偉大なる火よ! 我が言霊に従いて 敵を灰燼となせ! フレイムウェーブ!”」
いちお接近前に魔法を発動できたので最低合格ラインには達しているなと迫ってくる炎の波を前にして思っていた。威力はどの程度か知りたかったので身体能力を強化して受けてみたのだが・・・。
「・・・こんなもんか」
受けてみた感想がこれである。ただ見た目が派手なだけで実用性は皆無の魔法にジグレイドは落胆した。
そんなことも知らない周りの人たちはジグレイドが炎の波に突っ込んだ様子を見て驚愕していた。カリーナはしていなかったが。
「っぷ、はははははは!おいおい、選定する奴がこんなに弱くてなにを選定する気だったんだ?避けることもできないのかよ!」
何が可笑しいのか知らないが不愉快なのですぐに終わらせることにした。
「この程度の魔法しか使えないのならお前はいらないな」
そう言いながらジグレイドは男を壁まで殴りとばし気絶させた。
周りで見ていた人たちは更に驚愕した。なぜなら炎の波にのまれたジグレイドが傷一つない姿で立っているからである。流石のカリーナも少しだけ驚いていた。
「カリーナ、あいつより弱い奴はいらない。選定する必要も感じないからな。次だ」
「わかった・・・次は君」
「は、はい!」
そう指差された男はビクビクしながらジグレイドの向かい側に歩いていき杖を構えた。男が構えた瞬間無情にも銅鑼が鳴らされた。
「いきます!・・・」
そしてカリーナを除く魔法師団25名中14名の選定が終わった。残りの11名は選定する価値もないということで相手にもしてもらえなかった。
選定は昼前には終わっていたのでそのままお昼を領城でとることにした。
「カリーナ、どう思った?俺は6名だと思うが」
現在食堂でカリーナと二人で選定結果を話し合っていた。もちろん食事の後でだが・・・なにより驚いたのが、ここでは一日三食だということだ。
「ん、それでいい」
「俺名前知らないんだが・・・」
「ジグが同じ考えなら5番目のイクシム、7番目のメマ、8番目のフルクトス、10番目のアイリーン、12番目のファマル、15番目のギース」
「えーっと・・・多分それで合っていると思う。ならカリーナから伝えておいてくれ」
「ジグは?」
「俺は公爵閣下が用意してくれた食料の確認をしにいくよ」
「それなら仕方ない・・・」
「選定結果くらいめんどくさがらずに伝えてくれ・・・」
この二日でだいぶカリーナのことが分かってきた。まずめんどくさがりで喋ることも極力しない。オウルーゼル公爵が言うには皇帝陛下や大臣の前ではめんどくさがらずに喋るらしいが、本当かどうかは分からない。それと無類の肉好き。食堂のおばちゃんが言っていたが毎日肉系統の食事らしい。しかも三食とも大盛りでだ・・・。これは持っていく食料の計算を増やさないといけないな。
「公爵閣下、食料はどの程度用意出来ましたか?」
オウルーゼル公爵の執務室に入るや否やわざとそう聞いた。
「ジグレイド殿少し待ってくれ・・・この状況を見てくれんか」
「公爵閣下が書類に埋もれていることは重々承知の上ですよ。承知の上で聞いてるのです。選定も無事終わりましたし、明日か明後日にはここを出発する予定なのでこちらも急いでいるのです」
「ぐぬぬ、分かった。メイドに案内させよう。足りそうになければメイドに買い足すように言ってくれ」
「お忙しい中ありがとうございます。では俺も忙しいのでここらでお暇させていただきますね」
「うむ、次は帰還後になるだろう。無事に戻ってくることを願っているぞ」
ジグレイドは食料を確認した後、街で自分の買い物に来ていた。買うのは新しい服類と武器や防具の手入れ用品、生活用品である。そして最後に馬を買うのである。なんでも魔法師団の移動手段は馬とのことで始めは借りる予定だったのだが、どうせなら買ってしまえと思い至ったのである。
細々とした買い物を終えたジグレイドは馬を買いに来ていた。
「いらっしゃい。馬を借りに来たのか?」
出迎えてくれたのは皺くちゃのおじいさんだった。
「いや、買いに来た。いい馬はいるかな?」
「ほほほ、若いのに金があるの。案内しようか」
おじいさんは杖を突きながら歩いて案内してくれて、一頭一頭丁寧に説明してくれた。
「こいつで最後じゃがこいつはじゃじゃ馬での、あまり言うことを聞かん。儂の言うことはちゃんと聞くのだがの」
と言ってニヤリと笑いかけてきた。そして最後の馬は先程案内してもらったどの馬よりも逞しく毛並みも見るからに良さそうな黒馬であった。
「へー、こいつはいい馬だな。名前は付けているのか?」
「ほほほ、名前を聞いてくるか!お主は面白いの。儂はこいつをシャルドゥーンと呼んでおるよ」
「そうか、試しに触っても?」
「こいつが嫌がらなければよいよ」
馬主の許しが貰えたので、試しに撫でてみると“ブルルルルル”と鳴き首を振ってくる。
「ほほほ、お主は素質があるの。こいつを一切恐れずに撫でてくるお主なら触ってもよいと言っておるようだの」
「そうか、ありがとなシャル」
そう呼び掛けると“ブルル”と首をかしげてきた。
「うん?名前がシャルドゥーンなんだろ?だから呼びやすいように短くしてシャルだ」
そう言うとまるで言葉が分かっているかのように“ブルル”と一鳴きして大人しく撫でられていた。
「ほほほ、随分と仲良くなったようだの。こいつを引き取ってくれるのかの?」
「ああ、気に入ったよ。シャルを見た後だとどの馬も見劣りしてしまうよ」
「そうだろうそうだろう。いいご主人が見つかってよかったの。すぐ連れていくかの?」
別れるのが惜しいのか少し寂し気に聞いてくる。
「いや、明日か明後日にここを発つ予定だ。その時に引き取らせてもらっても大丈夫か?」
「大丈夫だ、それまでは儂が預かっておこうかの」
馬選びも終わりおじいさんにシャルと鞍、ブラシなどの料金を支払った。締めて金貨300枚!足りなかったので引き取るときに残りを払うことを約束して宿に戻った。
オウルーゼル公爵はきちんと門衛に話を通してくれていたらしくすんなり通ることができた。
案内役のメイドに訓練場に案内してもらい、魔法師団が訓練場に来るまで少し身体を動かすことにした。
身体を動かしているとなんとオウルーゼル公爵が訓練場に出向いてきて話し掛けてきた。
「ジグレイド殿朝から精が出ますな」
「公爵閣下・・・もしかしてお暇なんですか?」
実に失礼である。
「ははは、暇なわけがないだろう。こうして新たな作戦の要であるジグレイド殿の強さをこの目で確認しようかと思ってな、足を運んだ次第だ」
『それが暇なんじゃないのだろうか』と思ったが口にはしなかった。
「魔法師団の面々はいつ頃来ますか?」
「もう来る頃だろう、ほれ」
オウルーゼル公爵の視線の先には青と白の派手なローブを纏った一団がこちらに歩いてきていた。
「なんていうか・・・森に行くときもあのローブを着ていくつもりでしょうか?」
「さてな・・・カリーナ殿は目立つから式典以外では着用していないようだが他の団員は好んで着ていると聞いているが、どうなのだろうな」
オウルーゼル公爵とそんなことをひそひそと話していると他とは違って灰色のローブを纏ったカリーナがこちらに歩いてきた。
「おはよ」
「うむ、おはよう」
「ああ、おはよう」
分かると思うが、上からカリーナ、オウルーゼル公爵、ジグレイドである。
「今日は部下が世話になる。軽く揉んでやって」
「いや、深緑の森にいくメンバーの選定だからな?訓練はしないぞ?」
そんな会話をしていると一際胸を張っている男がこちらに歩いてきた。もちろん派手なローブを自慢気に着用している。
「カリーナ様、昨日も聞きましたが本気なのですか?どう見ても我々よりかの森で生き延びられるとは思いません!しかもかの森に進軍するメンバーの選定役でもあるそうではないですか!」
「彼は強い」
「信じられません!」
ぎゃーぎゃー騒いでいる男が何者なのか知らないジグレイドはオウルーゼル公爵に尋ねた。
「公爵閣下、あの喚いている男は何者なんです?」
「くっくっく、あの喚き散らしている男は魔法師団の副団長候補だよ」
そこまでは言っていないが・・・。
「なるほど、でも所詮候補ですよね?」
「そうだ、上手くすればこの任務で副団長が決まると思われるから候補の団員のアピールはより一層熱烈になっているのだろうな」
「そうですか、使える奴なら何でもいいですけど」
「そう言い切れる貴殿は器がでかいな」
「いや、ただ単に興味がないだけですよ」
「そうとも言えるな」
二人で笑いながら話しているとその内容が聞こえていたのかその副団長候補の男が般若の顔をしながらこちらを睨みつけていた。
「さて、魔法師団も来たようだし早速選定を始めるとするかな。カリーナもう始めても?」
ジグレイドを睨んでいる男は安定の無視を決め込んでカリーナに話し掛ける。
「大丈夫」
「そうか、なら順番はカリーナが決めてくれ」
「ならこいつ」
カリーナが指差したのは今もなお睨みつけている男だった。
「そうか、カリーナは開始の合図をお願いできるか?」
「わかった」
模擬戦を行う二人は訓練場の中央におよそ10メル離れた位置で向かい合った。
「いつでもいいぞ!」
そう言うとカリーナはどこから取り出したのか知らないが銅鑼を叩いた。
「貴様には言いたいことが山ほどあるが、まずは「御託はいいからさっさと掛かってこい!後がつかえているんだ」・・・あまり我々をなめるなよ!」
話している途中で遮られたのが癇に障ったのか吐き捨てるように怒鳴って詠唱を開始した。
そんな男に対しジグレイドは中層の魔物の素早さを意識した速さで近づいてみた。
「“火よ 偉大なる火よ! 我が言霊に従いて 敵を灰燼となせ! フレイムウェーブ!”」
いちお接近前に魔法を発動できたので最低合格ラインには達しているなと迫ってくる炎の波を前にして思っていた。威力はどの程度か知りたかったので身体能力を強化して受けてみたのだが・・・。
「・・・こんなもんか」
受けてみた感想がこれである。ただ見た目が派手なだけで実用性は皆無の魔法にジグレイドは落胆した。
そんなことも知らない周りの人たちはジグレイドが炎の波に突っ込んだ様子を見て驚愕していた。カリーナはしていなかったが。
「っぷ、はははははは!おいおい、選定する奴がこんなに弱くてなにを選定する気だったんだ?避けることもできないのかよ!」
何が可笑しいのか知らないが不愉快なのですぐに終わらせることにした。
「この程度の魔法しか使えないのならお前はいらないな」
そう言いながらジグレイドは男を壁まで殴りとばし気絶させた。
周りで見ていた人たちは更に驚愕した。なぜなら炎の波にのまれたジグレイドが傷一つない姿で立っているからである。流石のカリーナも少しだけ驚いていた。
「カリーナ、あいつより弱い奴はいらない。選定する必要も感じないからな。次だ」
「わかった・・・次は君」
「は、はい!」
そう指差された男はビクビクしながらジグレイドの向かい側に歩いていき杖を構えた。男が構えた瞬間無情にも銅鑼が鳴らされた。
「いきます!・・・」
そしてカリーナを除く魔法師団25名中14名の選定が終わった。残りの11名は選定する価値もないということで相手にもしてもらえなかった。
選定は昼前には終わっていたのでそのままお昼を領城でとることにした。
「カリーナ、どう思った?俺は6名だと思うが」
現在食堂でカリーナと二人で選定結果を話し合っていた。もちろん食事の後でだが・・・なにより驚いたのが、ここでは一日三食だということだ。
「ん、それでいい」
「俺名前知らないんだが・・・」
「ジグが同じ考えなら5番目のイクシム、7番目のメマ、8番目のフルクトス、10番目のアイリーン、12番目のファマル、15番目のギース」
「えーっと・・・多分それで合っていると思う。ならカリーナから伝えておいてくれ」
「ジグは?」
「俺は公爵閣下が用意してくれた食料の確認をしにいくよ」
「それなら仕方ない・・・」
「選定結果くらいめんどくさがらずに伝えてくれ・・・」
この二日でだいぶカリーナのことが分かってきた。まずめんどくさがりで喋ることも極力しない。オウルーゼル公爵が言うには皇帝陛下や大臣の前ではめんどくさがらずに喋るらしいが、本当かどうかは分からない。それと無類の肉好き。食堂のおばちゃんが言っていたが毎日肉系統の食事らしい。しかも三食とも大盛りでだ・・・。これは持っていく食料の計算を増やさないといけないな。
「公爵閣下、食料はどの程度用意出来ましたか?」
オウルーゼル公爵の執務室に入るや否やわざとそう聞いた。
「ジグレイド殿少し待ってくれ・・・この状況を見てくれんか」
「公爵閣下が書類に埋もれていることは重々承知の上ですよ。承知の上で聞いてるのです。選定も無事終わりましたし、明日か明後日にはここを出発する予定なのでこちらも急いでいるのです」
「ぐぬぬ、分かった。メイドに案内させよう。足りそうになければメイドに買い足すように言ってくれ」
「お忙しい中ありがとうございます。では俺も忙しいのでここらでお暇させていただきますね」
「うむ、次は帰還後になるだろう。無事に戻ってくることを願っているぞ」
ジグレイドは食料を確認した後、街で自分の買い物に来ていた。買うのは新しい服類と武器や防具の手入れ用品、生活用品である。そして最後に馬を買うのである。なんでも魔法師団の移動手段は馬とのことで始めは借りる予定だったのだが、どうせなら買ってしまえと思い至ったのである。
細々とした買い物を終えたジグレイドは馬を買いに来ていた。
「いらっしゃい。馬を借りに来たのか?」
出迎えてくれたのは皺くちゃのおじいさんだった。
「いや、買いに来た。いい馬はいるかな?」
「ほほほ、若いのに金があるの。案内しようか」
おじいさんは杖を突きながら歩いて案内してくれて、一頭一頭丁寧に説明してくれた。
「こいつで最後じゃがこいつはじゃじゃ馬での、あまり言うことを聞かん。儂の言うことはちゃんと聞くのだがの」
と言ってニヤリと笑いかけてきた。そして最後の馬は先程案内してもらったどの馬よりも逞しく毛並みも見るからに良さそうな黒馬であった。
「へー、こいつはいい馬だな。名前は付けているのか?」
「ほほほ、名前を聞いてくるか!お主は面白いの。儂はこいつをシャルドゥーンと呼んでおるよ」
「そうか、試しに触っても?」
「こいつが嫌がらなければよいよ」
馬主の許しが貰えたので、試しに撫でてみると“ブルルルルル”と鳴き首を振ってくる。
「ほほほ、お主は素質があるの。こいつを一切恐れずに撫でてくるお主なら触ってもよいと言っておるようだの」
「そうか、ありがとなシャル」
そう呼び掛けると“ブルル”と首をかしげてきた。
「うん?名前がシャルドゥーンなんだろ?だから呼びやすいように短くしてシャルだ」
そう言うとまるで言葉が分かっているかのように“ブルル”と一鳴きして大人しく撫でられていた。
「ほほほ、随分と仲良くなったようだの。こいつを引き取ってくれるのかの?」
「ああ、気に入ったよ。シャルを見た後だとどの馬も見劣りしてしまうよ」
「そうだろうそうだろう。いいご主人が見つかってよかったの。すぐ連れていくかの?」
別れるのが惜しいのか少し寂し気に聞いてくる。
「いや、明日か明後日にここを発つ予定だ。その時に引き取らせてもらっても大丈夫か?」
「大丈夫だ、それまでは儂が預かっておこうかの」
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