おちゆく先に

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57話

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 「団長!お疲れ様です!相変わらず恐ろしい魔法ですね」
 大体似たようなことを魔法師団の面々がカリーナに駆け寄ってきて各々が褒めている。
 「ありがと」
 「確かにあの魔法は凄かったな。その前の合わせ魔法にも驚かされたけどな。さすが精鋭って感じたよ」
 ジグレイドは素直に称賛した。魔法は自分には出来ない分野なのだ。いつもであれば自分に属性さえあればと嫉妬するのだが、今回はそんなことさえ感じなかった。

 「そう?確かにオレっち達の合成魔法もそんじゅそこらの魔法使いでは真似できないからね」
 少し自慢げに言ってくるファマルだが、すぐさまギースに皮肉を言われる。
 「その合成魔法も団長の魔法で吹き潰されてしまったけどな」
 「それを言ったらダメだろー・・・そもそも規格外の団長と比べるのがおかしいよ」
 「確かに得意魔法じゃなくてもあの威力だからな、比べるのは烏滸がましいか?」
 全員で談笑していると地面が微かに揺れた。それに気が付けたのはやはりジグレイドとフルクトスであった。

 「なんだ?今微かに・・・」
 「む、ジグレイド君も感じたか?」
 「ああ、新手か?」
 少し様子が変わった二人を見たイクシムが尋ねてくるが、答えている時間はもうなかった
 「お二人ともどうしたのですか?なにか・・・・っ!?」

 イクシムが話している途中に地面が激しく揺れた。


 「っ!?カリーナ!」


 ジグレイドは咄嗟にカリーナに近寄り横へと突き飛ばした。その瞬間カリーナが立っていた地面から無数の槍のようなものが飛び出してきた。いや、生えたと言った方が適切だろうか。

 「ぐがっ!」
 カリーナを庇ったジグレイドはその無数の槍で貫かれたと思われたがその身に纏った鎧が殆どの槍を弾いたのだが鎧で覆われていない部分には槍が突き刺さっていた。
 「ジグっ!」
 思わず駆け寄ろうとするカリーナだが、突き飛ばした先にいたフルクトスに止められていた。
 「おやめください!まだ槍の触手は出てきているのですよ!」
 「でもジグが死んじゃう!」
 「団長のお気持ちも分かりますが、今は耐えてください!」
 なおも近寄ろうとしているが小柄なカリーナでは決して大柄ではないが男性であるフルクトスを押しのけることはできずにいた。
 「くっ!このままだと攻撃できないぞ!」
 「ジグレイドさんが中に捕らわれてちゃ迂闊なことはできないな」
 「一度後退する!誰か団長を止めるのを手伝ってくれ!」
 フルクトスは冷静に判断を下した。駆け寄ってきたイクシムとメマと三人でカリーナを無理やり後退させる。


 一旦森の中まで後退した一行はどうするか話し合っていた。もちろんカリーナは未だに取り押さえられているが。
 「それでどうするんだ?何かいい方法はないのかよ?」
 焦りながら訪ねてくるファマルにフルクトスは冷静に答えた。
 「私たちの多くが得意としているのは火魔法だ。だが火魔法を使うとジグレイド君に被害が及ぶ可能性がある。だからジグレイド君がまだ生きていることを信じて他の魔法で地道にやつの体積を削っていくしかあるまい」
 「それでいけるのかよ!?あの魔物はまだ地面の下に潜ったままだぜ?」
 「確かにギースの言う通りだが、他に手段はあるのか?強力な全体魔法は使えない、かといって弱すぎると意味がない、地道に削るほかないと思うのだが」
 「仕方ねえ、ジグレイドには助けられっぱなしだからよ。今度は俺たちが助ける番だぜ!」
 ギースの言葉に皆が頷いている中、一人だけは違った。

 「あの、いいですか?」
 「アイリーン?なんか違う作戦でも思い付いたのか?」
 「いえ、このまま私たちだけで撤退するというのはダメなのですか?確かにジグレイドさんを失ったのは辛いですけどこのままだとあの化け物に全員やられてしまう可能性もありますよ?生きている私たちは情報を持ち帰って伝える義務があると思うのですが」
 アイリーンが言っていることは正しい。だが人でなしである。
 「は?何言ってやがる!?団長を庇ってあんなことになったんだぞ!?俺らが助けなくてどうする!?」
 アイリーンの発言に真っ先に反論したのはギースであった。
 「それは仕方のない事だったのですよ。ですがあの化け物と戦って勝てるとでも?詠唱の時間を稼げる人がいないのですよ?そもそも団長はなぜ彼を必死に助けようとしているのですか?私情ではないのですか?そこのところどうなのですか?フルクトスさん」
 「む、しかし・・・」
 チラッとカリーナを見るフルクトスだがカリーナは今もなおジグレイドを助けに行こうと暴れていた。
 「やはり私情がありそうですね。そんなことに私は命を掛けたくありません!幸いまだ中層に入って間もないので私は一人でも情報を持って帰らせてもらいますよ」

 言い終わるや否やアイリーンは身一つで立ち去って行ってしまった。
 「お、おい!あいつマジで見捨てやがった!」
 「でも!・・・団長の私情って!・・・ただの恋慕とかじゃ・・・ないですよね?」
 カリーナを必死に抑えながら聞いてくるメマだが、フルクトスは黙ったままだった。

 「大丈夫、話して」
 すると自分の話だと分かったのか、カリーナがフルクトスに向かって言った。
 「いいのですか?ジグレイド君の過去にも関わりますが・・・」
 「ここでもたもたしているよりいい」
 「分かりました。手短に話しましょう」

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