98 / 126
97話
しおりを挟む
ジグレイドはひとつ深呼吸をして対峙しているログの正面へと歩みを進めた。
「ここは年長者として先手は譲るべきかな?だが手加減などは一切せん。死にたくなければ……初めから全力でこい!」
先ほどまでの雰囲気とは違い荒々しい威圧感を放ち出したログにジグレイドは嫌な汗が噴き出していた。
「流石に死ぬのは嫌なので、助言にしたがいますよ」
そう言ってジグレイドは全力で大気中の魔素を吸収し、身体強化魔法を全力で行使した。
その際、魔法の行使と連動して領域が展開される。
もちろん一番近くにいるローレンは領域外である。
「ほう、中々の威圧感じゃないか。だが……む!?なんだ?」
ジグレイドの領域は無色で無臭だがログの直感はそれすらも看破したが、この直感は何か身の危険があるとしか分からないため、どんな危険が迫っているかは目視で確認しないといけないという欠点があった。
ジグレイドの強さ的にはログに勝てる見込みは万にひとつもないだろう。
だが猛毒で弱らせ続ければハヌマエンの時のようにいつかはログも倒れるかもしれない。
しかしジグレイドはそんな事は許容できなかった。
いくら猛毒があるといっても相手が強者であればあるほどその効き目は悪く、効果を現すまでの時間が長くなるのだ。
憎っくき龍人族を倒すためには領域内に敵を留めながら敵の攻撃を防ぎ続けなけらばならない。
そのための練習として剛鬼はうってつけだった。
今のジグレイドでは恐らく防戦一方になることは自身も分かっているが、剛鬼の猛攻を防ぎ続けれるならば、あの龍人族の攻撃も防げるのではないかと考えたのである。
「はぁあああああ!」
ジグレイドは大剣にも見える短槍を肩に担ぎ、丸盾を正面に構えて突進した。
普通であれば横に避けたりするのだろう、だが剛鬼は普通の兵士ではなかった。
その常人離れした怪力を活かして大剣を丸盾に振るったのだ。
両軍の戦いが数秒だけだが止まった。
別に一騎討ちを観戦し始めたわけではない。
だが両雄の衝突によるあまりの轟音に手を止めざるを得なかったのである。
突進したにもかかわらずジグレイドは後退させられていた。
ログの振るった横薙ぎのあまりの威力にジグレイドは軽く浮かされ後ろに飛ばされたのである。
「ぐっ…流石剛鬼と言った方がいいのか?まさか突っ込んだ俺が弾き返されるとは思わなかった」
「ふっ、そう言う貴公も中々やるじゃないか。まさか俺の全力の攻撃をその程度の被害で済ませているのだからな。素直に賞賛に値する。もし貴公があと十数年早く生まれていたのならば、良きライバルになっていただろう。それ故に実に惜しい…」
「なんだ?もう既に勝った気か?戦いはまだまだこれからだろう?」
「貴公ほどであれば実力の差は先ほどの衝突で分かると思ったのだがな…俺の思い込みだったかな?」
ログは敢えてジグレイドを挑発していた。
今もなお自分に訴えかけてきている直感がジグレイドの何に危険を感じ取っているのかが未だに分からなかったからだ。
「そうだな…言われなくても分かっているさ。だがな!それでもこっちには引けない理由があるんだよ!だから…俺の踏み台となれ!剛鬼!」
目にも止まらぬ速度で接近し、斬りつけるがログには通じず、普通に防がれ反撃を受ける。
そして容赦のない追撃を仕掛けてくるログにジグレイドは丸盾と短槍を駆使して必死の防御を繰り広げる。
ジグレイドは防戦一方で攻撃をする暇すらない。
そして遂にログの攻撃をモロに受けてしまった。
幸い受けたものは大剣ではなく太い足での蹴りだったのだが、それでもジグレイドは数十メル程蹴り飛ばされてしまった。
「───ぐぁっ!」
蹴り飛ばされ地面をゴロゴロと転がった。
そしてジグレイドはやってしまった!と焦った。
なにせ今もなお領域は発動しているのである。
むしろ全力で身体強化魔法を行使していなかったらジグレイドは先ほどの蹴りで内臓が破裂して動けなくなっていただろう。
それほどまでの蹴りだった。
「手を出すな!此奴は俺の相手だ!」
そう言って剛鬼は大剣を振り下ろしてきた。
そしてその言葉にジグレイドは飛ばされたのがフェイシル王国軍側ではなく、バルグド帝国軍側だということに気づき安堵した。
だが直ぐに自身に大剣が迫ってきていることを思い出し、なんとか回避しようと地面を更に転がった。
大剣を振り下ろしたログは違和感に気がついた。
普段であれば目の前の相手から気をそらす事はなくひたすら敵を攻撃し続けるのだが、この時ばかりは直感が周りを見ろと訴えかけてきていたのだ。
そして未だに地面を転がっているジグレイドから視線を逸らし一瞬だけ周りを見てみると、思いもよらない光景が広がっていた。
周囲十数メルにいる味方は軒並み血を吐いて倒れ伏しており、範囲内に無事に立っている味方はいなかった。
「一体何が起きた……」
目の前に敵がまだいることも忘れログは味方に歩み寄ろうとした。
そしてそれが致命的な隙となった。
「ここは年長者として先手は譲るべきかな?だが手加減などは一切せん。死にたくなければ……初めから全力でこい!」
先ほどまでの雰囲気とは違い荒々しい威圧感を放ち出したログにジグレイドは嫌な汗が噴き出していた。
「流石に死ぬのは嫌なので、助言にしたがいますよ」
そう言ってジグレイドは全力で大気中の魔素を吸収し、身体強化魔法を全力で行使した。
その際、魔法の行使と連動して領域が展開される。
もちろん一番近くにいるローレンは領域外である。
「ほう、中々の威圧感じゃないか。だが……む!?なんだ?」
ジグレイドの領域は無色で無臭だがログの直感はそれすらも看破したが、この直感は何か身の危険があるとしか分からないため、どんな危険が迫っているかは目視で確認しないといけないという欠点があった。
ジグレイドの強さ的にはログに勝てる見込みは万にひとつもないだろう。
だが猛毒で弱らせ続ければハヌマエンの時のようにいつかはログも倒れるかもしれない。
しかしジグレイドはそんな事は許容できなかった。
いくら猛毒があるといっても相手が強者であればあるほどその効き目は悪く、効果を現すまでの時間が長くなるのだ。
憎っくき龍人族を倒すためには領域内に敵を留めながら敵の攻撃を防ぎ続けなけらばならない。
そのための練習として剛鬼はうってつけだった。
今のジグレイドでは恐らく防戦一方になることは自身も分かっているが、剛鬼の猛攻を防ぎ続けれるならば、あの龍人族の攻撃も防げるのではないかと考えたのである。
「はぁあああああ!」
ジグレイドは大剣にも見える短槍を肩に担ぎ、丸盾を正面に構えて突進した。
普通であれば横に避けたりするのだろう、だが剛鬼は普通の兵士ではなかった。
その常人離れした怪力を活かして大剣を丸盾に振るったのだ。
両軍の戦いが数秒だけだが止まった。
別に一騎討ちを観戦し始めたわけではない。
だが両雄の衝突によるあまりの轟音に手を止めざるを得なかったのである。
突進したにもかかわらずジグレイドは後退させられていた。
ログの振るった横薙ぎのあまりの威力にジグレイドは軽く浮かされ後ろに飛ばされたのである。
「ぐっ…流石剛鬼と言った方がいいのか?まさか突っ込んだ俺が弾き返されるとは思わなかった」
「ふっ、そう言う貴公も中々やるじゃないか。まさか俺の全力の攻撃をその程度の被害で済ませているのだからな。素直に賞賛に値する。もし貴公があと十数年早く生まれていたのならば、良きライバルになっていただろう。それ故に実に惜しい…」
「なんだ?もう既に勝った気か?戦いはまだまだこれからだろう?」
「貴公ほどであれば実力の差は先ほどの衝突で分かると思ったのだがな…俺の思い込みだったかな?」
ログは敢えてジグレイドを挑発していた。
今もなお自分に訴えかけてきている直感がジグレイドの何に危険を感じ取っているのかが未だに分からなかったからだ。
「そうだな…言われなくても分かっているさ。だがな!それでもこっちには引けない理由があるんだよ!だから…俺の踏み台となれ!剛鬼!」
目にも止まらぬ速度で接近し、斬りつけるがログには通じず、普通に防がれ反撃を受ける。
そして容赦のない追撃を仕掛けてくるログにジグレイドは丸盾と短槍を駆使して必死の防御を繰り広げる。
ジグレイドは防戦一方で攻撃をする暇すらない。
そして遂にログの攻撃をモロに受けてしまった。
幸い受けたものは大剣ではなく太い足での蹴りだったのだが、それでもジグレイドは数十メル程蹴り飛ばされてしまった。
「───ぐぁっ!」
蹴り飛ばされ地面をゴロゴロと転がった。
そしてジグレイドはやってしまった!と焦った。
なにせ今もなお領域は発動しているのである。
むしろ全力で身体強化魔法を行使していなかったらジグレイドは先ほどの蹴りで内臓が破裂して動けなくなっていただろう。
それほどまでの蹴りだった。
「手を出すな!此奴は俺の相手だ!」
そう言って剛鬼は大剣を振り下ろしてきた。
そしてその言葉にジグレイドは飛ばされたのがフェイシル王国軍側ではなく、バルグド帝国軍側だということに気づき安堵した。
だが直ぐに自身に大剣が迫ってきていることを思い出し、なんとか回避しようと地面を更に転がった。
大剣を振り下ろしたログは違和感に気がついた。
普段であれば目の前の相手から気をそらす事はなくひたすら敵を攻撃し続けるのだが、この時ばかりは直感が周りを見ろと訴えかけてきていたのだ。
そして未だに地面を転がっているジグレイドから視線を逸らし一瞬だけ周りを見てみると、思いもよらない光景が広がっていた。
周囲十数メルにいる味方は軒並み血を吐いて倒れ伏しており、範囲内に無事に立っている味方はいなかった。
「一体何が起きた……」
目の前に敵がまだいることも忘れログは味方に歩み寄ろうとした。
そしてそれが致命的な隙となった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる