一日一回シないと死んじゃう妖精の私が、人質になってしまいました。~救命はエッチ? いじわるな准将様に見張られて~

夢沢とな

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ペーター編

46話 プロポーズと霹靂

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もーいーかい? まーだだよー

きらめく新緑のなかでかくれんぼすると、どこにいるか見つけられなかった若草色の髪をしたペーター。

今目の前にいる彼は、空色のメッシュを入れていた。
はねの太脈には独特なピアスがはめられ、こだわりの強かった性格が大人になってファッションにも反映されているのがなんとなくわかった。
雷を聞き分けるとんがり耳も立派になっているし、目も、鼻筋も、全部整いすぎている。
いや、昔から美形だったのだ。子供だから意識しなかっただけだ。

彼が荷物を置くと、なにやら大量の瓶の音がした。

「ラベンダーポーション120個、重ったくて。注文したゼイツ・ウウ・ドライヴランドって奴、どこにいるの? ご尊顔拝ませてよ」
「ラベンダーポーション120個??」

……ゼイツ准将が? 私は広場をふりかえった。小道にはまだ馬車が留まっている。
どうして降りてこないんだろうと見ているとペーターが前に出てきて、つなぎ服が私の鼻先をかすめた。

「ペーター、大きくなったね」
「フェルはみにくさにみがきがかかったね」
「う……うん。」
「まさか傷ついたりなんかしてないよね? 実は自分のこと美しいと思ってるんだっけ、フェルってさ」
「思ってないよ」

反射的にそう答えたけれど、私は自分がどんどん傷ついていくのを感じていた。

「ねえフェル、恥ずかしくないの?」

ペーターがポケットに手をつっこんで、馬車の方を見て言う。

「人間どもに利用されて。どうせタチアグラ代わりに連れて来られたんでしょ」
「……そうだけど、ジャムキング(おじい様)のご命令だったの」
ていよく追い出されたんじゃない? キミ嫌われてるから」

ハッキリ言われて私はぐっと堪えた。おじい様が私を嫌っているというのはピクシー城では周知のことのようだ。

「だったらどうしよう」
「はん?」
「准将様にもう帰っていいって言われたの。任務終了みたい。私、お城に戻らせてもらえるのかな」

彼の肩を見上げる。
ペーターはポケットから取り出したものを弄ぶようにして、うつむきながら言った。

首都キャピタル、フェアリーヶ丘、マラカイボの湖畔、ミュウ谷、」
「……?」
「国外ならメインセイルに七か所、ジブ大陸に四か所、ハル大陸にも一棟持ってる。どこがいーい?」

どうやら自分の所持している別邸のことらしい。

「……住まわせてくれるの?」
「だってキミはボクの妻になるひとでしょう」

私は面食らって一歩後ろへさがった。

「それって許嫁のこと?」
「まずは邪魔者を片付けたいな」

パッとペーターがキャッチしてポケットに戻したものが、指輪の箱に見えた。

「あの中にいるんだ? ちょっと雷落としてみようか♪」

そう言って手をかざすとゴロゴロ……と、不穏な音が響いてきて、私は空を見回した。

「やめてよ、御者ぎょしゃさんだって馬だっているんだから」
「御者と馬?」
ペーターが驚いた目をして私をのぞきこむ。
「ドライヴ野郎の心配はしないの??」
「……し、心配だよ? でもゼイツ准将は強いもん」

次の瞬間、辺りが真っ白に瞬いた。

パリッ パアアーーンッ!!!

とんでもない破裂音に私は両耳を塞いだ。
途端に馬車の方が騒々しくなる。馬が慌てふためき、煙が立っているのを見て何が起きたのかがわかった。

「ゼイツ准将!」

馬車の箱は半壊していた。木材が白く割れていた。私は駆けだそうとした。だが、

「【マグネット】」

「……きゃっ!」

魔法で羽交はがい絞めにされた。

「何てことするのよペーター、ほんとに落とすなんて……っ」
「何てことしてくれたんだよフェル」

私の声色をまねてペーターがオウム返しする。

「ゼイツ准将が……っ」
「ゼイツジュンショウ ゼイツジュンショウ」

彼はシールの裏紙をはがしていた。赤いキスマークのイラストを指からふりおとし、絆創膏でも貼るように、私の口に撫でつけた。

「覚えてるかい、ボクの発明した口チャックシール。自分で無理に開けようとすると、一生チャックがずれたままになっちゃうからね」

金縛りが解け、私は必死に鼻から息を吸って吐いて呼吸を取り戻した。


「おい!! ジョニー!!」


精悍な声が響き渡った。
ゼイツ准将がげていた。肩から煙があがっていた。ずかずかと歩いてきて、芝の上で靴を脱ぎ始めると、ブーツとソックスを叩きつけた。


「てめ来るのがおっせえんだよッ!! どんだけ待たせんだ!!」


それを聞いて、ペーターが目の色を変えた。

「ハアア?」

 
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