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ペーター編
93話 いわくつきの女キェ~マ
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※ホラー要素があります。苦手な方ご注意くださいませ。
★ ★ ★
火山跡地。
マグマの海にゼイツとマグ太はいた。
「お前が言うように、ペリドットはオイラたちマグマ族にかかれば量産可能だ。だが、もっと違う宝石を求めてハル大陸に来た黒魔女がいたんだ」
マグ太は一点を見つめ、自分の世界に入るように話を始めた。
「その黒魔女から、オイラの瞳に一目惚れしたってコクられた。マグマ族が人間の女に惚れられるなんて初めての事だっただろう。みんなから持て囃されたよ。オイラ、トロフィーを貰ったような気持ちになってプロポーズしたんだ。そしたらこう言われた、目が欲しいって」
ゼイツは聞き返した。
「目?」
「眼だよ。オイラたちの眼は宝石なんだ」
マグ太は不透明な白目をしばたかせた。
「なんでそんなもん欲しがったんだ」
「惚れ薬を作るのに必要だって言われた」
ここでゼイツはゴクリと喉を動かした。
その黒魔女、まさかキェーマじゃないだろうなと思って聞いていたが、惚れ薬まで出てきて話は濃厚になっていく。
「誰に使うのか聞いたら〝もちろんあなたよ〟。オイラの事が好きすぎて、オイラに惚れ薬を飲ませたいんだって。ヤンデレってこういうものかと思ったよ」
「いや詐欺だな」
「目は手足のようにはいかない。もしとれば二つ穴のあいたただの岩になって、再生に一年かかる。それでも彼女は欲しがった。しつこくおねだりされたよ」
「それで、あげちまったのか?」
「イワ断った。元々あんまりタイプじゃなかったからな。オイラは、インライ・ルル・フェアリーアイランド様のような、赤毛で明るい女性が好きなんだ」
ゼイツはホッとして頷いた。
「良かったな、騙されなくて」
「そこへ人間の男が現れたんだ」
話は終わっていなかった。
「そいつが彼女とイチャイチャしてるのを何度も目撃したオイラは焦った。盗られる! と思っちゃったんだ」
「……術中にハマッちまったってわけか」
「オイラ、彼女を取り返すことで頭がいっぱいになって、目の摘出を申し出たんだ。
〝一年後、目が覚めた時に最初に見るのがキェーマちゃんだ、そうしたら結婚しよう〟
〝ええそうね、結婚しましょう〟そう約束して手術にのぞんだ。麻酔の代わりにオンチドードー鳥がそばでずっと歌っていて、今も耳から離れないんだ…………」
瞼に汗が伝い、ゼイツは片手で顔をこすった。
「一年後どうなったか、聞くまでもないな。ゲホッ」
足場にしていた巨岩は沈み、今やマグ太と同じ高さになっている。高照度の炎に晒され、煙を吸い続けてきたゼイツの視界は、眩んできていた。
「同情して泣いてるのか」
「汗ふいてんだよッ」
マグ太が湯舟から立ち上がった。その両腕は、カマキリのような凶器に変貌をとげていた。
「ここまで我慢するなんて、お前バカだろ。オイラはコレを生やす時間を稼いでたんだぞ」
「バカはお前だ。それじゃあ野球部には入れねえぞ」
「お前こそバカだ。野球部なんかオイラには必要ないんだよ。なぜなら、」
「俺はバカじゃねえ。なんで誘ってやったか考えろ」
ゼイツがヒントを与えようとした時にはもう、
マグ太は聞いていなかった。
「この勝負に勝ったらピンクポーションとシないと出られない部屋がもらえるからだ! キェーマにだまされたぶんを……今度はオイラが誰かをだましてやる……ィイワああああぁ!!!」
マグ太が爆発した。
ゼイツは燃える岩に手をついた。
ドッッと波が押し寄せ、ゼイツは煮えたぎる溶岩を頭からかぶった。
★ ★ ★
火山跡地。
マグマの海にゼイツとマグ太はいた。
「お前が言うように、ペリドットはオイラたちマグマ族にかかれば量産可能だ。だが、もっと違う宝石を求めてハル大陸に来た黒魔女がいたんだ」
マグ太は一点を見つめ、自分の世界に入るように話を始めた。
「その黒魔女から、オイラの瞳に一目惚れしたってコクられた。マグマ族が人間の女に惚れられるなんて初めての事だっただろう。みんなから持て囃されたよ。オイラ、トロフィーを貰ったような気持ちになってプロポーズしたんだ。そしたらこう言われた、目が欲しいって」
ゼイツは聞き返した。
「目?」
「眼だよ。オイラたちの眼は宝石なんだ」
マグ太は不透明な白目をしばたかせた。
「なんでそんなもん欲しがったんだ」
「惚れ薬を作るのに必要だって言われた」
ここでゼイツはゴクリと喉を動かした。
その黒魔女、まさかキェーマじゃないだろうなと思って聞いていたが、惚れ薬まで出てきて話は濃厚になっていく。
「誰に使うのか聞いたら〝もちろんあなたよ〟。オイラの事が好きすぎて、オイラに惚れ薬を飲ませたいんだって。ヤンデレってこういうものかと思ったよ」
「いや詐欺だな」
「目は手足のようにはいかない。もしとれば二つ穴のあいたただの岩になって、再生に一年かかる。それでも彼女は欲しがった。しつこくおねだりされたよ」
「それで、あげちまったのか?」
「イワ断った。元々あんまりタイプじゃなかったからな。オイラは、インライ・ルル・フェアリーアイランド様のような、赤毛で明るい女性が好きなんだ」
ゼイツはホッとして頷いた。
「良かったな、騙されなくて」
「そこへ人間の男が現れたんだ」
話は終わっていなかった。
「そいつが彼女とイチャイチャしてるのを何度も目撃したオイラは焦った。盗られる! と思っちゃったんだ」
「……術中にハマッちまったってわけか」
「オイラ、彼女を取り返すことで頭がいっぱいになって、目の摘出を申し出たんだ。
〝一年後、目が覚めた時に最初に見るのがキェーマちゃんだ、そうしたら結婚しよう〟
〝ええそうね、結婚しましょう〟そう約束して手術にのぞんだ。麻酔の代わりにオンチドードー鳥がそばでずっと歌っていて、今も耳から離れないんだ…………」
瞼に汗が伝い、ゼイツは片手で顔をこすった。
「一年後どうなったか、聞くまでもないな。ゲホッ」
足場にしていた巨岩は沈み、今やマグ太と同じ高さになっている。高照度の炎に晒され、煙を吸い続けてきたゼイツの視界は、眩んできていた。
「同情して泣いてるのか」
「汗ふいてんだよッ」
マグ太が湯舟から立ち上がった。その両腕は、カマキリのような凶器に変貌をとげていた。
「ここまで我慢するなんて、お前バカだろ。オイラはコレを生やす時間を稼いでたんだぞ」
「バカはお前だ。それじゃあ野球部には入れねえぞ」
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「俺はバカじゃねえ。なんで誘ってやったか考えろ」
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「この勝負に勝ったらピンクポーションとシないと出られない部屋がもらえるからだ! キェーマにだまされたぶんを……今度はオイラが誰かをだましてやる……ィイワああああぁ!!!」
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