一日一回シないと死んじゃう妖精の私が、人質になってしまいました。~救命はエッチ? いじわるな准将様に見張られて~

夢沢とな

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ペーター編

76話 口笛は告げている

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私は操縦そうじゅう席の脇にしゃがんで、ペーターがどんな返事をしてくるか耳をぴんと立てていた。
もし「好きだよ」なんて答えがきても、はね広げちゃだめよフェルリナ。綺麗だとか可愛いとか息を吐くようにウソつくんだから、好きくらいカンタンに言ってく……

「ピ~♪」

……。

「ピィ~♪ フィピピッ♪」

口笛吹いてる! 私はガタッと反応した。

「どーして口笛吹いてるのっ」

妖精には、口笛で呼びかけられたら口笛で返事するという本能がそなわっているらしく、聴けば唇がうずうずしてくる。
本来はフェアリーとピクシーが草原で出会う際のロマンティックな行為なのだが、何か誤魔化ごまかしたいことがある時に利用されることの方が多い。
夫婦げんかになったら旦那さんが吹き出すのがテンプレで、おじい様なんて国会でも吹き出す。

「ピヒピヒピヒピヒッ♪」

オクターブ駆け下りるような音色に誘われて思わず立ち上がってしまった。

「ペーター小鳥なの? 口笛うますぎでしょ」

「フェルも吹いたら? 口笛には口笛で返すのが礼儀でしょ」

「わかってるけど……」

その前に私の質問に答えを返してないじゃない……。
ほっぺをふくらませてみても、全然こっち見てくれない。私を拘束していた席に座って、肘掛けを指でトントンしながらリズムをとっている。
これじゃあ私のこと好きって言えなくてごまかしてるのか、単なる意地悪なのかわからない。息をつめて返事を待っていただけに、ぷうとため息がれてしまった。

「ぷう」

「ピュウ♪」

「ちがうっ。今のは口笛じゃないってば!」

「ピュ ピュユユ~♪ ピィィ~♪」

「フッ フンンンッ……うぅ///」

私すっっごい口笛下手なの。私が吹くのを聞いただけでコイツいい女じゃないな判断されて、ピクシー男子が飛び去っていくレベルで。

「やめてよできない。私が下手なの知ってるでしょ?」

「そうかな。ボクはフェルの吹く口笛、す、す、に入ってるけど? す、す~麗な音色してると思うけど?」

「カミッカミじゃないっ!」

ペーターは前髪をかきあげてごまかした。

「とにかく、」

「お世辞言おうとして震えが来て言えなかったんでしょ。あまりに下手だから」

「とにかく、いまさらボクの前でカッコつける必要あるの? って言おうとしたの。フェルのカッコ悪いところなんて網羅してあるんだ。あれは六歳の時、ピクシー城の晩餐会に来た時……」

「黒歴史ヤメテ!/// わかったわよ吹けばいいんでしょっ」

そうよ、ペーターの前でいまさらかっこつけても仕方ないんだわ。恥ずかしい姿たくさん見られてるんだから。

「いくわよ」
私は構えた。
「足を肩幅に開くところから始まるの?」
「フッー! フッー!」
「怒った猫がケーキの蝋燭ろうそくふき消してるみたいだ」
「ブフフッ!」
私が笑うと、ペーターもくつくつ笑いをこらえていた。
あ、ペーターが本当に笑ってる……。赤くなったほっぺたにひげができる彼の笑顔を久しぶりに見た気がする。

「フェル、り目になっちゃうのが可愛い、クククッ」
「だ、だってどこに力入れたらいいかわかんないんだもん」
「力入れる必要ないんだよね……」
「あっ! そういえば覚えてる? 昔私が広場で口笛吹いたら、」
「小鳥が全員羽ばたいて逃げて行った」
「そうそう!」

小鳥の大群に飛び去られてあぜんとした私たち二人。思い出すとおかしくて笑えた。

「あの時よりは上達したはずだから!」
「はいはい」
「フッ フプィッ」
「ピッ ピピィッ♪」

全然上達してないのに、ペーターは即座に答えてくれた。唇をすぼめて、私のへたくそなメロディをカバーしてくれる。

「フーッ フーッ」
「♪フィール フィール♪」

「ブブッ」

やだっ、必死こくあまり変な音でちゃった。

「ブブッピィ~♪ちょっと待ってッ!?」
「焦ってアレンジした後うろたえないでよ、きゃははは!」

私たちはおなかをかかえて大笑いした。

 
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