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ペーター編
100話 動き出す運命
しおりを挟む【シないと出られない部屋】
ピクシーのいたずら大道具のひとつ。二名以上が入った時点でロックがかかり、しないと解除されない仕組みになっている。
ピクシーアイランドで結婚式をした新婚夫婦は、この部屋に入れられて気球につるされ、ハネムーンへと旅立つ。
この気球が空を渡っているのを見つけると、ピクシー男子たちはおじいちゃんから小学生まで双眼鏡で眺める。
「シ、シないと出られない部屋!?」
ゼイツ准将もペーターも分かっていたみたいで、驚いてるのは私だけだった。
「ちょっとペーター! なんでこんなの出しちゃったのっ」
ペーターはベッドに腰かけて、ちゃっかりペプーラを飲んでいる。
「ボクはとっさにキミを守ろうとしただけさ」
「それはありがとうだけど……」
「そもそもコイツがウィングイーターなんか連れてくるからいけないんじゃないか」
外にいるゼイツ准将は腕組みをして、何か考えている。
と思ったら月を見上げ、遠くに眉をしかめて何やら方角を確かめている。
「真っ向勝負じゃボクに勝てないから連れてきたんでしょ。カッコ悪」
「ねえそんな事より、シないでここから出る方法ないの? 緊急事態に出られる非常口みたいなのない?」
「あるわけないだろ」
「なんでないのよ」
「ボクたちはイタズラ業に命を懸けてるんだぞ」
「真顔で言わないでっ」
私は頭を抱えて、髪をぐちゃぐちゃにした。
このまま一生こうしているわけにはいかない。ペーターとするしかない。
というか私の一生って、あと一時間くらいじゃなかったっけ。
「ハッ、もしシないまま私が死んだら、残されたペーターはどうなっちゃうの?」
「一生出られない」
「うそっ」
眩暈がして私はよろめいた。
ズゴゴ
だけどそれは床が動いたからでもあった。びっくりして足元を見ると、床の下で砂が盛んに蠢いている。
「おめーら、リア充って生き物知ってるか?」
ゼイツ准将がそんなことを言いながら、壁に手をついた。
「ドライヴランドに棲んでる朝から晩まで恋人とイチャイチャしてる奴らなんだけどよ、今からそいつらに会いに行かねえか?」
回りの砂が部屋を押し、私とペーターとベッドがスピードをあげて動き出した。
「ゼイツ准将、何をしてるんですか?」
「この部屋をドライヴランドまで運ぶんだ」
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