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4 森を燃やす魔女
しおりを挟むええっ? ディアお姉さまが補導されちゃった!?
じつはディアお姉さまだけ、この場にいない。数か月前、フェアリーアイランドにやってきたホーク動物博士という人の飛空艇に乗って、ヨット大陸へついて行ってしまったの。
「電話の内容はなんだったの? お母さま、ちゃんと説明して」
「わかったわ。みんなソファに座ってちょうだい」
お姉さまたちがいそいで集まる。私もジョニーを抱っこして座った。
「ディアはウィッチランドの黒魔女の館に、オノを持って殴りこんだらしいの」
「黒魔女……!?」
私たちは息を飲んだ。
ウィッチランドといえば、魔女の国。中でも黒い魔女は、私たち妖精を白化させて、お粉にしてメイクに使うんだって。こわい。
「黒魔女に自分から近づくなんて危険すぎるわ……」
アネモネお姉さまがつぶやいた。
「その黒魔女、なんていう名前?」
「グロリア」
「オノを持って殴りこむなんて、よほどの理由があったんだわ。ディアは何かに怒っていたんじゃないの?」
プリシラお姉さまがきき、お母さまは答えた。
「ええ、『グロリアが森を燃やすのを止めたくてやった』と、ディアは話しているんですって」
それを聞いて、私はショックを受けた。
「何のために?」
「森をなくしてその場所に〝イケメンの国~イケメンランド~〟を作るためだそうよ」
「イケメンの国???」
そんなことのために? 私たちは耳を疑った。
「そんなの作るくらいなら、フーセンガムの国作ってよ」
「そこ重要じゃないから、プー」
「森にいた動物たちはどうしているのかしら……」
プリシラお姉さまが心配そうにする。
「行く場所もなく食べ物もなくなれば村を襲うのは当たり前よ。それなのに狩人たちに殺されるなんて、理不尽すぎるわ……」
泣き虫な私は、目に涙がたまっていった。ぽたりと落ちて、ひざの上のジョニーが私をみあげる。
ジョニーのおかあさんは、ハンターのわなにかかってしまった。
足にくいこんだ縄は、どんなに引っ張ってもとれなくて、
おかあさんは一晩中もがきつづけた。
ジョニーはそんなおかあさんのそばから離れなかった。
ハンターはジョニーの目の前で、あっさりおかあさんを殺した。
「だからディアはグロリアの館に乗りこんだのね。動物たちの森を守ろうとして」
「おれたちは今からディアを迎えにヨット大陸へ行く」
お父さまが言う。
「明日戻ってきたら、家族全員でインライの誕生日祝いをしよう! 花火を打ち上げてな! それでいいかい? インライ」
「お祝いなんていらない。ディアが無事だってことが最高のプレゼント」
インライお姉さまは明るく答えた。
「うむ。もうすぐアーノルドがバースデーケーキを持ってくるはずだ。それまで大人しくしてるんだぞ」
アーノルドさんはフェアリーアイランド城で働く庭師のおじいさんである。
「みんな、念のため一人で行動はしないでちょうだい。特にフェルリナ、ジョニーとわきげの森へ冒険に行ってはだめよ?」
お母さまに言われて、私はジョニーを抱きしめ、うなずいた。
――しかしこの時すでに、わきげの森には黒魔女グロリアの手下が忍びこんでいたのである――。つづく
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