魔術の使えない魔術師として追放された俺の行く末

国光

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第11話「エルト編③」

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 俺の名はエルト。
 エルト・レイリー。十八歳。B級の冒険者でポジションは剣士だ。
 今はまだB級だが、近々A級に上がるだろうと言うのが周囲からの評判だし俺もそう思っている。
 今はただのB級パーティで名前がついていないが、A級になればパーティに名前をつける事が出来る。いずれは俺の名はA級パーティ名と共に周囲に広がり俺の名を知らないものはいなくなるだろう。
 そう思っていたのだが。
「何なんだ。さっきの戦い方は!」
 俺とシェリーとサラは新たな魔術師のリュートに説教されていた。
 元々B級パーティに所属していて自身もB級だったリュート。
 炎魔術と雷魔術の攻撃魔術を操る実力者。
 最近火力のないうちのパーティに必要な存在だと思ったのだが。
「聞いているのか。エルト!」
 こんな風に怒鳴り散らすなんて、新入りのくせに。大体俺達が悪いみたいな図式に見えるがそんなわけじゃない。
 こうなる少し前、俺のパーティはオーク討伐の依頼を失敗して命からがら逃げかえってきたのだった。
 リュートの魔術は破壊力があった。
 威力があったのだが、連携が全く取れない。前衛の俺とシェリーが喰らうかもしれない位置にぶっ放すもんだからこいつが悪い。
 そもそもこいつが俺達を威嚇するような真似をするから任務失敗になってしまうのだ。
「リュート。好き勝手言ってくれるがな」
 ここはリーダーとしてびしっと言ってやらねばなるまい。
「お前が状況考えずに魔術を放ったりするから連携がおかしくなるんだよ!」
 俺はびしっと言ってやった。
 こういう勘違い野郎にはしっかりと言ってやらなければ。
 俺に図星を疲れたリュートは反省の表情を……していないな。
「はあ。何言ってるんだよ」
 俺の言葉はリュートには全然響いていなかった。むしろより怒っているように見える。
「俺の魔術の射程とか伝えていたよな。初任務だから多少はしょうがない部分もあるだろうがそういう次元じゃないんだよ。何なんだよ。お前らの動きは。冒険者に憧れる子供と同レベルだぞ」
 なんか滅茶苦茶言われている。
 自分の不手際を認めずにこっちを子供と同じレベルとか言いがかりにも程がある。
「新入りが何を偉そうに━━」
「新入りだろうがなんだろうがあんなアホみたいな戦いに巻き込んでるんじゃねえ」
「あ、アホ?」
 散々な言われようだ。
「ここには戦闘指揮を取れるやつはいねえのか?」
 リュートは何故か俺を見ないでシェリーを見た。リュートと目があったシェリーが首を横に振ると今度はサラを見た。シェリーと同じようにサラも首を横に振ると、疑うような目で俺を見てきた。
「指揮を取っているのはリーダーの俺だ。その時の判断でみんなの動きに指示を出している」
「あれのどこが指揮だって言うんだよ。行くぞ。と下がるぞと援護しろしか言っていないじゃないか。前後の動きが少しあるだけで連携も何もないんだよ」
「でも今まではそれで出来ていたんだ」
 そう、テオがいた頃はもっと動きやすかった。
 あいつが指揮を取っていたと言うわけじゃない。
 だがあいつがいた頃はもっと思い通りに動けていた気がする。
 思い返してみると、あいつはみんなの動きを気にしながら戦っていたような気もする。
 いや、過去を振り返ってもしょうがない。
「今までは出来てても今が出来ていないんだよ。もっと現実を見ろ」
 本当に腹が立つが今後の事を考えればこいつの攻撃力は貴重だ。
 これだけ言うんだから指揮もとれるのだろう。
 俺達に指揮能力がないならそれを見せてもらおう。そして指揮がどういうものかわかったらこいつを潰れるまで酷使してやればいい。
「リュート。そこまで言うのなら次はお前が指揮を取れ」
 俺はリーダーとしてそうリュートに指示を出した。
「はあ、何を言っているんだ。俺は魔術師だぞ。自分が出来ないからってこっちに投げようとしてるんじゃねえよ」
「なんだと!」
 せっかく指揮権を譲ってやろうというのに。あれだけ文句を言っておいて出来ないとは何事だ。
 このまま俺とリュートの言い合いは続き、リュートとは喧嘩別れになってしまった。
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