7 / 17
第07話「心の距離を縮めて(前編)」
しおりを挟む
ギルドでの業務が終わり、夕日に染まる街並みを歩いていた。疲れた体には温かい食事が必要だ。簡単な夕食の材料を買うため、市場へと足を向けた。
「今日は野菜のスープにしようかな」
冒険者時代から計画的に生きることが身についている。明日の朝食まで考慮して、効率よく食材を選ぶ習慣は冒険者時代からの名残だ。誰かのために準備する必要はなくなったが、几帳面な性格は変わらないらしい。
市場は夕方の活気に満ちていた。閉店前の値引き交渉に熱心な主婦たち。仕事帰りの労働者たち。俺は人混みを縫うように進みながら、新鮮な野菜を吟味していた。
「あら、リオン?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはエリナが立っていた。ギルドの制服ではなく、普段着姿の彼女は久しぶりだ。なんだか少し新鮮に映る。淡いブルーのワンピースに身を包み、買い物籠を手にしていた。
「こんばんは。エリナ。買い物か?」
「そうよ。父が今日は遅くなるから、自分の分だけ何か作ろうと思って」
彼女の笑顔には、いつも心が軽くなる不思議な力がある。ギルドでの真面目な表情とはまた違う、柔らかな雰囲気だった。
「リオンも夕食の買い物?」
「ああ。今日はスープでも作ろうかと」
「素敵じゃない。料理もできる男の人っていいわよね」
そう言われてちょっと照れる。
「ま、まあパーティ時代は食事管理も担当していましたから、基本的なことはできます」
何故か敬語になってしまったが、俺がそう答えると、エリナは少し考え込むような表情をした後、突然明るい声で提案してきた。
「せっかくですから、一緒に料理しませんか?私の家、ここから近いんです」
何故か俺に合わせて敬語でエリナがそんな風に聞いてきた。
予想外の誘いに一瞬言葉に詰まった。エリナの家に行くなんて考えもしなかった。しかし、彼女の澄んだ瞳に見つめられると、断る理由が見つからない。
「よろしいのですか?お邪魔するようで」
「全然構いませんよ。一人で食べるより、誰かと一緒の方が楽しいですし」
彼女の自然な笑顔に、長年忘れていた温かさを感じた。いつも冷静を装う俺だが、胸の奥で何かが小さく揺れ動くのを感じる。
「では、お言葉に甘えます」
二人で食材を選び、エリナの案内に従って市場を後にした。夕暮れの街を歩きながら、彼女との何気ない会話に心地よさを覚える。
「私の家、とても質素なんですけど、気にしないでくださいね」
その事に対して、「既に知っているよ。何度行った事があると思っているんだ」というツッコミはしなかった。
「俺の方こそ、突然お邪魔することになって申し訳ありません」
言葉を交わしながら、俺は不思議な感覚に襲われていた。かつてのパーティでは常に「支える側」だった自分が、今はエリナに「迎え入れられる側」になっている。この違和感と心地よさが入り混じる感情は、俺にとって新しいものだった。
夕暮れの空が深い藍色に変わり始めたころ、俺たちはエリナの家に到着した。新しい何かが始まる予感が、静かに俺の心を満たしていた。
*
エリナの家は、思ったより小さかった。ギルドマスターの娘とはいえ、彼女は派手な暮らしを好まないようだ。質素ながらも行き届いた掃除と、ところどころに飾られた花や小物が、住む人の温かさを感じさせる。
「どうぞ、上がってください」
玄関を入ると、部屋全体が見渡せるワンルームの空間が広がっていた。キッチンはコンパクトだが、必要な道具はきちんと揃っている。エリナは照れくさそうに微笑んだ。
「父の家とは別に住んでいるんです。自分のペースで生活したくて」
「なるほど。独立心が強いんですね」
「リオンさんにそう言われると、なんだか誇らしいです」
そう言って彼女は買い物袋から食材を取り出し始めた。俺も自然と手伝い、キッチンに並んで立つ。
「スープの具材、切りましょうか?」
「ありがとうございます。じゃあ私はパンを温めますね」
二人で料理を始めると、不思議と居心地の良さを感じた。長年、パーティのメンバーのために食事を準備してきたが、誰かと一緒に作るのは初めてに近い。エリナの手際の良さにも驚いた。
「玉ねぎの切り方、上手いですね」
「リオンさんこそ、包丁さばきが見事です。さすがですね」
「パーティ時代は、戦闘の合間に食事の準備もしていましたから」
言いながら、ふと昔を思い出す。カイルたちは私の料理を当たり前のように口にしていた。感謝の言葉もなく。
「毎日大変だったでしょう?」
エリナの言葉に、はっとした。彼女は鋭い。俺の表情の変化を見逃さない。
「慣れていましたから。みんなが戦えるようサポートするのが俺の役目でしたし」
「でも、その大切さをわかってもらえなかったんですね」
静かな声で、彼女は俺の心の奥を見透かすように言った。思わず手が止まる。
「そうですね。でも今は気にしていません」
「嘘つき」
彼女はくすりと笑う。その目は優しさに満ちていた。
「リオンさんはいつも、自分の気持ちを押し殺して、他人のことばかり考えているんですね」
言葉に詰まる俺に、彼女は優しく微笑んだ。
「スープに塩を入れましょうか?」
話題を変えてくれた彼女の気遣いに感謝しつつ、料理を再開した。
「というか。いつまでこの口調だ」
さすがにそろそろわざとらしすぎる二人の会話に笑いをこらえるのに限界が来た。さっきから「リオンさん」呼ばわりも面白すぎる。
「いいじゃない。楽しいわよ」
エリナも吹き出していた。
「俺なんかこの口調に心引っ張られて初めて来たエリナの家は思ったより小さいななんて思っていたぞ」
「なによ。それ。これまで何回来ているのよ」
部屋に広がる料理の香りが、心を和ませる。
完成した夕食を小さなテーブルに並べると、エリナはワインを取り出した。
「今日は少し特別な気分ですから」
「またその口調か?」
「ふふ。今日はいいでしょう」
グラスに注がれる赤い液体を見つめながら、緊張が少しほぐれていくのを感じる。
「乾杯しましょう。リオンさんのギルドでの新生活に」
「ありがとうございます」
グラスを軽く合わせ、一口飲む。パーティ時代は、酒を飲む機会も少なかった。常に冷静でいる必要があったからだ。
「このスープ、本当に美味しいです。リオンさんの腕前にはびっくりします」
「エリナさんが切った野菜があるからこそです」
そんな会話が自然と弾み始め、ギルドの話から、互いの子供時代の話へと移っていった。
「小さい頃はもっと立派な冒険者になれると思っていたよ」
「立派な冒険者だったわよ。リオンは」
エリナは笑顔で進める。
「私は小さい頃から、父の仕事を見て育ったから。冒険者たちの帰りを待つ家族の気持ちも理解しているつもり」
「なるほど。だから受付で、あんなに親身に対応してくれるんだな」
エリナは評判のいい受付嬢だ。
「リオンはいつから冒険者になったんだっけ?」
「14歳の時からだよ。カイルに誘われたんだよな」
話しながら、自分でも驚くほど昔の記憶が溢れてきた。普段は思い出すことも避けていた日々。エリナの前では不思議と言葉になる。
「長いね。もう10年も一緒だったのね」
「でも最後は。"お荷物"として追い出されたけど」
思わず口にした言葉に、自分でも驚いた。エリナの目がわずかに悲しげに揺れる。
「リオンは決して"お荷物"じゃないわ。あなたがどれだけ大切な存在か、私にはわかっているわ」
その言葉が胸に沁みた。誰かに理解されているという実感は、久しぶりのものだった。
「エリナはギルドマスターの娘という立場で、大変なことはないか?」
質問を投げかけると、彼女は少し考え込むような表情をした。
「やはり期待されることは多いわね。父のような立派なギルドマスターになれるのか、不安になることもあるわ」
彼女の弱い面を見せてくれたことに、心の距離が縮まるのを感じた。
「エリナなら、きっといいギルドマスターになれるよ。冒険者の気持ちも、家族の気持ちも理解している。そんな人は貴重だ」
「ありがとう。リオンにそう言ってもらえると、勇気が出るわ。でもギルドマスターを目指しているわけじゃないわよ」
彼女の瞳が柔らかな光を帯びる。テーブルの上のろうそくの明かりが、その横顔を優しく照らしていた。
時間が経つのも忘れるほど、会話は続いた。初めて自分の弱さや本音を打ち明け、彼女もまた本音で応えてくれる。この居心地の良さは、俺が長い間忘れていたものだった。
「もう、こんな時間ね」
食事後の会話も長く続き、気がつけば夜も更けていた。窓の外を見ると、空が異様に暗いことに気づく。
「そろそろ失礼しないと」
立ち上がりながら言うと、エリナは窓の外を心配そうに見た。
「でも、天気が急に変わったみたい。雲行きが怪しいわよ」
彼女の言葉通り、静かだった夜空に雲が急速に広がっていた。窓の外を見ていると、突然、遠くで稲妻が走り、続いて低い雷鳴が響いた。
「嵐になりそうだな。急いで帰るか」
言い終わる前に、ポツポツと窓を打つ雨音が聞こえ始めた。あっという間に激しい雨となり、窓を打ちつける音が部屋中に響く。
「これは」
エリナが心配そうにこちらを見る。
「リオン。この天気ではお帰りは危険よ。無理して帰らないで」
彼女の真剣な眼差しに、反論する言葉が見つからない。確かにこの豪雨は尋常ではない。
「でも、お邪魔するわけには」
「構わないわよ。こんな夜に帰すほうが心配になるわ」
彼女の優しさに甘えるべきか迷っていると、突然、ゴロゴロと大きな雷鳴が響き渡った。次の瞬間、部屋の明かりが消え、一瞬にして闇に包まれた。
「今日は野菜のスープにしようかな」
冒険者時代から計画的に生きることが身についている。明日の朝食まで考慮して、効率よく食材を選ぶ習慣は冒険者時代からの名残だ。誰かのために準備する必要はなくなったが、几帳面な性格は変わらないらしい。
市場は夕方の活気に満ちていた。閉店前の値引き交渉に熱心な主婦たち。仕事帰りの労働者たち。俺は人混みを縫うように進みながら、新鮮な野菜を吟味していた。
「あら、リオン?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはエリナが立っていた。ギルドの制服ではなく、普段着姿の彼女は久しぶりだ。なんだか少し新鮮に映る。淡いブルーのワンピースに身を包み、買い物籠を手にしていた。
「こんばんは。エリナ。買い物か?」
「そうよ。父が今日は遅くなるから、自分の分だけ何か作ろうと思って」
彼女の笑顔には、いつも心が軽くなる不思議な力がある。ギルドでの真面目な表情とはまた違う、柔らかな雰囲気だった。
「リオンも夕食の買い物?」
「ああ。今日はスープでも作ろうかと」
「素敵じゃない。料理もできる男の人っていいわよね」
そう言われてちょっと照れる。
「ま、まあパーティ時代は食事管理も担当していましたから、基本的なことはできます」
何故か敬語になってしまったが、俺がそう答えると、エリナは少し考え込むような表情をした後、突然明るい声で提案してきた。
「せっかくですから、一緒に料理しませんか?私の家、ここから近いんです」
何故か俺に合わせて敬語でエリナがそんな風に聞いてきた。
予想外の誘いに一瞬言葉に詰まった。エリナの家に行くなんて考えもしなかった。しかし、彼女の澄んだ瞳に見つめられると、断る理由が見つからない。
「よろしいのですか?お邪魔するようで」
「全然構いませんよ。一人で食べるより、誰かと一緒の方が楽しいですし」
彼女の自然な笑顔に、長年忘れていた温かさを感じた。いつも冷静を装う俺だが、胸の奥で何かが小さく揺れ動くのを感じる。
「では、お言葉に甘えます」
二人で食材を選び、エリナの案内に従って市場を後にした。夕暮れの街を歩きながら、彼女との何気ない会話に心地よさを覚える。
「私の家、とても質素なんですけど、気にしないでくださいね」
その事に対して、「既に知っているよ。何度行った事があると思っているんだ」というツッコミはしなかった。
「俺の方こそ、突然お邪魔することになって申し訳ありません」
言葉を交わしながら、俺は不思議な感覚に襲われていた。かつてのパーティでは常に「支える側」だった自分が、今はエリナに「迎え入れられる側」になっている。この違和感と心地よさが入り混じる感情は、俺にとって新しいものだった。
夕暮れの空が深い藍色に変わり始めたころ、俺たちはエリナの家に到着した。新しい何かが始まる予感が、静かに俺の心を満たしていた。
*
エリナの家は、思ったより小さかった。ギルドマスターの娘とはいえ、彼女は派手な暮らしを好まないようだ。質素ながらも行き届いた掃除と、ところどころに飾られた花や小物が、住む人の温かさを感じさせる。
「どうぞ、上がってください」
玄関を入ると、部屋全体が見渡せるワンルームの空間が広がっていた。キッチンはコンパクトだが、必要な道具はきちんと揃っている。エリナは照れくさそうに微笑んだ。
「父の家とは別に住んでいるんです。自分のペースで生活したくて」
「なるほど。独立心が強いんですね」
「リオンさんにそう言われると、なんだか誇らしいです」
そう言って彼女は買い物袋から食材を取り出し始めた。俺も自然と手伝い、キッチンに並んで立つ。
「スープの具材、切りましょうか?」
「ありがとうございます。じゃあ私はパンを温めますね」
二人で料理を始めると、不思議と居心地の良さを感じた。長年、パーティのメンバーのために食事を準備してきたが、誰かと一緒に作るのは初めてに近い。エリナの手際の良さにも驚いた。
「玉ねぎの切り方、上手いですね」
「リオンさんこそ、包丁さばきが見事です。さすがですね」
「パーティ時代は、戦闘の合間に食事の準備もしていましたから」
言いながら、ふと昔を思い出す。カイルたちは私の料理を当たり前のように口にしていた。感謝の言葉もなく。
「毎日大変だったでしょう?」
エリナの言葉に、はっとした。彼女は鋭い。俺の表情の変化を見逃さない。
「慣れていましたから。みんなが戦えるようサポートするのが俺の役目でしたし」
「でも、その大切さをわかってもらえなかったんですね」
静かな声で、彼女は俺の心の奥を見透かすように言った。思わず手が止まる。
「そうですね。でも今は気にしていません」
「嘘つき」
彼女はくすりと笑う。その目は優しさに満ちていた。
「リオンさんはいつも、自分の気持ちを押し殺して、他人のことばかり考えているんですね」
言葉に詰まる俺に、彼女は優しく微笑んだ。
「スープに塩を入れましょうか?」
話題を変えてくれた彼女の気遣いに感謝しつつ、料理を再開した。
「というか。いつまでこの口調だ」
さすがにそろそろわざとらしすぎる二人の会話に笑いをこらえるのに限界が来た。さっきから「リオンさん」呼ばわりも面白すぎる。
「いいじゃない。楽しいわよ」
エリナも吹き出していた。
「俺なんかこの口調に心引っ張られて初めて来たエリナの家は思ったより小さいななんて思っていたぞ」
「なによ。それ。これまで何回来ているのよ」
部屋に広がる料理の香りが、心を和ませる。
完成した夕食を小さなテーブルに並べると、エリナはワインを取り出した。
「今日は少し特別な気分ですから」
「またその口調か?」
「ふふ。今日はいいでしょう」
グラスに注がれる赤い液体を見つめながら、緊張が少しほぐれていくのを感じる。
「乾杯しましょう。リオンさんのギルドでの新生活に」
「ありがとうございます」
グラスを軽く合わせ、一口飲む。パーティ時代は、酒を飲む機会も少なかった。常に冷静でいる必要があったからだ。
「このスープ、本当に美味しいです。リオンさんの腕前にはびっくりします」
「エリナさんが切った野菜があるからこそです」
そんな会話が自然と弾み始め、ギルドの話から、互いの子供時代の話へと移っていった。
「小さい頃はもっと立派な冒険者になれると思っていたよ」
「立派な冒険者だったわよ。リオンは」
エリナは笑顔で進める。
「私は小さい頃から、父の仕事を見て育ったから。冒険者たちの帰りを待つ家族の気持ちも理解しているつもり」
「なるほど。だから受付で、あんなに親身に対応してくれるんだな」
エリナは評判のいい受付嬢だ。
「リオンはいつから冒険者になったんだっけ?」
「14歳の時からだよ。カイルに誘われたんだよな」
話しながら、自分でも驚くほど昔の記憶が溢れてきた。普段は思い出すことも避けていた日々。エリナの前では不思議と言葉になる。
「長いね。もう10年も一緒だったのね」
「でも最後は。"お荷物"として追い出されたけど」
思わず口にした言葉に、自分でも驚いた。エリナの目がわずかに悲しげに揺れる。
「リオンは決して"お荷物"じゃないわ。あなたがどれだけ大切な存在か、私にはわかっているわ」
その言葉が胸に沁みた。誰かに理解されているという実感は、久しぶりのものだった。
「エリナはギルドマスターの娘という立場で、大変なことはないか?」
質問を投げかけると、彼女は少し考え込むような表情をした。
「やはり期待されることは多いわね。父のような立派なギルドマスターになれるのか、不安になることもあるわ」
彼女の弱い面を見せてくれたことに、心の距離が縮まるのを感じた。
「エリナなら、きっといいギルドマスターになれるよ。冒険者の気持ちも、家族の気持ちも理解している。そんな人は貴重だ」
「ありがとう。リオンにそう言ってもらえると、勇気が出るわ。でもギルドマスターを目指しているわけじゃないわよ」
彼女の瞳が柔らかな光を帯びる。テーブルの上のろうそくの明かりが、その横顔を優しく照らしていた。
時間が経つのも忘れるほど、会話は続いた。初めて自分の弱さや本音を打ち明け、彼女もまた本音で応えてくれる。この居心地の良さは、俺が長い間忘れていたものだった。
「もう、こんな時間ね」
食事後の会話も長く続き、気がつけば夜も更けていた。窓の外を見ると、空が異様に暗いことに気づく。
「そろそろ失礼しないと」
立ち上がりながら言うと、エリナは窓の外を心配そうに見た。
「でも、天気が急に変わったみたい。雲行きが怪しいわよ」
彼女の言葉通り、静かだった夜空に雲が急速に広がっていた。窓の外を見ていると、突然、遠くで稲妻が走り、続いて低い雷鳴が響いた。
「嵐になりそうだな。急いで帰るか」
言い終わる前に、ポツポツと窓を打つ雨音が聞こえ始めた。あっという間に激しい雨となり、窓を打ちつける音が部屋中に響く。
「これは」
エリナが心配そうにこちらを見る。
「リオン。この天気ではお帰りは危険よ。無理して帰らないで」
彼女の真剣な眼差しに、反論する言葉が見つからない。確かにこの豪雨は尋常ではない。
「でも、お邪魔するわけには」
「構わないわよ。こんな夜に帰すほうが心配になるわ」
彼女の優しさに甘えるべきか迷っていると、突然、ゴロゴロと大きな雷鳴が響き渡った。次の瞬間、部屋の明かりが消え、一瞬にして闇に包まれた。
91
あなたにおすすめの小説
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
SE転職。~妹よ。兄さん、しばらく、出張先(異世界)から帰れそうにない~
しばたろう
ファンタジー
ブラック企業で倒れたSEが、
目を覚ますと――そこは異世界だった。
賑やかなギルド、個性豊かな仲間たち、
そして「魔法」という名のシステム。
元エンジニアの知識と根性で、男は再び“仕事”を始める。
一方、現実世界では、
兄の意識が戻らぬまま、妹が孤独と絶望の中で抗っていた。
それでも彼女は、心ある人々に支えられながら、
科学と祈りを武器に、兄を救う道を探し続ける。
二つの世界を隔てる“システム”の謎が、やがて兄妹を結びつける。
異世界と現実が交錯するとき、物語は再起動する――。
《「小説家になろう」にも投稿しています》
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
解雇されたけど実は優秀だったという、よくあるお話。
シグマ
ファンタジー
突如、所属している冒険者パーティー[ゴバスト]を解雇されたサポーターのマルコ。しかし普通のサポート職以上の働きをしていたマルコが離脱した後のパーティーは凋落の一途を辿る。そしてその影響はギルドにまでおよび……
いわゆる追放物の短編作品です。
起承転結にまとめることを意識しましたが、上手く『ざまぁ』出来たか分かりません。どちらかと言えば、『覆水盆に返らず』の方がしっくりくるかも……
サクッと読んで頂ければ幸いです。
※思っていた以上の方に読んで頂けたので、感謝を込めて当初の予定を越える文量で後日談を追記しました。ただ大団円で終わってますので、『ざまぁ』を求めている人は見ない方が良いかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる