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第07話「心の距離を縮めて(前編)」
ギルドでの業務が終わり、夕日に染まる街並みを歩いていた。疲れた体には温かい食事が必要だ。簡単な夕食の材料を買うため、市場へと足を向けた。
「今日は野菜のスープにしようかな」
冒険者時代から計画的に生きることが身についている。明日の朝食まで考慮して、効率よく食材を選ぶ習慣は冒険者時代からの名残だ。誰かのために準備する必要はなくなったが、几帳面な性格は変わらないらしい。
市場は夕方の活気に満ちていた。閉店前の値引き交渉に熱心な主婦たち。仕事帰りの労働者たち。俺は人混みを縫うように進みながら、新鮮な野菜を吟味していた。
「あら、リオン?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはエリナが立っていた。ギルドの制服ではなく、普段着姿の彼女は久しぶりだ。なんだか少し新鮮に映る。淡いブルーのワンピースに身を包み、買い物籠を手にしていた。
「こんばんは。エリナ。買い物か?」
「そうよ。父が今日は遅くなるから、自分の分だけ何か作ろうと思って」
彼女の笑顔には、いつも心が軽くなる不思議な力がある。ギルドでの真面目な表情とはまた違う、柔らかな雰囲気だった。
「リオンも夕食の買い物?」
「ああ。今日はスープでも作ろうかと」
「素敵じゃない。料理もできる男の人っていいわよね」
そう言われてちょっと照れる。
「ま、まあパーティ時代は食事管理も担当していましたから、基本的なことはできます」
何故か敬語になってしまったが、俺がそう答えると、エリナは少し考え込むような表情をした後、突然明るい声で提案してきた。
「せっかくですから、一緒に料理しませんか?私の家、ここから近いんです」
何故か俺に合わせて敬語でエリナがそんな風に聞いてきた。
予想外の誘いに一瞬言葉に詰まった。エリナの家に行くなんて考えもしなかった。しかし、彼女の澄んだ瞳に見つめられると、断る理由が見つからない。
「よろしいのですか?お邪魔するようで」
「全然構いませんよ。一人で食べるより、誰かと一緒の方が楽しいですし」
彼女の自然な笑顔に、長年忘れていた温かさを感じた。いつも冷静を装う俺だが、胸の奥で何かが小さく揺れ動くのを感じる。
「では、お言葉に甘えます」
二人で食材を選び、エリナの案内に従って市場を後にした。夕暮れの街を歩きながら、彼女との何気ない会話に心地よさを覚える。
「私の家、とても質素なんですけど、気にしないでくださいね」
その事に対して、「既に知っているよ。何度行った事があると思っているんだ」というツッコミはしなかった。
「俺の方こそ、突然お邪魔することになって申し訳ありません」
言葉を交わしながら、俺は不思議な感覚に襲われていた。かつてのパーティでは常に「支える側」だった自分が、今はエリナに「迎え入れられる側」になっている。この違和感と心地よさが入り混じる感情は、俺にとって新しいものだった。
夕暮れの空が深い藍色に変わり始めたころ、俺たちはエリナの家に到着した。新しい何かが始まる予感が、静かに俺の心を満たしていた。
*
エリナの家は、思ったより小さかった。ギルドマスターの娘とはいえ、彼女は派手な暮らしを好まないようだ。質素ながらも行き届いた掃除と、ところどころに飾られた花や小物が、住む人の温かさを感じさせる。
「どうぞ、上がってください」
玄関を入ると、部屋全体が見渡せるワンルームの空間が広がっていた。キッチンはコンパクトだが、必要な道具はきちんと揃っている。エリナは照れくさそうに微笑んだ。
「父の家とは別に住んでいるんです。自分のペースで生活したくて」
「なるほど。独立心が強いんですね」
「リオンさんにそう言われると、なんだか誇らしいです」
そう言って彼女は買い物袋から食材を取り出し始めた。俺も自然と手伝い、キッチンに並んで立つ。
「スープの具材、切りましょうか?」
「ありがとうございます。じゃあ私はパンを温めますね」
二人で料理を始めると、不思議と居心地の良さを感じた。長年、パーティのメンバーのために食事を準備してきたが、誰かと一緒に作るのは初めてに近い。エリナの手際の良さにも驚いた。
「玉ねぎの切り方、上手いですね」
「リオンさんこそ、包丁さばきが見事です。さすがですね」
「パーティ時代は、戦闘の合間に食事の準備もしていましたから」
言いながら、ふと昔を思い出す。カイルたちは私の料理を当たり前のように口にしていた。感謝の言葉もなく。
「毎日大変だったでしょう?」
エリナの言葉に、はっとした。彼女は鋭い。俺の表情の変化を見逃さない。
「慣れていましたから。みんなが戦えるようサポートするのが俺の役目でしたし」
「でも、その大切さをわかってもらえなかったんですね」
静かな声で、彼女は俺の心の奥を見透かすように言った。思わず手が止まる。
「そうですね。でも今は気にしていません」
「嘘つき」
彼女はくすりと笑う。その目は優しさに満ちていた。
「リオンさんはいつも、自分の気持ちを押し殺して、他人のことばかり考えているんですね」
言葉に詰まる俺に、彼女は優しく微笑んだ。
「スープに塩を入れましょうか?」
話題を変えてくれた彼女の気遣いに感謝しつつ、料理を再開した。
「というか。いつまでこの口調だ」
さすがにそろそろわざとらしすぎる二人の会話に笑いをこらえるのに限界が来た。さっきから「リオンさん」呼ばわりも面白すぎる。
「いいじゃない。楽しいわよ」
エリナも吹き出していた。
「俺なんかこの口調に心引っ張られて初めて来たエリナの家は思ったより小さいななんて思っていたぞ」
「なによ。それ。これまで何回来ているのよ」
部屋に広がる料理の香りが、心を和ませる。
完成した夕食を小さなテーブルに並べると、エリナはワインを取り出した。
「今日は少し特別な気分ですから」
「またその口調か?」
「ふふ。今日はいいでしょう」
グラスに注がれる赤い液体を見つめながら、緊張が少しほぐれていくのを感じる。
「乾杯しましょう。リオンさんのギルドでの新生活に」
「ありがとうございます」
グラスを軽く合わせ、一口飲む。パーティ時代は、酒を飲む機会も少なかった。常に冷静でいる必要があったからだ。
「このスープ、本当に美味しいです。リオンさんの腕前にはびっくりします」
「エリナさんが切った野菜があるからこそです」
そんな会話が自然と弾み始め、ギルドの話から、互いの子供時代の話へと移っていった。
「小さい頃はもっと立派な冒険者になれると思っていたよ」
「立派な冒険者だったわよ。リオンは」
エリナは笑顔で進める。
「私は小さい頃から、父の仕事を見て育ったから。冒険者たちの帰りを待つ家族の気持ちも理解しているつもり」
「なるほど。だから受付で、あんなに親身に対応してくれるんだな」
エリナは評判のいい受付嬢だ。
「リオンはいつから冒険者になったんだっけ?」
「14歳の時からだよ。カイルに誘われたんだよな」
話しながら、自分でも驚くほど昔の記憶が溢れてきた。普段は思い出すことも避けていた日々。エリナの前では不思議と言葉になる。
「長いね。もう10年も一緒だったのね」
「でも最後は。"お荷物"として追い出されたけど」
思わず口にした言葉に、自分でも驚いた。エリナの目がわずかに悲しげに揺れる。
「リオンは決して"お荷物"じゃないわ。あなたがどれだけ大切な存在か、私にはわかっているわ」
その言葉が胸に沁みた。誰かに理解されているという実感は、久しぶりのものだった。
「エリナはギルドマスターの娘という立場で、大変なことはないか?」
質問を投げかけると、彼女は少し考え込むような表情をした。
「やはり期待されることは多いわね。父のような立派なギルドマスターになれるのか、不安になることもあるわ」
彼女の弱い面を見せてくれたことに、心の距離が縮まるのを感じた。
「エリナなら、きっといいギルドマスターになれるよ。冒険者の気持ちも、家族の気持ちも理解している。そんな人は貴重だ」
「ありがとう。リオンにそう言ってもらえると、勇気が出るわ。でもギルドマスターを目指しているわけじゃないわよ」
彼女の瞳が柔らかな光を帯びる。テーブルの上のろうそくの明かりが、その横顔を優しく照らしていた。
時間が経つのも忘れるほど、会話は続いた。初めて自分の弱さや本音を打ち明け、彼女もまた本音で応えてくれる。この居心地の良さは、俺が長い間忘れていたものだった。
「もう、こんな時間ね」
食事後の会話も長く続き、気がつけば夜も更けていた。窓の外を見ると、空が異様に暗いことに気づく。
「そろそろ失礼しないと」
立ち上がりながら言うと、エリナは窓の外を心配そうに見た。
「でも、天気が急に変わったみたい。雲行きが怪しいわよ」
彼女の言葉通り、静かだった夜空に雲が急速に広がっていた。窓の外を見ていると、突然、遠くで稲妻が走り、続いて低い雷鳴が響いた。
「嵐になりそうだな。急いで帰るか」
言い終わる前に、ポツポツと窓を打つ雨音が聞こえ始めた。あっという間に激しい雨となり、窓を打ちつける音が部屋中に響く。
「これは」
エリナが心配そうにこちらを見る。
「リオン。この天気ではお帰りは危険よ。無理して帰らないで」
彼女の真剣な眼差しに、反論する言葉が見つからない。確かにこの豪雨は尋常ではない。
「でも、お邪魔するわけには」
「構わないわよ。こんな夜に帰すほうが心配になるわ」
彼女の優しさに甘えるべきか迷っていると、突然、ゴロゴロと大きな雷鳴が響き渡った。次の瞬間、部屋の明かりが消え、一瞬にして闇に包まれた。
「今日は野菜のスープにしようかな」
冒険者時代から計画的に生きることが身についている。明日の朝食まで考慮して、効率よく食材を選ぶ習慣は冒険者時代からの名残だ。誰かのために準備する必要はなくなったが、几帳面な性格は変わらないらしい。
市場は夕方の活気に満ちていた。閉店前の値引き交渉に熱心な主婦たち。仕事帰りの労働者たち。俺は人混みを縫うように進みながら、新鮮な野菜を吟味していた。
「あら、リオン?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはエリナが立っていた。ギルドの制服ではなく、普段着姿の彼女は久しぶりだ。なんだか少し新鮮に映る。淡いブルーのワンピースに身を包み、買い物籠を手にしていた。
「こんばんは。エリナ。買い物か?」
「そうよ。父が今日は遅くなるから、自分の分だけ何か作ろうと思って」
彼女の笑顔には、いつも心が軽くなる不思議な力がある。ギルドでの真面目な表情とはまた違う、柔らかな雰囲気だった。
「リオンも夕食の買い物?」
「ああ。今日はスープでも作ろうかと」
「素敵じゃない。料理もできる男の人っていいわよね」
そう言われてちょっと照れる。
「ま、まあパーティ時代は食事管理も担当していましたから、基本的なことはできます」
何故か敬語になってしまったが、俺がそう答えると、エリナは少し考え込むような表情をした後、突然明るい声で提案してきた。
「せっかくですから、一緒に料理しませんか?私の家、ここから近いんです」
何故か俺に合わせて敬語でエリナがそんな風に聞いてきた。
予想外の誘いに一瞬言葉に詰まった。エリナの家に行くなんて考えもしなかった。しかし、彼女の澄んだ瞳に見つめられると、断る理由が見つからない。
「よろしいのですか?お邪魔するようで」
「全然構いませんよ。一人で食べるより、誰かと一緒の方が楽しいですし」
彼女の自然な笑顔に、長年忘れていた温かさを感じた。いつも冷静を装う俺だが、胸の奥で何かが小さく揺れ動くのを感じる。
「では、お言葉に甘えます」
二人で食材を選び、エリナの案内に従って市場を後にした。夕暮れの街を歩きながら、彼女との何気ない会話に心地よさを覚える。
「私の家、とても質素なんですけど、気にしないでくださいね」
その事に対して、「既に知っているよ。何度行った事があると思っているんだ」というツッコミはしなかった。
「俺の方こそ、突然お邪魔することになって申し訳ありません」
言葉を交わしながら、俺は不思議な感覚に襲われていた。かつてのパーティでは常に「支える側」だった自分が、今はエリナに「迎え入れられる側」になっている。この違和感と心地よさが入り混じる感情は、俺にとって新しいものだった。
夕暮れの空が深い藍色に変わり始めたころ、俺たちはエリナの家に到着した。新しい何かが始まる予感が、静かに俺の心を満たしていた。
*
エリナの家は、思ったより小さかった。ギルドマスターの娘とはいえ、彼女は派手な暮らしを好まないようだ。質素ながらも行き届いた掃除と、ところどころに飾られた花や小物が、住む人の温かさを感じさせる。
「どうぞ、上がってください」
玄関を入ると、部屋全体が見渡せるワンルームの空間が広がっていた。キッチンはコンパクトだが、必要な道具はきちんと揃っている。エリナは照れくさそうに微笑んだ。
「父の家とは別に住んでいるんです。自分のペースで生活したくて」
「なるほど。独立心が強いんですね」
「リオンさんにそう言われると、なんだか誇らしいです」
そう言って彼女は買い物袋から食材を取り出し始めた。俺も自然と手伝い、キッチンに並んで立つ。
「スープの具材、切りましょうか?」
「ありがとうございます。じゃあ私はパンを温めますね」
二人で料理を始めると、不思議と居心地の良さを感じた。長年、パーティのメンバーのために食事を準備してきたが、誰かと一緒に作るのは初めてに近い。エリナの手際の良さにも驚いた。
「玉ねぎの切り方、上手いですね」
「リオンさんこそ、包丁さばきが見事です。さすがですね」
「パーティ時代は、戦闘の合間に食事の準備もしていましたから」
言いながら、ふと昔を思い出す。カイルたちは私の料理を当たり前のように口にしていた。感謝の言葉もなく。
「毎日大変だったでしょう?」
エリナの言葉に、はっとした。彼女は鋭い。俺の表情の変化を見逃さない。
「慣れていましたから。みんなが戦えるようサポートするのが俺の役目でしたし」
「でも、その大切さをわかってもらえなかったんですね」
静かな声で、彼女は俺の心の奥を見透かすように言った。思わず手が止まる。
「そうですね。でも今は気にしていません」
「嘘つき」
彼女はくすりと笑う。その目は優しさに満ちていた。
「リオンさんはいつも、自分の気持ちを押し殺して、他人のことばかり考えているんですね」
言葉に詰まる俺に、彼女は優しく微笑んだ。
「スープに塩を入れましょうか?」
話題を変えてくれた彼女の気遣いに感謝しつつ、料理を再開した。
「というか。いつまでこの口調だ」
さすがにそろそろわざとらしすぎる二人の会話に笑いをこらえるのに限界が来た。さっきから「リオンさん」呼ばわりも面白すぎる。
「いいじゃない。楽しいわよ」
エリナも吹き出していた。
「俺なんかこの口調に心引っ張られて初めて来たエリナの家は思ったより小さいななんて思っていたぞ」
「なによ。それ。これまで何回来ているのよ」
部屋に広がる料理の香りが、心を和ませる。
完成した夕食を小さなテーブルに並べると、エリナはワインを取り出した。
「今日は少し特別な気分ですから」
「またその口調か?」
「ふふ。今日はいいでしょう」
グラスに注がれる赤い液体を見つめながら、緊張が少しほぐれていくのを感じる。
「乾杯しましょう。リオンさんのギルドでの新生活に」
「ありがとうございます」
グラスを軽く合わせ、一口飲む。パーティ時代は、酒を飲む機会も少なかった。常に冷静でいる必要があったからだ。
「このスープ、本当に美味しいです。リオンさんの腕前にはびっくりします」
「エリナさんが切った野菜があるからこそです」
そんな会話が自然と弾み始め、ギルドの話から、互いの子供時代の話へと移っていった。
「小さい頃はもっと立派な冒険者になれると思っていたよ」
「立派な冒険者だったわよ。リオンは」
エリナは笑顔で進める。
「私は小さい頃から、父の仕事を見て育ったから。冒険者たちの帰りを待つ家族の気持ちも理解しているつもり」
「なるほど。だから受付で、あんなに親身に対応してくれるんだな」
エリナは評判のいい受付嬢だ。
「リオンはいつから冒険者になったんだっけ?」
「14歳の時からだよ。カイルに誘われたんだよな」
話しながら、自分でも驚くほど昔の記憶が溢れてきた。普段は思い出すことも避けていた日々。エリナの前では不思議と言葉になる。
「長いね。もう10年も一緒だったのね」
「でも最後は。"お荷物"として追い出されたけど」
思わず口にした言葉に、自分でも驚いた。エリナの目がわずかに悲しげに揺れる。
「リオンは決して"お荷物"じゃないわ。あなたがどれだけ大切な存在か、私にはわかっているわ」
その言葉が胸に沁みた。誰かに理解されているという実感は、久しぶりのものだった。
「エリナはギルドマスターの娘という立場で、大変なことはないか?」
質問を投げかけると、彼女は少し考え込むような表情をした。
「やはり期待されることは多いわね。父のような立派なギルドマスターになれるのか、不安になることもあるわ」
彼女の弱い面を見せてくれたことに、心の距離が縮まるのを感じた。
「エリナなら、きっといいギルドマスターになれるよ。冒険者の気持ちも、家族の気持ちも理解している。そんな人は貴重だ」
「ありがとう。リオンにそう言ってもらえると、勇気が出るわ。でもギルドマスターを目指しているわけじゃないわよ」
彼女の瞳が柔らかな光を帯びる。テーブルの上のろうそくの明かりが、その横顔を優しく照らしていた。
時間が経つのも忘れるほど、会話は続いた。初めて自分の弱さや本音を打ち明け、彼女もまた本音で応えてくれる。この居心地の良さは、俺が長い間忘れていたものだった。
「もう、こんな時間ね」
食事後の会話も長く続き、気がつけば夜も更けていた。窓の外を見ると、空が異様に暗いことに気づく。
「そろそろ失礼しないと」
立ち上がりながら言うと、エリナは窓の外を心配そうに見た。
「でも、天気が急に変わったみたい。雲行きが怪しいわよ」
彼女の言葉通り、静かだった夜空に雲が急速に広がっていた。窓の外を見ていると、突然、遠くで稲妻が走り、続いて低い雷鳴が響いた。
「嵐になりそうだな。急いで帰るか」
言い終わる前に、ポツポツと窓を打つ雨音が聞こえ始めた。あっという間に激しい雨となり、窓を打ちつける音が部屋中に響く。
「これは」
エリナが心配そうにこちらを見る。
「リオン。この天気ではお帰りは危険よ。無理して帰らないで」
彼女の真剣な眼差しに、反論する言葉が見つからない。確かにこの豪雨は尋常ではない。
「でも、お邪魔するわけには」
「構わないわよ。こんな夜に帰すほうが心配になるわ」
彼女の優しさに甘えるべきか迷っていると、突然、ゴロゴロと大きな雷鳴が響き渡った。次の瞬間、部屋の明かりが消え、一瞬にして闇に包まれた。
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