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第1章 出会い
第6話:お茶会
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「ふむ……まぁこんな感じか」
春季休暇最終日。
ルミエール国軍の敷地内の中庭。
1人の少女がお茶会の準備をしていた。
少女の雪色の髪は肩の上で揺れ、毛先を中心に黒色が混ざっているが、太陽の光を反射しキラリと輝き。
紫色の瞳は長いまつ毛の下ではっきりと色付いていた。
「おはようございます。アメッサ少佐」
「リラ、おはよう」
そこにやってきたのは、長いピンク髪を大きなリボンで1つに纏めた少女。
瞳はぱっちりとした緑とピンクのオッドアイ。
両親の遺伝をその瞳に受け継いでいた。
「2人はまだ来てないみたいだね」
「この中庭は士官の許可が必要だからな。確認の手間があるのだろう」
2人の雑談は、自然と今日の参加者の話題になっていった。
「所でリラ。何故記念式典の日、急に茶会の申し出をしたんだ?」
「うーん、私が大勢で集まったりするのが好きだから、かな。仲良くなった後、死に別れるのは辛いけど、それを理由に関わらないのは違うのかなって」
リラが友人や後輩から慕われているのには、戦場で頼れる味方という理由だけではなく。
周りに目を向けることの出来るその性格にもあった。
「……そうか。とはいえレイチェルとも知り合っていたんだな」
「うん。少し前に塹壕内で見かけて、女の子ってだけでも珍しいのに、なかなか見ない格好だったから声掛けたんだ」
「かなり華やかな、死装束という感じだろうか。最後の時まで美しくありたいのだろう」
リラとレイチェルは偶然出会っていたそうだ。
アメッサも、その口ぶりから知っている人物の様……。
「アメッサも国に雇われているとはいえ、傭兵の彼女に許可出したんだね」
「あぁ、それに関してだが、今回許可を出したのは私ではなく副総司令官だ」
「えっ、そんな上の階級の方が!?」
「同じ司令部の上官でな。有難いことにティーセットまで用意してくれた」
ガーデンテーブルの上には繊細なデザインのティーカップが並べられていた。
「茶葉とかお菓子は持ち寄りって感じだったよね?」
「そうだ。手紙にそれぞれ用意して貰いたいものを書いたからな」
「あっ見つけました!」
中庭に明るい声が響く。
少女は薄茶色の髪を下の方で2つに分け輪っかに括っている。
翠玉色の瞳は薄茶色のまつ毛に覆われていて存在感があった。
「アメッサさん、リラさん! おはようございます!」
「おはよう」
「アンジェおはよう!」
アンジェの後ろにはもう1人少女が来ていた。
その少女の髪は短く整えられており、灰色の髪の毛先は赤紫に色付いていた。
瞳は空の色を移したような水色で一際輝いている。
「お二方、お久しぶりです」
「あぁ、先日の件は助かった」
「久しぶりだねレイチェル!」
「さて、全員揃った事だ。早速始めようか」
見た目も背格好もバラバラな4人。
そんな少女達の初めてのお茶会が始まった。
「はい! 自己紹介します! アンジェ二等衛生兵です! 今はヴァッサ中央野戦病院で働いています!」
「今日私が持ってきた物は~はいっ! サンドイッチです! 何が好きか分からなかったので、色んな味買ってきましたよー!」
アンジェはティースタンドの下段にサンドイッチを並べた。
「普段傭兵をしています。レイチェルです。手紙の通りスコーンを用意してきました。首都で人気のパティスリーですので美味しいかと」
レイチェルはティースタンドの中段にスコーンを並べた。
「ルミエール国軍司令部所属。アメッサだ。階級は少佐。現在は第3小隊の指揮官もしている。……見ての通りケーキだ。好きに食べてくれ」
アメッサはティースタンドの上段にショートケーキを並べた。
「私はリラ。伍長で第13小隊に所属しているよ。今日用意して来たのはテクネに古くからある茶葉でね。香りがすっごく良いんだ」
リラは慣れた手つきでカップに紅茶を注ぐ。
「ストレートでもミルクでも合うやつにしたから、好きにアレンジしてね」
アンジェは輪切りの林檎を入れ、アップルティーに。
レイチェルはミルクとメイプルを入れ、ミルクティーに。
アメッサはそのままのストレートティー。
リラはレモンを浮かべ、レモンティーにした。
「それじゃあ……乾杯っ!」
「アンジェさんは、今年から衛生兵になったんですね」
「はい!……あの、レイチェルさん。そのアンジェさんって呼び方、ちょっと、慣れないです」
「そうですね……では、アンジェちゃん。これでどうですか?」
「はい!それが良いです!」
アンジェとレイチェルは歳が近いこともあり、話が弾んでいるようだ。
「いいね、レイチェル。私の呼び方も変えてみる?」
「リラさんをですか……?」
「リラ、君が1番年上なんだ。なかなか難しいものがあるだろう」
アメッサの言葉にアンジェとレイチェルが大きく頷く。
「あ、じゃあアメッサ呼び方変えて貰ったらどう?」
「……は?」
「休日にまで少佐少佐呼ばれてたら堅苦しいと思うよ」
そう提案され、レイチェルが暫く考えた後……。
「では……アメッサ、ちゃん?」
「レイチェル、私は君より年齢が上だと聞いていたんだが?……まぁいい、好きに呼べ」
「はい。ありがとうございます」
複雑な表情を浮かべるアメッサを横目にリラがアンジェに語りかける。
「そういえば、アンジェ。野戦病院での仕事はどう?慣れた?」
「あ、はいっ! もう何度か前線に行ったりもしています! レイチェルさんとはその時にたまたま出会いました!」
レイチェルは静かに頷いた。
「へぇ~! そうだったんだ! 仕事も上手くやれてるなら何よりだよ」
「体力検定の時はどうなるものかと思ったがな」
「わ、私の事は良いんですよ! それより私3人が何してる人なのかとか知りたいです! 話せる事でいいのでっ!」
「確かに良いかもね。私達まだお互いの事殆ど知らないしさ」
「それじゃあ……私から話そうかな」
リラはそう言いサンドイッチを皿に移した。
春季休暇最終日。
ルミエール国軍の敷地内の中庭。
1人の少女がお茶会の準備をしていた。
少女の雪色の髪は肩の上で揺れ、毛先を中心に黒色が混ざっているが、太陽の光を反射しキラリと輝き。
紫色の瞳は長いまつ毛の下ではっきりと色付いていた。
「おはようございます。アメッサ少佐」
「リラ、おはよう」
そこにやってきたのは、長いピンク髪を大きなリボンで1つに纏めた少女。
瞳はぱっちりとした緑とピンクのオッドアイ。
両親の遺伝をその瞳に受け継いでいた。
「2人はまだ来てないみたいだね」
「この中庭は士官の許可が必要だからな。確認の手間があるのだろう」
2人の雑談は、自然と今日の参加者の話題になっていった。
「所でリラ。何故記念式典の日、急に茶会の申し出をしたんだ?」
「うーん、私が大勢で集まったりするのが好きだから、かな。仲良くなった後、死に別れるのは辛いけど、それを理由に関わらないのは違うのかなって」
リラが友人や後輩から慕われているのには、戦場で頼れる味方という理由だけではなく。
周りに目を向けることの出来るその性格にもあった。
「……そうか。とはいえレイチェルとも知り合っていたんだな」
「うん。少し前に塹壕内で見かけて、女の子ってだけでも珍しいのに、なかなか見ない格好だったから声掛けたんだ」
「かなり華やかな、死装束という感じだろうか。最後の時まで美しくありたいのだろう」
リラとレイチェルは偶然出会っていたそうだ。
アメッサも、その口ぶりから知っている人物の様……。
「アメッサも国に雇われているとはいえ、傭兵の彼女に許可出したんだね」
「あぁ、それに関してだが、今回許可を出したのは私ではなく副総司令官だ」
「えっ、そんな上の階級の方が!?」
「同じ司令部の上官でな。有難いことにティーセットまで用意してくれた」
ガーデンテーブルの上には繊細なデザインのティーカップが並べられていた。
「茶葉とかお菓子は持ち寄りって感じだったよね?」
「そうだ。手紙にそれぞれ用意して貰いたいものを書いたからな」
「あっ見つけました!」
中庭に明るい声が響く。
少女は薄茶色の髪を下の方で2つに分け輪っかに括っている。
翠玉色の瞳は薄茶色のまつ毛に覆われていて存在感があった。
「アメッサさん、リラさん! おはようございます!」
「おはよう」
「アンジェおはよう!」
アンジェの後ろにはもう1人少女が来ていた。
その少女の髪は短く整えられており、灰色の髪の毛先は赤紫に色付いていた。
瞳は空の色を移したような水色で一際輝いている。
「お二方、お久しぶりです」
「あぁ、先日の件は助かった」
「久しぶりだねレイチェル!」
「さて、全員揃った事だ。早速始めようか」
見た目も背格好もバラバラな4人。
そんな少女達の初めてのお茶会が始まった。
「はい! 自己紹介します! アンジェ二等衛生兵です! 今はヴァッサ中央野戦病院で働いています!」
「今日私が持ってきた物は~はいっ! サンドイッチです! 何が好きか分からなかったので、色んな味買ってきましたよー!」
アンジェはティースタンドの下段にサンドイッチを並べた。
「普段傭兵をしています。レイチェルです。手紙の通りスコーンを用意してきました。首都で人気のパティスリーですので美味しいかと」
レイチェルはティースタンドの中段にスコーンを並べた。
「ルミエール国軍司令部所属。アメッサだ。階級は少佐。現在は第3小隊の指揮官もしている。……見ての通りケーキだ。好きに食べてくれ」
アメッサはティースタンドの上段にショートケーキを並べた。
「私はリラ。伍長で第13小隊に所属しているよ。今日用意して来たのはテクネに古くからある茶葉でね。香りがすっごく良いんだ」
リラは慣れた手つきでカップに紅茶を注ぐ。
「ストレートでもミルクでも合うやつにしたから、好きにアレンジしてね」
アンジェは輪切りの林檎を入れ、アップルティーに。
レイチェルはミルクとメイプルを入れ、ミルクティーに。
アメッサはそのままのストレートティー。
リラはレモンを浮かべ、レモンティーにした。
「それじゃあ……乾杯っ!」
「アンジェさんは、今年から衛生兵になったんですね」
「はい!……あの、レイチェルさん。そのアンジェさんって呼び方、ちょっと、慣れないです」
「そうですね……では、アンジェちゃん。これでどうですか?」
「はい!それが良いです!」
アンジェとレイチェルは歳が近いこともあり、話が弾んでいるようだ。
「いいね、レイチェル。私の呼び方も変えてみる?」
「リラさんをですか……?」
「リラ、君が1番年上なんだ。なかなか難しいものがあるだろう」
アメッサの言葉にアンジェとレイチェルが大きく頷く。
「あ、じゃあアメッサ呼び方変えて貰ったらどう?」
「……は?」
「休日にまで少佐少佐呼ばれてたら堅苦しいと思うよ」
そう提案され、レイチェルが暫く考えた後……。
「では……アメッサ、ちゃん?」
「レイチェル、私は君より年齢が上だと聞いていたんだが?……まぁいい、好きに呼べ」
「はい。ありがとうございます」
複雑な表情を浮かべるアメッサを横目にリラがアンジェに語りかける。
「そういえば、アンジェ。野戦病院での仕事はどう?慣れた?」
「あ、はいっ! もう何度か前線に行ったりもしています! レイチェルさんとはその時にたまたま出会いました!」
レイチェルは静かに頷いた。
「へぇ~! そうだったんだ! 仕事も上手くやれてるなら何よりだよ」
「体力検定の時はどうなるものかと思ったがな」
「わ、私の事は良いんですよ! それより私3人が何してる人なのかとか知りたいです! 話せる事でいいのでっ!」
「確かに良いかもね。私達まだお互いの事殆ど知らないしさ」
「それじゃあ……私から話そうかな」
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