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1章番外編
第3小隊の春季休暇
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「春期休暇だというのに毎日のように司令室に来て仕事をしているな」
ルミエール国軍司令室。
その一角にアメッサの机はある。
整理はされているが書類が山のように積み上がっている。
一瞥しただけではただの汚い事務机だろう。
「おはようございます、そう仰る総司令官ともこの2日間毎日顔を合わせていますが、それに私は6日に暇を貰う予定です」
差し出された紅茶を受け取るとアメッサは総司令官を少しだけ揶揄した。
「私も最後の2日間休みを貰うよ、真ん中の妹が帰って来るんでね」
「確かテクネへ長期出張していらっしゃいましたよね」
「あぁ、直接渡したい資料があるらしい」
ふと窓の外を見るとアリー伍長と見知った隊員達が歩いているのが見えた。
「あれは、第3小隊?」
「あぁ、本日第3小隊は月山へキャンプしに行くんだろう?」
「体力お化けですね、頼もしい事ですが」
月山、ルミエール国軍敷地内にある人工山。
道中に罠が複数設置されており、山頂に着く頃には月が登っている事から月山と名称が着いた。
そこへ休日楽しくキャンプしに行くというのだ。
「何を言っている、君も第3小隊の隊員だろう」
「……はい?」
嫌な予感がする。
「アリー伍長が先日月山への入山許可を貰いに来た時、良ければ貴官も連れて行って欲しいと頼んだんだが快く了承してくれた」
「そろそろアリー伍長が迎えに来るだろう」
「事前に報告して頂けていないのですが」
「報告したら有給を取ってでも休んだだろう」
その後迎えに来たアリー伍長に連れられて、第3小隊の隊員達と月山登山を開始した。
月が薄く輝く頃山頂に着き、手早くテントを貼った。
夕食はカレーだろうか、上等兵らしき隊員達が調理している姿を横目に椅子に座る。
「隣、失礼しても?」
アリー伍長が2つのコーヒーを手に歩いてきた。
「どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
「キャンプは良く行っているのか?」
「はい、ヴェンゲル大尉は山が好きな方だったので、毎年恒例なんです」
「そうか、仲が良いんだな」
ヴェンゲル少尉は先月の任務で二階級特進していた。
「えぇ、私とヴェンゲル大尉はラントヴィル西教会の出でして」
アリー伍長はヴェンゲル大尉のドックタグを取り出して風に当てる
「4年前にその教会も火事で燃えてしまって、身寄りも無いのでドックタグは私が預かっています」
「……それがいいな」
「他の第3小隊の隊員も似たような境遇で、皆長期休暇になると集まって過ごす事が多いんです」
第3小隊は全小隊の中でも不和が少なく連携力が高い。
私を第3小隊の司令官に任命したのは、それを踏まえた上での総司令官の案だろう。
「ですが暫く私が第3小隊から離れる事になりまして、こうして集まれるのも今後何時出来るか……」
「個別任務か?」
「いえ、士官学校に途中入学しようと思っています」
「ヴェンゲル大尉が士官学校に通っていた頃、私は勉強をする事より、戦うことが東国に貢献出来ることだと思っていました」
アリー伍長はドックタグを撫でながら憂いを帯びた表情でそう言った。
「現場の指揮官が居なくなった今、第3小隊の新しい指揮官にと総司令官に打診されまして」
「受けたんだな」
こくりとアリー伍長が頷く。
受けたという事で私も暫くの間、通常勤務に戻るという事か。
その間他の隊員はノイの調査へ向かうそうだ。
「また共に仕事を出来るのを楽しみにしている」
「はい!」
ルミエール国軍司令室。
その一角にアメッサの机はある。
整理はされているが書類が山のように積み上がっている。
一瞥しただけではただの汚い事務机だろう。
「おはようございます、そう仰る総司令官ともこの2日間毎日顔を合わせていますが、それに私は6日に暇を貰う予定です」
差し出された紅茶を受け取るとアメッサは総司令官を少しだけ揶揄した。
「私も最後の2日間休みを貰うよ、真ん中の妹が帰って来るんでね」
「確かテクネへ長期出張していらっしゃいましたよね」
「あぁ、直接渡したい資料があるらしい」
ふと窓の外を見るとアリー伍長と見知った隊員達が歩いているのが見えた。
「あれは、第3小隊?」
「あぁ、本日第3小隊は月山へキャンプしに行くんだろう?」
「体力お化けですね、頼もしい事ですが」
月山、ルミエール国軍敷地内にある人工山。
道中に罠が複数設置されており、山頂に着く頃には月が登っている事から月山と名称が着いた。
そこへ休日楽しくキャンプしに行くというのだ。
「何を言っている、君も第3小隊の隊員だろう」
「……はい?」
嫌な予感がする。
「アリー伍長が先日月山への入山許可を貰いに来た時、良ければ貴官も連れて行って欲しいと頼んだんだが快く了承してくれた」
「そろそろアリー伍長が迎えに来るだろう」
「事前に報告して頂けていないのですが」
「報告したら有給を取ってでも休んだだろう」
その後迎えに来たアリー伍長に連れられて、第3小隊の隊員達と月山登山を開始した。
月が薄く輝く頃山頂に着き、手早くテントを貼った。
夕食はカレーだろうか、上等兵らしき隊員達が調理している姿を横目に椅子に座る。
「隣、失礼しても?」
アリー伍長が2つのコーヒーを手に歩いてきた。
「どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
「キャンプは良く行っているのか?」
「はい、ヴェンゲル大尉は山が好きな方だったので、毎年恒例なんです」
「そうか、仲が良いんだな」
ヴェンゲル少尉は先月の任務で二階級特進していた。
「えぇ、私とヴェンゲル大尉はラントヴィル西教会の出でして」
アリー伍長はヴェンゲル大尉のドックタグを取り出して風に当てる
「4年前にその教会も火事で燃えてしまって、身寄りも無いのでドックタグは私が預かっています」
「……それがいいな」
「他の第3小隊の隊員も似たような境遇で、皆長期休暇になると集まって過ごす事が多いんです」
第3小隊は全小隊の中でも不和が少なく連携力が高い。
私を第3小隊の司令官に任命したのは、それを踏まえた上での総司令官の案だろう。
「ですが暫く私が第3小隊から離れる事になりまして、こうして集まれるのも今後何時出来るか……」
「個別任務か?」
「いえ、士官学校に途中入学しようと思っています」
「ヴェンゲル大尉が士官学校に通っていた頃、私は勉強をする事より、戦うことが東国に貢献出来ることだと思っていました」
アリー伍長はドックタグを撫でながら憂いを帯びた表情でそう言った。
「現場の指揮官が居なくなった今、第3小隊の新しい指揮官にと総司令官に打診されまして」
「受けたんだな」
こくりとアリー伍長が頷く。
受けたという事で私も暫くの間、通常勤務に戻るという事か。
その間他の隊員はノイの調査へ向かうそうだ。
「また共に仕事を出来るのを楽しみにしている」
「はい!」
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