98 / 492
凍雪国編第1章
第95話 蒼炎属性3
しおりを挟む
「僕って、すごい?」
フレイは、得意げな顔をしてホレイに聞く。
「まず、規格外と言ってもいい。ただ、調子に乗るほどではない」
ホレイは、有頂天になりかけているフレイをたしなめながら言う。
「世の中には、もっともっとすごい人間がたくさんいる。だから、蒼炎を生み出せても修練を積まなければ、火属性を極めた者に劣ってしまう」
ホレイは、モールさんのことを思い浮かべ、フレイに戒めの言葉を吐く。
「あまりすごくは、なさそうだね……」
「今のところはな。ただ、できるというだけで、実践で使いこなせなければ、芸の1つに過ぎない。才能が活きてくるのは、訓練をしてから先のことだな」
フレイは、それを聞いて少し気落ちしたのか、小さくため息をつく。
「でも、フレイは、私たちにできないことができるんだよ。自信を持っていいと思うよ」
ニアは、明るさが陰りつつあるフレイを褒める。
すると、フレイは、顔を上げて、少し微笑む。
「ありがとう、ニア姉さん。でも、気を使ってくれなくても、大丈夫だよ。僕、頑張るから……」
「良かった。フレイは、落ち込みやすいから心配してしまうわ。心も強くしないと駄目ね」
ニアは、元気を失くしたフレイは見たくないと思い、何かと気にかける。
フレイは、ニアの思いやりの心に接して心が温かくなり、微笑みながら大きく頷く。
「そうだな。フレイが強くなりたいのなら、どんな状況でも折れることのない強い心を身につけないといけない。あと、冷静な判断もできるようにしないとな」
ホレイも、フレイの定まらない心を心配して、真心からの忠告をする。
「うん、分かった」
「それと、己の価値をきちんと見極めることも大事だ。でなければ、蒼炎もいいように利用され、使い捨てられてしまう」
大陸では、フレイのような強さを目当てにした良からぬ輩も大勢いる。
「それは、嫌だな……」
フレイは、知らない間に騙されてしまう自分を想像して、少し気落ちして答える。
「だろう? だから、魔法も基礎から学んで、できることと、できないことを知らなければいけない」
「ホレイさん。それを、いつから教えてくれるの? 今日から?」
フレイは、早く知りたい、早く強くなりたいと目で訴えかける。
「今日は、ナミードの書の紹介だけだ。本格的に話をするのは、バージたちが出発してからだな」
バージやジョティル、アロンたちが国都へ出立する日は、明日である。
「じゃぁ、明後日からでもいい?」
「そう急がなくてもいい。フレイとニアは、ランジェに無詠唱のやり方を教えてやってくれ。人に教えることは、自身が学ぶことでもあるから、上達が早くなる」
「そう? じゃぁ、僕は、ランジェの先生になるよ」
「私の?」
ランジェは、少し意外そうな顔をしてフレイに聞く。
「うん。僕が考えてできるようになったことを教えてあげる。そうすれば、さっきの青い炎も出せるかもしれないからね」
「私にもできるかな? もし、そうだとしたら、嬉しいな……」
ランジェは、フレイのような魔法の使い方ができたらいいと素直に思う。
「でも、僕は、何となくしか教えられないから、よく分からなかったら、そのときはごめんね」
フレイは、頼りない先生になりそうだと思いつつ、ランジェに先に謝っておく。
「はははっ……。フレイがいい先生になるには、その何となくを言葉で言い表せるようにしなくてはいけないな。もっとも、それができれば、フレイは、大魔法師になれるがな」
ホレイは、愉快そうに笑って、フレイやランジェのやり取りに口を出す。
フレイは、得意げな顔をしてホレイに聞く。
「まず、規格外と言ってもいい。ただ、調子に乗るほどではない」
ホレイは、有頂天になりかけているフレイをたしなめながら言う。
「世の中には、もっともっとすごい人間がたくさんいる。だから、蒼炎を生み出せても修練を積まなければ、火属性を極めた者に劣ってしまう」
ホレイは、モールさんのことを思い浮かべ、フレイに戒めの言葉を吐く。
「あまりすごくは、なさそうだね……」
「今のところはな。ただ、できるというだけで、実践で使いこなせなければ、芸の1つに過ぎない。才能が活きてくるのは、訓練をしてから先のことだな」
フレイは、それを聞いて少し気落ちしたのか、小さくため息をつく。
「でも、フレイは、私たちにできないことができるんだよ。自信を持っていいと思うよ」
ニアは、明るさが陰りつつあるフレイを褒める。
すると、フレイは、顔を上げて、少し微笑む。
「ありがとう、ニア姉さん。でも、気を使ってくれなくても、大丈夫だよ。僕、頑張るから……」
「良かった。フレイは、落ち込みやすいから心配してしまうわ。心も強くしないと駄目ね」
ニアは、元気を失くしたフレイは見たくないと思い、何かと気にかける。
フレイは、ニアの思いやりの心に接して心が温かくなり、微笑みながら大きく頷く。
「そうだな。フレイが強くなりたいのなら、どんな状況でも折れることのない強い心を身につけないといけない。あと、冷静な判断もできるようにしないとな」
ホレイも、フレイの定まらない心を心配して、真心からの忠告をする。
「うん、分かった」
「それと、己の価値をきちんと見極めることも大事だ。でなければ、蒼炎もいいように利用され、使い捨てられてしまう」
大陸では、フレイのような強さを目当てにした良からぬ輩も大勢いる。
「それは、嫌だな……」
フレイは、知らない間に騙されてしまう自分を想像して、少し気落ちして答える。
「だろう? だから、魔法も基礎から学んで、できることと、できないことを知らなければいけない」
「ホレイさん。それを、いつから教えてくれるの? 今日から?」
フレイは、早く知りたい、早く強くなりたいと目で訴えかける。
「今日は、ナミードの書の紹介だけだ。本格的に話をするのは、バージたちが出発してからだな」
バージやジョティル、アロンたちが国都へ出立する日は、明日である。
「じゃぁ、明後日からでもいい?」
「そう急がなくてもいい。フレイとニアは、ランジェに無詠唱のやり方を教えてやってくれ。人に教えることは、自身が学ぶことでもあるから、上達が早くなる」
「そう? じゃぁ、僕は、ランジェの先生になるよ」
「私の?」
ランジェは、少し意外そうな顔をしてフレイに聞く。
「うん。僕が考えてできるようになったことを教えてあげる。そうすれば、さっきの青い炎も出せるかもしれないからね」
「私にもできるかな? もし、そうだとしたら、嬉しいな……」
ランジェは、フレイのような魔法の使い方ができたらいいと素直に思う。
「でも、僕は、何となくしか教えられないから、よく分からなかったら、そのときはごめんね」
フレイは、頼りない先生になりそうだと思いつつ、ランジェに先に謝っておく。
「はははっ……。フレイがいい先生になるには、その何となくを言葉で言い表せるようにしなくてはいけないな。もっとも、それができれば、フレイは、大魔法師になれるがな」
ホレイは、愉快そうに笑って、フレイやランジェのやり取りに口を出す。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
54
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる