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ぼんの宇宙日記(55日目)
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55日目。今日は、船長の靴音が消えた日。
朝、ぼくは居住区のクッションで目を覚ました。いつもなら、遠くから船長の靴音が「コツ、コツ」と響いてくるはずなのに、今日はなぜか何も聞こえない。ぼくは不思議な気持ちで耳をすませた。静かな朝だった。空調の小さな音と、船の軋みだけが、ぼくの世界を包んでいる。
しばらくして、廊下に出てみた。いつも船長が通る時間、いつも同じリズムで鳴る足音。でも、今日はどこにもその気配がない。ぼくはじっと耳を澄ませ、廊下の端から端まで、しっぽを揺らしながら歩いた。遠くの機械の低い唸り、誰かが落としたボルトが転がる音、ミナの笑い声――けれど、船長の靴音だけがいない。
昼すぎ、マヤが慌ただしく通り過ぎた。「船長、今日はブリッジ?」とつぶやいていた。ぼくはマヤの後ろ姿を追いかけながら、やっぱり足音が聞こえないことを気にしていた。音が消えた廊下は、少し広くなった気がした。
ぼくは静かに船長のいつもの居場所――操舵室へ向かった。ドアの隙間から中をのぞくと、船長はいつもの椅子に座って、黙って窓の外を見つめていた。机の上には古い航海日誌と、冷めたコーヒー。だけど、今日は立ち上がる気配がない。
そっと部屋に入り、船長の足元で丸くなった。船長はぼくに気づいて、小さく微笑んだ。でも、靴はぴったり床についていて、音を出さない。その沈黙が、ぼくにはとても大きく感じられた。
夕方、廊下に戻ると、みんなの足音だけが響いていた。マヤの軽やかな靴音、ジンの規則正しいステップ、ミナのサンダルが床を擦る音。でも、やっぱり「コツ、コツ」はいない。ぼくは窓辺に座りながら、ふと、音のない空間がとても広く、少しだけ寒く感じた。
夜になっても、船長の足音は聞こえなかった。ぼくは静かな廊下に横たわり、耳を澄ませてみる。「明日はまた、あの音が戻ってくるだろうか」そう思いながら、しっぽを胸の前で丸めた。
おやすみ、消えた靴音。おやすみ、静かな廊下。また、音が帰ってくる日を。
朝、ぼくは居住区のクッションで目を覚ました。いつもなら、遠くから船長の靴音が「コツ、コツ」と響いてくるはずなのに、今日はなぜか何も聞こえない。ぼくは不思議な気持ちで耳をすませた。静かな朝だった。空調の小さな音と、船の軋みだけが、ぼくの世界を包んでいる。
しばらくして、廊下に出てみた。いつも船長が通る時間、いつも同じリズムで鳴る足音。でも、今日はどこにもその気配がない。ぼくはじっと耳を澄ませ、廊下の端から端まで、しっぽを揺らしながら歩いた。遠くの機械の低い唸り、誰かが落としたボルトが転がる音、ミナの笑い声――けれど、船長の靴音だけがいない。
昼すぎ、マヤが慌ただしく通り過ぎた。「船長、今日はブリッジ?」とつぶやいていた。ぼくはマヤの後ろ姿を追いかけながら、やっぱり足音が聞こえないことを気にしていた。音が消えた廊下は、少し広くなった気がした。
ぼくは静かに船長のいつもの居場所――操舵室へ向かった。ドアの隙間から中をのぞくと、船長はいつもの椅子に座って、黙って窓の外を見つめていた。机の上には古い航海日誌と、冷めたコーヒー。だけど、今日は立ち上がる気配がない。
そっと部屋に入り、船長の足元で丸くなった。船長はぼくに気づいて、小さく微笑んだ。でも、靴はぴったり床についていて、音を出さない。その沈黙が、ぼくにはとても大きく感じられた。
夕方、廊下に戻ると、みんなの足音だけが響いていた。マヤの軽やかな靴音、ジンの規則正しいステップ、ミナのサンダルが床を擦る音。でも、やっぱり「コツ、コツ」はいない。ぼくは窓辺に座りながら、ふと、音のない空間がとても広く、少しだけ寒く感じた。
夜になっても、船長の足音は聞こえなかった。ぼくは静かな廊下に横たわり、耳を澄ませてみる。「明日はまた、あの音が戻ってくるだろうか」そう思いながら、しっぽを胸の前で丸めた。
おやすみ、消えた靴音。おやすみ、静かな廊下。また、音が帰ってくる日を。
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