ぼんの宇宙日記

ぼんの宇宙日記（73日目）

73日目。今日は、植物が模様替えをした日。

朝、居住区の窓辺で目を覚ました。ふと顔を上げると、見慣れた観葉植物が、昨日と違う場所に並んでいた。ミナのサボテンは本棚の上に、ルカが育てているツタは窓辺の端っこに。
「ん？」と思いながら、ぼくはしっぽをゆっくり振った。ミナも「誰か動かした？」と首をかしげていた。

昼、ルカが植物室にやってきて、配置が変わっていることに気づいた。「昨日のままにしたはずなのに」と不思議そうな顔。マヤは「夜の間に歩いたんじゃない？」と冗談めかして言う。ジンは「重力のわずかな揺れかも」とつぶやいた。
でも、ぼくは知っている。これはきっと、植物たちの“気分転換”。
船長は「まあ、部屋が明るくなったな」と笑っていた。

午後、ぼくは新しい配置の植物たちの間をゆっくり歩いた。ツタが窓の光をたっぷり浴びて嬉しそうに揺れている。サボテンは本棚の上で堂々と光を浴びている。葉っぱの影が床にきれいな模様を描いていた。
ぼくはその隙間をくんくん歩きながら、「植物にもインテリアセンスがあるのかも」と思った。気に入った場所に自分で動いて、世界を少しだけ変えていく。
そんな自由さが、ぼくと一緒だと思った。

夜、みんなが「なんだか部屋が広くなったみたい」と口々に言っていた。ミナは「このままでもいいね」と笑って、ルカも「植物のセンスに任せてみよう」と言った。
ぼくは窓辺で丸くなり、葉っぱの影を見上げていた。植物たちは何も言わないけれど、部屋の雰囲気をやさしく変えてくれた。

おやすみ、動く植物。おやすみ、葉っぱの影。また、新しい場所で会おうね。