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ぼんの宇宙日記(97日目)
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97日目。今日は、静かな声の日。
朝、居住区のクッションの上で丸くなっていると、不意に“声”を感じた。誰も話していない。船長はコーヒーを飲みながら星図を眺め、ミナもマヤも静かにそれぞれの作業をしている。音がないのに、ぼくの耳の奥に、やさしいささやきが届いた。
その声は、とても小さかった。誰のものでもない気がしたけれど、どこか懐かしい。たぶん、昔の記録の中の誰か――この船に残された音や空気の記憶が、ぼくの耳にそっと触れたのかもしれない。言葉ではない“響き”だけが、心に波紋を広げていく。
昼、ぼくは窓辺に移動して、宇宙の静けさの中に身を沈めた。外はどこまでも静かで、星たちも何も語らない。でも、船の壁や窓ガラス、クッションや毛布の中に、小さな声がたくさん染み込んでいる気がする。その一つ一つが、誰かの思い出や願いのように、ふっと浮かび上がってくる。
耳を澄ます。空気の震え、遠くの足音、機械のリズム。みんな生きている。だけど、今日の声はもっと静かで、もっと奥の方からやってくる。きっと、ぼくしか聞こえない。もしかしたら、誰かがこの船で過ごした日の名残。猫の耳だけが受け取れる、特別なささやき。
午後、ぼくはクッションに顔をうずめて、じっとその声に耳を傾けた。なにも聞こえないのに、なにかが伝わってくる。あたたかくて、すこしだけ寂しい。だけど不思議と安心する。
夜、誰も話さない静けさの中で、ぼくはそっと目を閉じた。声はもう聞こえない。でも、残響だけがやさしく耳に残っている。
おやすみ、静かな声。おやすみ、昔の記憶。また、耳を澄ませる日を。
朝、居住区のクッションの上で丸くなっていると、不意に“声”を感じた。誰も話していない。船長はコーヒーを飲みながら星図を眺め、ミナもマヤも静かにそれぞれの作業をしている。音がないのに、ぼくの耳の奥に、やさしいささやきが届いた。
その声は、とても小さかった。誰のものでもない気がしたけれど、どこか懐かしい。たぶん、昔の記録の中の誰か――この船に残された音や空気の記憶が、ぼくの耳にそっと触れたのかもしれない。言葉ではない“響き”だけが、心に波紋を広げていく。
昼、ぼくは窓辺に移動して、宇宙の静けさの中に身を沈めた。外はどこまでも静かで、星たちも何も語らない。でも、船の壁や窓ガラス、クッションや毛布の中に、小さな声がたくさん染み込んでいる気がする。その一つ一つが、誰かの思い出や願いのように、ふっと浮かび上がってくる。
耳を澄ます。空気の震え、遠くの足音、機械のリズム。みんな生きている。だけど、今日の声はもっと静かで、もっと奥の方からやってくる。きっと、ぼくしか聞こえない。もしかしたら、誰かがこの船で過ごした日の名残。猫の耳だけが受け取れる、特別なささやき。
午後、ぼくはクッションに顔をうずめて、じっとその声に耳を傾けた。なにも聞こえないのに、なにかが伝わってくる。あたたかくて、すこしだけ寂しい。だけど不思議と安心する。
夜、誰も話さない静けさの中で、ぼくはそっと目を閉じた。声はもう聞こえない。でも、残響だけがやさしく耳に残っている。
おやすみ、静かな声。おやすみ、昔の記憶。また、耳を澄ませる日を。
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